成長を描く漫画を探す|上達だけでない変化に注目
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成長は上達だけではありません。能力・考え方・関係性・立場という四つの変化と、その入口になる課題の置かれ方を組み合わせて、読みたい一作を選ぶ方法をまとめました。
上手くなる話だけを成長と呼ぶと、候補が狭くなる
成長を描く漫画が読みたい。そう思って探すと、技術が上がっていく作品ばかりが候補に出てきます。
上達は成長の一つです。ただ、それだけではありません。 同じ人物が、できることは変わらないまま、考え方だけが変わる話もあります。周りとの関係が変わって、本人は何も変えていない話もあります。
だから、先にどの変化を読みたいかを決めます。そのうえで、その変化の入口になる課題がどう置かれているかを見ます。この二つが決まると、紹介文の読む場所が決まります。
上達・時間・努力・勝敗を成長と取り違えない
混ざりやすいところを、はじめに分けておきます。
見たいのは、四つの変化のどれが手前に来ているかです。
変化を四つに分ける
能力。 できなかったことができるようになります。手や体、技術の話です。
考え方。 同じ出来事の受け取り方が変わります。できることは増えません。
関係性。 誰かとの距離が変わります。本人の中身は変わらないこともあります。
立場。 引き受ける役目が変わります。周りからの扱いが先に動くこともあります。
| 変化 | 何が動くか | 本人が変わるか |
|---|---|---|
| 能力 | できること | 変わる |
| 考え方 | 受け取り方 | 変わる |
| 関係性 | 距離 | 変わらないことも |
| 立場 | 役目 | 変わらないことも |
四つは重なります。 立場が変わったことで考え方が動く、という順で進む作品もあります。
課題の置かれ方が、入口を決める
変化には入口が要ります。その入口になるのが課題です。どう置かれているかで、読み心地が変わります。
| 課題の置かれ方 | 動き出すまで |
|---|---|
| 外から与えられる | 早い |
| 自分で決める | 迷う時間が入る |
| 気づいていない | 長くかかる |
外から与えられる課題では、物語が早く動きます。 やることが最初から決まっています。
自分で決める課題では、決めるまでが描かれます。 何を課題にするかを選ぶ場面が読みどころになります。
気づいていない課題では、本人より先に読者が気づきます。 その差が続く時間が長く取られます。
変化の速さも見ておく
同じ変化でも、どれくらいの時間をかけて描かれるかで読み心地が違います。
| 変化の速さ | 読むときに起きること |
|---|---|
| 一瞬で切り替わる | 前と後が分かれる |
| 少しずつ動く | 読み返すと差が分かる |
| 行き来する | 進みが見えにくい |
一瞬で切り替わる形。 ある場面を境に、前と後がはっきり分かれます。
少しずつ動く形。 どこで変わったか言えません。読み返すと差が分かります。
行き来する形。 変わっては戻り、また動きます。進みが見えにくい代わりに、日常の手触りが出ます。
紹介文からは、ここまで分かりません。 「成長物語」とだけ書かれていることがほとんどです。
主人公以外が変わる話をどう探すか
四つの変化を見るとき、つい主人公だけを追ってしまいます。でも動いているのが主人公とは限りません。 ここを開けておくと、候補がかなり広がります。
周りが変わって、見え方だけが動く話があります。 本人は何も変えていないのに、扱われ方が変わる。立場の変化は、この形で描かれることが多いところです。 読んでいるあいだ、変化を探す先が主人公の内側ではなく外側になります。
相手の側が変わる話もあります。 二人の関係を描く作品で、動いているのは片方だけ。関係性の変化を探しているなら、どちら側が動くかまで決めておくと当たりが変わります。
語り手と、変わる人物が別のこともあります。 見ている側が語り、変わっていくのは見られている側。この形では、読者は変化を外から眺めることになります。 内側から追いたい日には噛み合いません。
集団が変わる話もあります。 個人ではなく、その場所や集まりのほうが動く。誰か一人の変化を探していると見落とします。
紹介文では、主語が誰かを見ます。 主人公が主語なら本人が動く形、周りや場所が主語なら外側が動く形。一文のうちどこが動詞に係っているかで、だいたい見当が付きます。
上達の保証を書かない
成長を扱うと、現実の話に寄りがちです。この記事ではそこを扱いません。
架空例で変化と課題を見る
四つの変化と課題がどう噛み合うのか、こちらで四つ書いてみます。実在する作品のものは一つも含みません。
四つとも、努力の場面の多さでは分けられません。 どの変化と、どんな課題かで読み心地が変わります。
手元に残すときは確かめた分だけ書く
残すときは、読んで確かめたところと、紹介文で見ただけのところを分けます。
再出発・夢・読後感の入口との境目
近いところに別の入口があるので、線を引いておきます。
再出発を描く作品を選ぶ見方とは別です。 あちらは何がきっかけで始まったかが軸で、始まりの理由を見ます。こちらは何が変わるかが軸なので、始まりを問いません。
夢を追う作品を選ぶ見方とも分かれます。 あちらは目標・障害・活動領域の三欄で見ます。こちらは目標が無くても成り立ちます。
読後感から作品を選ぶ見方は、その手前の話です。 あちらは読み終えたあとどうなりたいかを決める段階で、こちらはその中の「成長」を分解しています。 総論には戻りません。
変化と課題を決める前に見る5点
読み始める前に、ひととおり見ておきたいところです。
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 変化 | 四つのどれが手前か |
| 課題 | どう置かれているか |
| 速さ | 一瞬か少しずつか |
| 保証 | 上達を断言していないか |
| 掲載元 | 正規の場所で読めるか |
今日読みたい変化を決める
成長を描く漫画を探すときにやることは、結局ひとつです。できることが増えるのを読みたいのか、受け取り方が変わるのを読みたいのか、誰かとの距離が変わるのを読みたいのか、役目が変わるのを読みたいのか。先に決めること。
そこが決まってから紹介文を見ると、同じ棚の中でも見る場所が決まります。 努力の場面の多さではなく、何が動くかを探せば足ります。
そして、できることが何も増えない成長もあります。 上達だけを成長と呼ばなければ、合わなかった作品も、別の日には別の変化が目に入るかもしれません。