懐かしさを感じる漫画を探す|時代と暮らしの描写
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懐かしさは自分の記憶と一致しなくても生まれます。時代設定の置き方三つと、道具・習慣・風景・言葉づかいという四つの出どころを確認して選ぶ方法をまとめました。
懐かしさは、自分が知っている時代とは限らない
懐かしさを感じる漫画が読みたい。そう思うと、自分が過ごした年代を探しがちです。
ただ、知らない時代の作品でも懐かしく読めることがあります。 逆に、自分が過ごした年代を扱っていても、まったく懐かしくない作品もあります。
懐かしさは、年代の一致から来るのではなく、暮らしの描写から来ることが多いためです。道具の置き方、毎日の習慣、街の見え方、話し方。そこが手触りを作ります。
年代の一致・古さ・正確さを条件にしない
混ざりやすいところを、はじめに分けておきます。
見たいのは、時代がどう置かれていて、暮らしの何が描かれているかです。
時代設定の置き方を三つに分ける
年代が明示される。 西暦や元号、出来事の名前で、いつかが分かる形です。知っている人は自分の記憶と重ねられます。
年代を出さない。 いつなのかは書かれません。道具や街並みから読者が見当を付けます。
架空の時代。 現実のどこにも当たらない時代です。それでも懐かしく読めることがあります。
| 時代の置き方 | 起きること | 記憶と重なる |
|---|---|---|
| 明示される | 位置が決まる | 重ねやすい |
| 出さない | 見当を付ける | 人による |
| 架空の時代 | 世界を受ける | 重ならない |
三つとも懐かしさは成り立ちます。 記憶との一致は条件ではありません。
懐かしさの出どころを四つで確認する
暮らしのどこが描かれているかを見ます。
道具。 使っている物、置いてある物。見たことがあるかどうかで効き方が変わります。
習慣。 毎日の決まった動き。朝の順番、食事の形、連絡の取り方。
風景。 街や部屋の見え方。広さ、明るさ、音の少なさ。
言葉づかい。 話し方、呼び方、言い回し。ここだけで時代が出ることがあります。
| 出どころ | 描かれるもの |
|---|---|
| 道具 | 使う物・置いてある物 |
| 習慣 | 毎日の決まった動き |
| 風景 | 街や部屋の見え方 |
| 言葉づかい | 話し方・呼び方 |
四つは重なります。 どれが強いかで、同じ年代を扱っても手触りが変わります。
開く前に確認する順番
紹介文の段階で確かめられることと、読まないと分からないことを分けておきます。
| 確認すること | 紹介文で分かるか |
|---|---|
| 時代の置き方 | だいたい分かる |
| 扱う題材 | 分かる |
| 出どころの強さ | 読まないと分からない |
| 手触りが合うか | 読まないと分からない |
「懐かしい」と紹介文に書かれていても、自分にとってそうとは限りません。 手触りが合うかどうかは、開いてから決まります。
懐かしさと、戻れなさの距離
四つの出どころは、どれも「何が描かれているか」の話でした。もう一つ、その描写がどちらへ寄っているかという軸があります。 同じ道具や習慣を描いていても、寄り方で読後感が変わります。
そこに在る時間として描く作品があります。 毎日の習慣が繰り返され、それが続いているものとして置かれる。戻れないという前提が出てこないので、読み心地は穏やかです。 静かな読後感を探している日はこちらです。
もう終わった時間として描く作品もあります。 同じ道具が、いまは使われていないものとして出てくる。懐かしさと一緒に、戻れなさが付いてきます。 切なさに近い手触りになります。
見ている人の側で分かれることもあります。 作品は淡々と描いているのに、読む側が自分の記憶と重ねて重く受け取る。この場合、寄り方を決めているのは作品ではなく読者です。
語りの時制が手がかりになります。 現在形で進む作品はそこに在る時間として、回想として語られる作品は終わった時間として置かれていることが多いところです。紹介文の文末を見れば、ある程度は読めます。
時代の描写を事実の説明にしない
時代を扱うと、現実の説明に寄りがちです。この記事ではそこを扱いません。
架空例で時代の置き方を見る
時代の置き方と出どころがどう噛み合うのか、四つ並べてみます。どれもこの記事で考えたもので、実在する作品のものではありません。
四つとも、扱う年代の古さでは分けられません。 出どころの強さで手触りが変わります。
残すときは確かめた範囲を書き分ける
控えるときは、どこまで自分で確かめたのかを必ず書き添えます。
時代もの・成長・読後感の入口との境目
近いところに別の入口があるので、線を引いておきます。
時代や人物を扱う作品を選ぶ見方とは別です。 あちらは時代そのものと創作の範囲が軸で、正確さの扱いを問題にします。こちらは暮らしの手触りを見ているので、架空の時代でも成り立ちます。
成長を描く作品を選ぶ見方とも分かれます。 あちらは何が変わるかが軸です。こちらは変わらない日常の描写のほうを見ています。
読後感から作品を選ぶ見方は、その手前の話です。 あちらは読みたい方向を決める段階で、こちらはその中の「懐かしさ」を出どころに分けています。 総論には戻りません。
手触りを決める前に見る5点
読み始める前に、ひととおり見ておきたいところです。
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 時代 | どう置かれているか |
| 出どころ | 四つのどれが強いか |
| 記憶 | 一致を条件にしていないか |
| 正確さ | 事実として読んでいないか |
| 掲載元 | 正規の場所で読めるか |
結局、懐かしさは「年代の一致」ではなく「暮らしの描写」から来る
懐かしさを感じる漫画を探すときにやることは、結局ひとつです。道具を読みたいのか、毎日の習慣を読みたいのか、街の見え方を読みたいのか、話し方を読みたいのか。先に決めること。
そこが決まってから紹介文を見ると、同じ棚の中でも見る場所が決まります。 扱う年代は、その次で足ります。
そして、知らない時代でも懐かしく読めます。 記憶との一致を条件にしなければ、合わなかった作品も、別の日には別の出どころが目に入るかもしれません。