ハイ・ローファンタジーの違いを漫画の舞台から考える
公開日
完全な異世界か現実かという二択にはなりません。現実の面と、その上に乗る超常の面が覆う範囲で見ると、主舞台・現実とのつながり・超常の位置・社会の前提・日常性の五つで読み分けられます。呼び名の使われ方には揺れがあります。
二択にしなくていい
ハイかローか。そう聞かれると、どちらかに決めなければいけない気がします。
けれど作品を並べてみると、どちらとも言えるものが真ん中にたくさんあります。
舞台は「覆う範囲」で見る
この記事の要はここです。
現実の面があり、その上に超常の面が乗っている。 そう考えると、二択にしなくて済みます。
ぜんぶ覆っていることもあれば、半分だけのことも、隅だけのこともあります。 覆う範囲が違うだけです。
区切りの線は引きません。 どこからが何と呼ばれるかは、決まっていないからです。
三つの例は、並べただけです。 順番でも段階でもありません。
比べる軸は五つ
| 比べる軸 | 何を見るか |
|---|---|
| 物語の主舞台 | どこが中心か |
| 現実とのつながり | 行き来があるか |
| 超常の位置 | どこに置かれるか |
| 社会の前提 | 何が当たり前か |
| 日常性 | 人物には普通か |
五つがそろって一つの呼び名になる、という決まりはありません。 軸ごとに答えが違うことのほうが多くあります。
だから、軸ごとに別々に控えておきます。 まとめて一言にすると、そこで食い違いが起きます。
物語の主舞台はどこか
話のほとんどがどこで進んでいるかを見ます。
出てくる場所の数ではありません。 短く寄り道する場所がいくつあっても、主舞台は一つのことがあります。
途中で移ることもあります。 そのときは、移る前と後で分けて見ます。
現実とのつながり
こちらの世界と行き来があるかどうかを見ます。
行き来ができる作りもあれば、入ったきり戻らない作りもあります。 つながりが最初だけ、ということもあります。
つながりの有無だけで呼び名は決まりません。 ほかの軸と合わせて見ます。
超常はどこに置かれているか
不思議なことが、世界の仕組みそのものに組み込まれているのか、例外として起きるのか。
組み込まれていれば、人物はそれを前提に動きます。 例外なら、驚いたり隠したりします。
量ではなく、置かれ方を見ます。 少なくても仕組みの一部ということはあります。
社会の前提と、日常かどうか
その世界で何が当たり前かを見ます。 決まりごと、暮らし方、人の集まり方。
そして、登場人物にとってそれが普通かどうか。 読む側から見て不思議でも、中の人には当たり前かもしれません。
この二つは近いようで別です。 社会の前提が違っても、人物には日常ということがあります。
境界例のほうが多い
| 境界にある置き方 | どう呼ばれるか |
|---|---|
| 行き来できる | 両方で呼ばれる |
| 一部だけ超常 | 見る人で分かれる |
| 元は別の世界 | 話の途中で変わる |
同じ置き方でも、呼ぶ人によって分かれます。 どちらかが間違っているわけではありません。
分かれたときは、両方を控えておきます。 片方に決めると、その先の話が噛み合わなくなります。
覆う範囲が途中で変わるとき
境界にある置き方の一つに「話の途中で変わる」を挙げました。ここは軸ごとに控える方法がそのままでは効かないところなので、開いておきます。
| 変わり方 | 読むときの扱い |
|---|---|
| 広がっていく | 前後で分ける |
| 狭まっていく | 戻ったか見る |
| 往復で変わる | どちらも控える |
| 最初だけ違う | 冒頭は別扱い |
超常の面が広がっていく作りがあります。 はじめは隅だけだったものが、読み進めるうちに世界の仕組みそのものになる。このときは、変わる前と後で軸を別に控えます。 一つの欄にまとめると、どちらの状態の話か分からなくなります。呼び名も、前半と後半で違うものが当たります。
狭まっていく作りもあります。 仕組みだったものが、例外として扱われるようになる。元に戻ったのか、別の形になったのかを見ます。 戻ったなら、途中の状態を一時的なものとして控えられます。
行き来のある作品では、往復ごとに覆う範囲が入れ替わります。 こちらにいるあいだと、向こうにいるあいだ。どちらも控えておくのが確実です。 片方だけを控えると、もう片方の巻を読んだときに食い違います。
冒頭だけ違う作りもあります。 一話目はこちらの世界で、二話目から向こうへ移って戻らない。この場合、冒頭は入口として別に扱います。 主舞台の欄には、移った先を書きます。
途中で変わることは、作品の作りの一部です。 呼び名が決まらない理由の多くはここにあります。変わったことを控えておけば、決まらないままでも読み進められます。
どこで変わったかを控えると、読み返すときに役に立ちます。 巻数でも話数でも構いません。そこを境に、前と後で軸の答えが変わっているはずです。
用語の使われ方には揺れがある
架空の舞台で見る
読み方を見るために、仮の舞台を4つ用意します。 実在の作品を指すものではありません。
四つとも、一つの呼び名に寄せていません。 軸ごとに分けて控えています。
見るときの五つ
読みながら、次の五つを見ます。
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 覆う範囲 | どこまでか |
| 主舞台 | 一つに決められるか |
| 超常の位置 | 仕組みか例外か |
| 日常性 | 人物には普通か |
| 呼び名 | 二択に寄せてないか |
全部そろわなくても構いません。 二択に寄せないでおければ、それで読めます。
覆う範囲を見るところから
二つの呼び名で迷ったときにすることは、多くありません。どちらかに決めるのではなく、超常の面がどこまで覆っているかを見ること。
ぜんぶなのか、半分なのか、隅だけなのか。それが見えれば、呼び名が決まらなくても舞台の形は分かります。
そして、決まらないままで構いません。 境界にあたる作品のほうが、もともと多くあります。