やり直しや再出発を描く漫画の選び方
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再出発の物語は、何がきっかけで始まるかで読み心地が変わります。断たれる・降りる・誘われる・気づくの四つのきっかけを比べ、立ち直りの効果は断言せずに選ぶ方法をまとめました。
再出発の話は、始まり方で読み心地が変わる
やり直しや再出発を描く漫画が読みたい。そう思って探すと、「再起」「second life」といった言葉で候補がまとめて並びます。
ただ、同じ再出発でも、何がきっかけで始まったかによって、読んでいる時間の質がまるで違います。 仕事を失ったところから始まる話と、自分で辞めたところから始まる話では、最初の一歩の重さが違います。
だから、先にきっかけを決めます。ここが決まると、紹介文のどこを読めばいいかも決まります。
喪失・落ち込み・年齢を再出発の条件にしない
混ざりやすいところを、はじめに分けておきます。
見たいのは、四つのきっかけのどれが手前に来ているかです。
きっかけを四つに分けて比べる
再出発が始まる理由は、だいたい次の四つのどれかです。比べる欄は、起点にあるもの・最初の一歩・戻る場所の三つにしておくと、紹介文と照らし合わせやすくなります。
断たれる。 仕事、家、関係。外側の事情で続けられなくなります。選んでいないところから始まるので、最初の一歩は「受け入れる」ことになります。
降りる。 自分で辞める、離れる、手放す。決めた側なので、迷いは始まる前に置かれます。
誘われる。 誰かが来て、外から動きが入ります。自分の意思より先に状況が動きます。
気づく。 出来事は起きません。見え方だけが変わり、同じ場所で別のことを始めます。
| きっかけ | 起点にあるもの | 最初の一歩 |
|---|---|---|
| 断たれる | 外の事情 | 受け入れる |
| 降りる | 自分の判断 | 手放す |
| 誘われる | 他人の働きかけ | 応じる |
| 気づく | 見え方の変化 | 見直す |
四つは重なります。 断たれたあとで自分から降りる、という順で進む作品もあります。
戻る場所があるかどうかで、緊張が変わる
きっかけとは別に、戻れる場所が残っているかを見ておくと、読み心地の見当が付きます。
| 戻る場所 | 読むときに起きること |
|---|---|
| 残っている | 試せる。失敗しても続く |
| 残っていない | 一回ごとに重い |
| 自分で断った | 戻らないと決めた分だけ進む |
残っていないほうが良い話、という意味ではありません。 戻れる場所がある作品のほうが、細かい試行錯誤を長く描けることがあります。
再出発が始まる時点も見ておく
同じきっかけでも、物語のどこから始まるかで形が変わります。
| 始まる時点 | 描かれること |
|---|---|
| 終わりから | 冒頭で前の生活が済む |
| 途中から | 折れる場面が入る |
| 繰り返す | うまくいかない期間が長い |
終わったところから始まる作品。 前の生活の終わりは冒頭で済み、以降はすべて再出発です。
途中から切り替わる作品。 前半に前の生活があり、途中で折れます。落差が読みどころになります。
繰り返す作品。 何度も始め直します。うまくいかない期間の描き方が中心になります。
紹介文からは、ここまで分からないことが多いところです。 冒頭だけで判断すると、途中で切り替わる作品を取り逃します。
新しい場所がどこまで描かれるか
きっかけと始まる時点は、どちらも物語の入口の話でした。もう一つ、その先がどこまで描かれるかという軸があります。 ここが違うと、読み終えたときの落ち着き方が変わります。
踏み出すところで終わる作品があります。 新しい場所へ向かうと決めて、そこで閉じる。先がどうなるかは描かれません。 始まりの場面を味わいたい日はこの形ですが、続きが気になったまま終わります。
新しい場所での生活まで描く作品もあります。 移ったあとに何が起きるか、そこで誰と出会うか。分量の多くが「その後」に使われるので、きっかけは冒頭で済みます。 再出発そのものより、新しい暮らしを読みたい日向きです。
うまくいかない期間を長く描く作品もあります。 始めたものの噛み合わない、また止まる。繰り返す形と重なりやすく、読んでいるあいだは重くなります。 そのぶん、動いたときの手応えが大きくなります。
元の場所へ戻る作品もあります。 一度離れて、別の形で戻る。戻ることを失敗として描かない作品は、この方向の中でも落ち着いた読後感になります。
紹介文から見分けるなら、書かれている時間の幅を見ます。 始まりの場面だけが書かれていれば踏み出すところまで、新しい土地や仕事の名前が出ていればその先まで描く形、という程度の見当は付きます。
立ち直りの効き目を書かない
再出発を扱うと、効き目の話に寄りがちです。この記事ではそこを扱いません。
架空例できっかけの違いを見る
四つのきっかけがどう始まりになるのか、四つ書き出します。書いたのはこちらで、実在する作品のものではありません。
四つとも、落ち込みの深さでは分けられません。 きっかけが違うと、最初の一歩の意味が変わります。
控えるときは確かめた分だけ書く
手元に残すときは、自分で読んだところと、紹介文で見ただけのところを分けて書きます。
読後感・温かさ・静けさの入口との境目
近いところに別の入口があるので、線を引いておきます。
読後感から作品を選ぶ見方は、その手前の話です。 あちらは読み終えたあとどうなりたいかを決める段階で、こちらはその中の「再出発」を、きっかけで分けています。 総論には戻りません。
温かさを手がかりに探す見方とは別です。 あちらは場面と関係が軸です。こちらは物語が始まる理由を見ているので、温かい作品にも張り詰めた作品にも当たります。
静かな作品を選ぶ見方とも分かれます。 あちらは余白と会話の量が軸で、再出発かどうかを問いません。
きっかけを決める前に見る5点
読み始める前に、ひととおり見ておきたいところです。
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| きっかけ | 四つのどれが手前か |
| 戻る場所 | 残っているか |
| 時点 | どこから始まるか |
| 効き目 | 断言していないか |
| 掲載元 | 正規の場所で読めるか |
結局、再出発は「落ち込みの深さ」ではなく「始まり方」で選ぶ
再出発の漫画を探すときにやることは、結局ひとつです。外から断たれるところを読みたいのか、自分で降りるところを読みたいのか、誰かに誘われるところを読みたいのか、見え方が変わるところを読みたいのか。先に決めること。
そこが決まってから紹介文を見ると、同じ棚の中でも見る場所が決まります。 落ち込みの深さではなく、何が始まりを作ったかを探せば足ります。
そして、前より良くなる話だけが再出発ではありません。 戻れないまま続く形もあるので、合わなかった作品も、別の日には別のきっかけが目に入るかもしれません。