美術や絵を描く漫画を探す|制作と表現の物語
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絵を描く人物が出てくることと、制作が主題であることは別です。絵画・イラスト・立体・写真などの分野と、題材選び・技法・描き直し・評価・発表・続けるかという制作の過程から、読みたい葛藤のある作品を探す方法をまとめました。
「絵を描く人が出てくる」と「制作が主題」は別
美術や絵の漫画が読みたい。そう思って探すと、絵を描く人物が登場する作品をまとめて候補にしてしまいます。
でも、描く場面が一度あることと、作る過程が物語として続いていることは別です。 趣味として絵を描く人物がいる作品と、一枚を仕上げるまでが軸になっている作品では、読む体験がまるで違います。
見たほうがいいのは、制作のどこが描かれているかです。 そこで分けると、同じ「美術もの」の棚でも選ぶものが変わります。
登場人物・美術部・美術系の学校を主題の条件にしない
先に、混ざりやすいところを外しておきます。
見たいのは、作品の中心がどこに置かれているかです。
何を作っているかで分ける
まず分野を見ます。作るものが違えば、読む手ざわりも変わります。
| 分野 | 作るもの |
|---|---|
| 絵画 | 一枚の絵 |
| イラスト | 依頼や媒体の絵 |
| 漫画制作 | 物語と絵 |
| デザイン | 用途のある形 |
| 立体・工芸 | 手で作るもの |
| 写真 | 撮って選ぶ |
学びの場(美術部や学校)と、発表の場(展示や提出)も、分野そのものではありませんが、どこで制作が起きるかの手がかりになります。
複数にまたがる作品もあります。 絵画を学びながら依頼の仕事を受ける、といった形です。
制作の過程は一本道ではない
ここが肝心なところです。
題材を決める、技法を試す、描き直す、評価される、発表する、続けるかを決める。この六つは順番が決まっていません。 発表してから題材を選び直すこともあれば、描き直しの途中で方向が変わることもあります。
どこから読み始める作品でも構いません。 描き直しの場面が延々と続く作品もあれば、発表の場だけを描く作品もあります。
| 見るところ | 確認ポイント |
|---|---|
| 分野 | 何を作っているか |
| 制作 | 作る過程が主題か |
| 評価 | 他者の反応が関わるか |
| 発表 | 展示や提出があるか |
| 葛藤 | どの悩みが中心か |
| 継続 | 続けるかがテーマか |
作っている絵を、読者が直接見てしまう
美術を扱う作品には、他の題材には無い事情があります。作っているものが漫画と同じ絵なので、読者の目に直接入ってしまうことです。 「この絵は素晴らしい」と登場人物が言えば、読者はその絵を見て自分で判断してしまいます。作品ごとに、この扱いが違います。
完成した作品を大きく見せる形があります。 一枚をページいっぱいに置き、読者にも同じものを見せる。説明が要らないぶん、絵そのものに説得力が求められます。 見せられたものに納得できるかどうかで、読み心地が決まります。
あえて見せない形もあります。 画面の外に置く、後ろ姿で隠す、白のまま残す。見た人の表情や言葉だけで、何が描かれたのかを伝えます。 読者は想像で埋めることになるので、外れが起きません。
部分だけを見せる形もあります。 筆先、色の一部、隅の描き込み。全体は分からないまま、確かに何かが進んでいることだけが伝わります。 描き直しの場面と相性がよい形です。
過程だけを見せて、完成を省く形もあります。 悩み、塗り、消す場面は描かれるのに、できあがりは出てこない。何を作ったかより、作っている時間そのものが読みどころという作りです。
この扱いは紹介文からは読めません。 ただ、試し読みの数ページでほぼ分かります。 完成作が大きく出ているか、周りの反応だけで進んでいるか。合わなければ、同じ分野の別の作品へ移れば足ります。
どの葛藤が描かれるか
制作を扱う作品では、うまくいかないところが読みどころになります。
描けない、思ったように作れない、他の人と比べてしまう、評価が返ってくる、締切が近づく、方向性に迷う、続けるかどうかを考える、作ることと仕事の距離を測る。どれが中心かで、読後の感じが変わります。
才能の話にしない
美術を扱うと、才能の話に寄りがちです。この記事ではそこを扱いません。
進学や就職の案内はしない
美術系の学校や仕事が出てくる作品もありますが、この記事は進路の案内ではありません。
入試、学費、就職の状況、合格の見込み、作品集の作り方。どれもこの記事の範囲外です。 作品の中の描写を、現実の進路判断の根拠にはしないでください。
描き方の解説もしません。 道具の選び方や技法の手順は、読む側の記事ではなく作る側の話です。ここで扱うのは読む作品を選ぶことだけです。
苦しさを診断名にしない
制作の苦しさが描かれる作品もあります。ただ、それを心の不調として言い換えることはしません。
描けない時期があることと、医学的な状態は別のものです。 作品の中の苦しさを読んで自分に当てはめるとしても、そこから何かを診断することはできません。
作品を選ぶために見るのは、どんな葛藤が描かれているかであって、その正体ではありません。
架空例で制作のどこが手前かを見る
制作のどこが前に出ると何が読めるのか、例を四つ置きます。どれも実在の作品ではありません。
4つとも、絵が出てくるかどうかでは分けられません。 どの過程が中心かで、読み心地がまるで違います。
制作描写の評価は、読んでから書き足す
作品を控えるときは、どこまでが確かめたことなのかを分けておきます。
体験別・音楽もの・舞台ものの入口との境目
近くにある入口と、どこが違うのかを先に書いておきます。
読みたい体験から分野を選ぶ見方は、その手前の話です。 あちらは分野そのものを決める段階で、こちらは美術という分野の中で制作のどこを見るかを分けています。 総論には戻りません。
音楽の活動を読む見方とは別です。 表現活動という言葉が同じでも、作るものも過程も違います。 ひとまとめにすると、どちらの棚も探しにくくなります。
舞台の表現を読む見方とも分かれます。 舞台美術の場面があるだけでは、ここでいう制作にはなりません。 大勢で一つを作ることが主題なら、そちらの側です。
制作のどこを読むか決める前に見る5点
開く前に、さっと確かめておきたいところです。
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 分野 | 何を作るか |
| 主題 | 制作が中心か |
| 葛藤 | どの悩みか |
| 断定 | 才能の話にしないか |
| 実用 | 進学の助言と混ぜないか |
結局、美術ものは「絵が出るか」ではなく「制作のどこか」で選ぶ
美術や絵の漫画を探すときにやることは、結局ひとつです。題材を決めるところか、描き直すところか、人に見せるところか。どの場面を読みたいのかを先に決めること。
そこが決まってから紹介文を見ると、同じ棚の中でも見る場所が決まります。 分野まで分かれば、手ざわりの見当もつきます。
そして、制作は一本道ではありません。 順番どおりに進む作品のほうが少ないので、途中から始まっても戻っても、それはそういう作りだというだけです。