ダークファンタジー漫画とは|世界観と描写の特徴
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暗いことと、強く見せることは別の側の話です。扱っている中身をテーマの側、どう見せているかを表現の側として分けて置くと、片方から片方は決まらないことが見えてきます。度合いを付けたり、点数にしたりはしません。開く前に確かめられることもまとめました。
暗いことと、強く見せることは別
ダークファンタジーという呼び名を見ると、まず「こわい作品」「きつい作品」のほうを思い浮かべます。
でも、その二つは同じことを言っていません。扱っている中身が重いことと、画面で強く見せることは、別々に決まります。
重い中身を、静かに見せる作品があります。 反対に、軽い筋立てを、強い絵で見せる作品もあります。 片方を見ても、もう片方は分かりません。
二つの側に分けて置く
| 見かける言葉 | どちらの側 |
|---|---|
| 喪失 | テーマ |
| 選べない選択 | テーマ |
| 世界の決まりの厳しさ | テーマ |
| 直接見せる | 表現 |
| 見せずに示す | 表現 |
| 後から分かる | 表現 |
言葉が出てきたら、まずどちら側の話かを決めます。 ここを混ぜると、以降の話がすべてずれます。
表の上下に順番はありません。 並びは置いた順にすぎず、重さを表してはいません。
テーマの側にあるもの
作品が何を扱っているか、です。
失うこと、選べない状況、世界の決まりが人に厳しいこと、先が見えないこと、正しさが一つに決まらないこと。どれも、絵の強さとは関係なく置かれます。
重いテーマは、言葉数が少ないほど効くこともあります。 説明されないまま進む作品のほうが、後に残ることもあります。
テーマが重いことは、読むのがつらいことと同じではありません。 読み心地は、次の側で決まります。
表現の側にあるもの
それを、どう見せているか、です。
直接見せるのか、見せずに示すのか、言葉のほうで伝えるのか、後から分かる形にするのか。同じ出来事でも、置き方でまったく違う読み心地になります。
見せないことは、ごまかしではありません。 見せずに済ませた側にも、たいていは考えがあります。
強く見せることも、やりすぎとは限りません。 そこを見せないと成り立たない話があります。
片方から、もう片方は決まらない
ここがこの記事の芯です。
テーマの側を固定しても、表現の側は自由に動きます。 同じ「喪失」を扱う二作が、まったく違う見せ方をします。
表現の側を固定しても、テーマの側は自由に動きます。 同じ「見せずに示す」を選んだ二作が、別のものを扱っています。
だから、一方を根拠にしてもう一方を言い当てることはできません。 呼び名からも、どちらも決まりません。
「ダークファンタジー=暴力が多い」の置き換えをしない
分けておきたいのは、いま話しているのがどちらの側か、そこだけです。
二つの側を掛け合わせると四通り
片方からもう片方は決まらない、と書きました。独立しているということは、組み合わせが四通りあるということです。 四つを並べておくと、自分がどれを読みたいのかが決まります。
| 組み合わせ | 読み心地 |
|---|---|
| 重い×直接 | 正面から受ける |
| 重い×静か | 後から効く |
| 軽い×直接 | 勢いで進む |
| 軽い×静か | 軽く読める |
重い中身を直接見せる作りは、いちばん体力を使います。 扱っているものも、見せ方も、どちらも避けていません。読んでいるあいだに受け取るものが多いので、続けて読めないことがあります。 そのぶん、読み終えたときの手応えが大きい形です。
重い中身を静かに見せる作りは、読んでいるあいだは進みます。 直接は見せないので、ページは軽くめくれます。効いてくるのは、読み終えたあとです。 埋めた分だけ、こちらの側に残ります。いちばん取り違えられやすいのがこの形で、「たいしたことが起きない作品」として片付けられることがあります。
軽い筋立てを強い絵で見せる作りは、勢いで読めます。 見せ方は強いのに、扱っているものは深追いしない。 気を張らずに読める形で、呼び名だけを見て身構えると空振りします。
軽い中身を静かに見せる作りも、ダークファンタジーと呼ばれることがあります。 世界の見た目が暗いだけ、という作りです。呼び名からいちばん遠いところにありますが、実際に置かれています。
四つに上下はありません。 その日に読めるものを選べばよいだけです。ただ、四つのどれかを決めずに開くと、期待と違ったときに作品のせいにしてしまいます。
呼び名からは、四つのどれかは決まりません。 注意書きがあれば表現の側の見当が付きますが、テーマの側は読まないと分かりません。 だから、片方だけ決めて開くのが現実的なやり方です。
見せ方が静かでも、扱っているものは重い
画面が静かなことを、中身が軽い証拠にしないでおきます。
一コマも見せずに、起きたことだけが後から分かる作り。それでも、扱われているものは動きません。
むしろ、見せないほうが長く残ることもあります。 読む側が埋めた分だけ、こちらの側に居座ります。
静かな作りを、手加減として読まないでおきます。 それも一つの選び方です。
強く見せる作品を、低く置かない
逆の側も、同じように扱います。
見せることでしか伝わらないものがあります。目を背けたくなる場面が、その作品の要になっていることもあります。
刺激を目的にしている、と読む前から決めることはしません。 読まないと分かりませんし、読んでも人によって受け取りは違います。
合わないと感じたら、閉じてかまいません。 合わなかったことと、作品が低いことは別です。
度合いを付けない
作品に段階を割り当てることは、ここではしません。
暗さの段階、強さの段階、きつさの段階。どれも、読む人によって位置が変わるものなので、共通の目盛りにはなりません。
星や点数や順位も作りません。 付けた数字は、付けた人の感じ方でしかないのに、読む人には作品の性質として届いてしまいます。
そこは「これくらい」としか言えないので、そのままにしておきます。
やり方としては書かない
作中で起きることを、手順として書くことはしません。
どう傷つけるか、どう壊すか、どう欺くか。どれも物語の外の話で、この記事が書くものではありません。
そこに描かれているのは、あくまで作り物の出来事です。 手元でなぞるために用意されたものではありません。
気が滅入ったら、そこで閉じるのがいちばん確かです。 最後まで読むことが条件になっている読み方ではありません。
開く前に確かめられること
中身の重さは読まないと分かりませんが、確かめられる表示はあります。
出している側が置いている注意書き、対象の目安、作品紹介に書かれた断り。あれば、それが手に入るいちばん確かな材料です。
表示そのものが置かれていない場合もあります。 そのときは「表示が無い」とだけ受け取ります。強い描写が無い証拠にも、ある証拠にもなりません。
人の感想は、その人の受け取りです。 材料の一つにはなりますが、そのまま自分に当てはまるとは限りません。
近くに立つ記事との境目
行き先が近い記事がいくつかあるため、境目のほうを先に置いておきます。
舞台が現実からどれだけ離れているかを扱う記事とは、見ているものが違います。 あちらは世界のほうの広がりで、 ここは中身と見せ方の二つの側です。
こしらえた世界の決まりと人の関係を扱う記事も別に立っています。 そちらが見るのは決まりが人に何を許すかでした。
こわさの種類そのものを分ける記事とも重なりません。 あちらはこわさの向きを並べる話です。
名前の切り方を七つに分けて見渡す記事は、これらをまとめて外から見ています。
選ぶ前に見ておくところ
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 側 | テーマか表現か |
| 注意書き | 出す側が置いてるか |
| 目安 | 対象の表示があるか |
| 度合い | 数字にしてないか |
| 手順 | 手順に使ってないか |
一場面を二つに分けてみる
いま気になっている作品で、印象に残っている場面を一つ思い出します。
そこで扱われていたものと、それがどう見せられていたか。この二つを、別の行に書き分けてみます。
書き分けられたら、それでこの記事の見方は使えています。 呼び名が合っているかどうかは、そのあとでかまいません。