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ディストピア漫画とは|社会のルールと人物の関係

公開日

こしらえた世界のルールが、人物の選べる範囲を決めます。枠の内側と外側、従う理由、関係への影響、変化のきっかけという六つの軸で読む見方をまとめました。現実の政治や制度を評価する記事ではありません。

「ディストピア漫画とは」を表したイラスト

読むのは、ルールと人の関係

息苦しい決まりのある世界を描いた作品があります。どう読めばいいのか、手がかりが欲しくなります。

手がかりは社会のルールと、そこにいる人物の関係です。世界の善し悪しを決める必要はありません。

ルールの枠の内側に選べること、外側に選べないことが置かれ、縁に従う理由が付いた図
こしらえた世界の中の話です。現実の決まりを指していません

枠の内と外で、選べることが分かれる

この記事の要はここです。

ルールは、線を一本引きます。 その内側にあることは選べて、外側にあることは選べません。

内側と外側の札は、同じ大きさで置きます。 外側を小さく描くと、取るに足らないことに見えてしまいます。

枠そのものは、善でも悪でもありません。 どこに線が引かれているか、という事実だけがあります。

人物は、その線の内側で動いています。 だから、何を選んだかを読むときは、まず線の位置を見ます。

線を読む六つの軸

ルール・選択・理由・関係・変化を含む六つの軸を同じ札で並べた図
六つがそろって一つの呼び名になる、という決まりはありません
見る軸 何を見るか
世界のルール 決まっていること
選べること 枠の内側
選べないこと 枠の外側
従う理由 なぜ保たれるか
関係への影響 人の間の変化
変化のきっかけ 何が起きたか

六つがそろって一つの呼び名になる、という決まりはありません。 いくつかしか出てこない作品もあります。

軸ごとに別々に控えます。 まとめて一言にすると、そこで食い違いが起きます。

枠の位置は作品ごとに違う

同じ四つの札に対して、線の引かれる場所が違う二つの例を並べた図
どちらの引き方が正しい、ということはありません

同じことが、ある作品では選べて、別の作品では選べません。 線の位置が違うからです。

だから、よその作品の線を持ち込みません。 その作品の中で、どこに引かれているかを見ます。

線が広いか狭いかで作品を測ることもしません。 広ければ軽い話、という関係もありません。

選べることと、選べないこと

まず、内側に何があるかを控えます。 役目、居場所、日々の過ごし方。

次に、外側に何があるかを控えます。 外側は、作品の中で名前が付いていないこともあります。

書かれていないものは、空けたままにします。 選べないと書かれていないことを、選べないことにしません。

ルールに従う理由

線が保たれているのは、力だけによるとは限りません。

守りたいものがある、外を知らない、代わりが見つからない。理由は作品ごとに置かれています。

理由の良し悪しは書きません。 そこに理由があること自体が、その世界の作りです。

理由が書かれていない作品もあります。 そのときは、書かれていないと控えます。

関係への影響と、変化のきっかけ

線があると、人どうしの関わり方も変わります。 言えないこと、頼れないこと、近づけないこと。

そして、たいていの作品には変化のきっかけが置かれています。 誰かが外側に触れる、線の理由が崩れる、別の線を知る。

きっかけが起きたあと、必ず線が動くわけではありません。 動かないまま終わる作品もあります。

線はどうなって終わるか

変化のきっかけが起きても線が動くとは限らない、と書きました。終わり方にはいくつかの型があるので、そこを開いておきます。 型が分かると、読み終えたあとに何が残るかも決まります。

終わり方 残るもの
線が動く 変えた手応え
動かない 選んだ事実
別の線へ入る 同じ問いが続く
外へ出る 外の景色

線が動いて終わる作りでは、変えた手応えが残ります。 選べなかったことが選べるようになる。いちばん分かりやすい終わり方ですが、動いた先に別の線が引かれていることもあります。 動いたかどうかだけを見て、どこまで動いたかを確かめておきます。

線が動かないまま終わる作りもあります。 それでも、人物が何を選んだかは残ります。 動かせなかったことを負けとして読むか、その中で選んだことを読むかで、受け取り方が変わります。 この記事の見方では後者を取ります。線の位置ではなく、線の内側で何を選んだかを見てきたからです。

別の線の内側へ移って終わる作りもあります。 外へ出たはずが、また別の決まりの中にいる。線が引かれていること自体は変わらないので、同じ問いが続きます。 読後に落ち着かない感じが残るのはこの形です。

線の外へ出て終わる作りでは、外の景色が描かれます。 それまで名前も無かった外側が、最後に見える形になります。 外に何があったかは作品ごとで、何も無いことが描かれることもあります。

どの型でも、世界の善し悪しは決まりません。 動いたから良い世界になった、とは書かれていないことが多いところです。動いたという事実までが読み取れる分です。

終わり方は、読み終わるまで分かりません。 だから、読んでいるあいだは線の位置と理由を控えるだけで足ります。 型を当てにいく必要はありません。

崩壊した世界とは、同じではない

建物が壊れていることと、ルールで縛られていることは別です。

崩れたあとの暮らしを描く作品は、線が引かれていないこともあります。 そちらは別の読み方になります。

逆に、豊かで整った世界に線が引かれていることもあります。 見た目では決まりません。

だから、荒れた景色を見ただけでこの呼び名を当てません。 線があるかどうかを見ます。

点数にしない

こしらえた世界で読んでみる

読み方を見るために、こしらえた場面を4つ用意します。 実在の社会や作品を指すものではありません。

四つとも、現実の話に置き換えていません。 見ているのは作品の中の線だけです。

線を控えるための五つ

手を動かすのは、この五つだけで足ります。

ディストピア漫画を読むときに確認したい5項目のチェックリスト
書かれていない軸は、空けたままで構いません
見るところ 確認すること
枠 どこに引かれるか
内側 何が選べるか
外側 何が選べないか
理由 なぜ保たれるか
変化 何がきっかけか

埋まらない欄があっても進めます。 線の位置さえ見えていれば読めます。

線を見るところから

息苦しい世界を描いた作品を読むときにすることは、多くありません。世界の善し悪しを決めるのではなく、線がどこに引かれているかを見ること。

内側に何があり、外側に何があり、なぜ保たれているのか。それが見えれば、人物がなぜそう動いたのかも見えてきます。

そして、現実へ引き寄せなくても読めます。 こしらえた世界の中だけで、十分に筋が通っています。

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