演劇漫画を探す|舞台裏と演じる物語
公開日
演じる人だけが主役とは限りません。演じる・作る・支えるという三つの役割と、部活・劇団・職業という活動形態を分けて、舞台の何を読みたいかから選ぶ方法をまとめました。
舞台の上だけが物語ではない
演劇を扱う漫画が読みたい。そう思って探すと、舞台に立つ人の話がまとめて候補になります。
ただ、演劇は一人では成立しません。書く人、演出する人、道具や照明を受け持つ人、客を入れる人。 どの役割を中心に置くかで、読みどころが変わります。
だから、先にどの役割を読みたいかを決めます。ここが決まると、紹介文の読む場所が決まります。
舞台・役者・上演場面を読みどころの条件にしない
先に、混ざりやすいところを外しておきます。
見たいのは、どの役割が手前に来ているかです。
役割を三つに分ける
演じる。 役をどう作るか、自分と役の距離をどう取るか。身体と言葉の話になります。
作る。 書く、演出する、決める。何を上演するかを選ぶ側の物語です。
支える。 道具、衣装、照明、音、受付。上演が成立するための仕事が描かれます。
| 役割 | 見える仕事 | 舞台の上か裏か |
|---|---|---|
| 演じる | 稽古と本番 | 上 |
| 作る | 選ぶと決める | 両方 |
| 支える | 準備と段取り | 裏 |
三つは重なります。 小さな集団では一人が複数を受け持つので、役割の境目そのものが物語になることもあります。
活動の形態で時間の形が変わる
同じ演劇でも、どこで活動しているかで時間の流れ方が違います。
| 形態 | 区切り | 続ける前提 |
|---|---|---|
| 部活 | 学年で終わる | 期限がある |
| 劇団 | 公演ごと | 自分たちで決める |
| 職業 | 仕事として続く | 生活が関わる |
部活の形では、終わりが最初から決まっています。 残り時間が物語を押します。
劇団の形では、続けるかどうかを自分たちで決めます。 解散も選択の一つとして描かれます。
職業の形では、生活との折り合いが入ります。 舞台だけでは食べていけない、という描かれ方もよくあります。
稽古と本番、どちらにページが割かれるか
役割と形態が決まったら、もう一つ見ておくと外しにくくなります。稽古と本番の分量の比です。 上演は一度で終わる出来事なので、そこに何ページを使うかは作品ごとの選択になります。ここが合わないと、役割の軸が合っていても物足りなく感じます。
| 分量の置き方 | 読めること |
|---|---|
| 稽古が長い | 作り上げる過程 |
| 本番が長い | 一回の出来事 |
| 本番を省く | 支える側の時間 |
| 客席から見る | 届いたかどうか |
稽古に多くを使う作品では、噛み合わない時間が読みどころになります。 通らない、揃わない、意見が割れる。本番は数ページで済み、幕が下りて終わることもあります。 作っていく過程を読みたい日に向いています。
本番を丁寧に描く作品では、上演そのものが山になります。 台詞、客席の空気、段取りの一つずつ。一度しか起きないことを引き延ばして見せる作りで、稽古は準備として短く済みます。
本番を描かない作品もあります。 幕が上がる前で切る、あるいは終わったあとから始める。支える側や作る側が手前に来ている作品で選ばれやすい形です。 上演の出来は語られないままになります。
客席の側から描く作品もあります。 舞台の上ではなく、見ている人のほうに視点がある。上演が誰に何を届けたかが主題になるので、稽古の描写はほとんど出てきません。
紹介文からは、この比は読めません。 ただ、目次や話数の刻み方でおおよそ見当が付きます。 一つの公演に何話も使っていれば稽古が長い形、公演が次々に切り替わっていれば本番側に寄った形です。
踊る作品とは、見るところが違う
身体を使う点は似ていますが、軸が違います。
| 見るところ | 演劇 | 踊る作品 |
|---|---|---|
| 中心 | 役と言葉 | 動きと場 |
| 勝敗 | 無いことが多い | 競技なら有る |
| 分担 | 役割が分かれる | 個人か群舞か |
演劇では、勝ち負けが付かないことが多くあります。 上演が成立したかどうかが区切りになるので、競技の物語とは時間の形が違います。
踊る作品を探すときは、競技・舞台・ストリートという場の違いのほうが効きます。ここでは、役をどう作るかと、誰が何を受け持つかを見ています。
架空例で役割の違いを見る
手前に来る役割を入れ替えた例を、四つ書いてみます。実在の作品を指したものではありません。
四つとも、上演の規模では分けられません。 どの役割が手前かで、読み心地がまるで違います。
どこまで読んだかを添えて控える
気に留めた作品を書き残すときは、自分で見たところと、人の言葉で知ったところを分けます。
ダンスもの・音楽もの・創作ものの入口との境目
よく並べて語られる入口との差を、はっきりさせておきます。
踊る作品を選ぶ見方とは別です。 あちらは場の違いが軸で、こちらは役割の分担が軸です。身体を使う点だけで寄せません。
音楽を扱う作品を選ぶ見方とも分かれます。 あちらは何のために音を出すかが軸です。こちらは上演という一回きりの形を見ています。
創作する人を描く作品を選ぶ見方とも重なりません。 あちらは完成までの過程が主題で、一人でも成立します。こちらは複数の役割がそろわないと成立しない形です。
役割を決める前に見る5点
開く前に、さっと確かめておきたいところです。
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 役割 | 演じるか作るか支えるか |
| 形態 | 部活か劇団か職業か |
| 区切り | 終わりが決まっているか |
| 実用 | 手引きと混ぜないか |
| 掲載元 | 正規の場所で読めるか |
結局、演劇ものは「上演の規模」ではなく「どの役割か」で選ぶ
演劇漫画を探すときにやることは、結局ひとつです。役を作る時間を読みたいのか、何を上演するか決める側を読みたいのか、幕が上がるまでを支える側を読みたいのか。先に決めること。
そこが決まってから紹介文を見ると、同じ棚の中でも見る場所が決まります。 上演の規模は、その次で足ります。
そして、幕が上がらないまま終わる話も、演劇の物語です。 成立したかどうかで読みどころが決まるわけではないので、合わなかった作品も、別の日には別の役割が目に入るかもしれません。