COMISTA JOURNAL漫画を探す

不思議な雰囲気の漫画の探し方|日常と非日常の境目

公開日

「不思議」は怖さの言い換えではありません。説明されない出来事・意味のずれ・世界の理屈・語り手の揺れという四つの出どころに分け、怖さは別の度合いとして切り離して探す方法をまとめました。

「不思議な雰囲気の漫画の探し方」を表したイラスト

「不思議な感じ」で探すと、怖い話に行き着く

不思議な雰囲気の漫画が読みたい。そう思って探すと、怖い話ばかりが候補に出てきます。

不思議と怖いは、確かに近いところにあります。ただ、同じものではありません。 説明の付かない出来事にひやりとする作品もあれば、同じ出来事を穏やかに描く作品もあります。

「不思議」という言葉が、怖さとは別の四つの出どころから来ていることを示した図
四つは並びます。どれが強いかだけが違います

だから、先に分けます。何が不思議なのかと、それがどれくらい怖いのか。この二つを別々に決めると、候補の絞り方が変わります。

怖さ・怪異・難しさを不思議さの条件にしない

先に、混ざりやすいところを外しておきます。

見たいのは、不思議さがどこから来ているかです。

不思議の出どころを四つに分ける

「不思議」と感じる理由は、だいたい次の四つのどれかです。

説明されない出来事。 起きたこと自体ははっきりしているのに、理由が最後まで語られません。何が起きたかは分かるのに、なぜかが分からない状態が続きます。

見慣れたものの意味がずれる。 出来事は日常の範囲なのに、置かれ方や順番が少しだけ違います。読んでいるうちに、足元が動くような感じになります。

世界の理屈が違う。 その世界では当たり前として描かれる決まりが、こちらの感覚と合いません。登場人物は誰も驚いていません。

語り手の認識が揺れる。 出来事ではなく、見ている側が揺れます。同じ場面が何度も違って描かれることもあります。

出どころ 起きること
説明されない出来事 理由が語られない
意味のずれ 置かれ方が少し違う
世界の理屈 誰も驚いていない
語り手の揺れ 見え方が変わる

四つは重なります。 一つだけの作品もあれば、途中で入れ替わる作品もあります。

怖さは条件ではなく、度合いで見る

ここが、この記事でいちばん分けたいところです。怖さは不思議さの一部ではなく、別の目盛りです。

不思議さの出どころとは別に、怖さを三つの度合いとして並べた図
度合いは好みです。強いほうが優れているわけではありません
度合い 起きること 静かに読める
驚かせない 不安にならない 読める
ひやりとする 落ち着かない 場合による
怖さが中心 怖がらせにくる 読めない

同じ出どころでも、度合いは作品ごとに違います。 説明されない出来事は、穏やかにも、こわばった形にも描けます。

不思議さが立ち上がる位置で、入り方が変わる

四つの出どころは「何が不思議か」の話でした。もう一つ、それがどこで立ち上がるかという軸があります。 同じ出どころでも、位置が違うと読み始めの構えが変わります。

冒頭から不思議な作品があります。 一ページ目でもう理屈が違う、最初の場面で説明の付かないことが起きる。読者は最初から身構えられます。 世界の理屈が違う形と相性のよい置き方です。

途中でずれ始める作品もあります。 前半はふつうの日常として進み、どこかから噛み合わなくなる。どこで変わったのかが分からないところが読みどころになるので、意味のずれの出どころと重なります。

最後だけがずれる作品もあります。 ほとんどが日常で、終わり近くに一つだけ説明の付かないことが置かれる。短い作品でよく見かける形です。

ずっと同じ濃さの作品もあります。 強まりも弱まりもせず、不思議なまま一定に進む。語り手の揺れが中心にある作品に多い形です。

紹介文から読めるのは、冒頭型かどうかくらいまでです。 最初の場面に不思議な出来事が書かれていれば冒頭型、日常の説明だけなら途中型か最後型。どちらかまでは分かりません。

説明が付くかどうかで読後感が変わる

不思議な作品は、終わり方で印象がかなり変わります。

説明が付いて終わる作品。 出来事に理由が与えられ、読み終えたときに形が残ります。

付かないまま終わる作品。 理由は語られず、感じだけが残ります。

説明が付いて終わる形と、付かないまま終わる形を並べた図
どちらが良いという話ではありません

どちらが好きかは、その日の気分でも変わります。 分からないまま終わるのが心地よい日もあれば、形が欲しい日もあります。

紹介文からは、どちらなのかはほとんど分かりません。 結末に触れる紹介は普通されないからです。

架空例で出どころを見てみる

四つの出どころがどう場面になるのか、こちらで四つ書いてみます。実在する作品のものは一つも含みません。

四つとも、怖さの度合いは決まっていません。 同じ出来事を、穏やかにも張り詰めた形にも描けます。

控えるときは、読んだ範囲を分けて書く

気になった作品を控えるときは、どこまでが確かめたことなのかを分けておきます。

書き方は簡単で構いません。「一話まで読んだ」「紹介文だけ見た」と一言添えるだけで、後から見たときに区別が付きます。

怖さ別・怪異別・読後感別の入口との境目

近いところに別の入口があるので、線を引いておきます。

怖さの種類から短い作品を選ぶ見方とは別です。 あちらは怖さそのものを分ける話で、こちらは怖さを外に置いて不思議さを分けています。 同じ物差しは使いません。

怪異や妖怪が出てくる作品を選ぶ見方とも分かれます。 あちらは何が出てくるかと、その関わり方が軸です。こちらは何も出てこなくても成り立ちます。

読後感から作品を選ぶ見方は、その手前の話です。 あちらは読み終えたあとどうなりたいかを決める段階で、こちらはその中の「不思議」を分解しています。 総論には戻りません。

分からなさを決める前に見る5点

開く前に、さっと確かめておきたいところです。

不思議な雰囲気の漫画を選ぶ前に確認したい5項目のチェックリスト
全部そろわないことのほうが多いです
見るところ 確認すること
出どころ どの不思議さが強いか
度合い 怖さをどこまで許せるか
苦手 避けたい描写があるか
掲載元 正規の場所で読めるか
範囲 どこまで読んだか書いたか

結局、不思議さは「怖さ」と切り離して選ぶ

不思議な漫画を探すときにやることは、結局ひとつです。理由が語られないのを読みたいのか、日常がずれるのを読みたいのか、世界の決まりが違うのを読みたいのか、見ている側が揺れるのを読みたいのか。先に決めること。

そこが決まってから紹介文を見ると、同じ棚の中でも見る場所が決まります。 怖いかどうかは、その次に決めれば足ります。

そして、説明が付かないまま終わる作品は、失敗作ではありません。 分からなさを残すことが読みどころなので、合わなかった日は、また別の日に開けば別の見え方になるかもしれません。

この記事の内容に誤りを見つけた場合は お問い合わせ からお知らせください。編集方針は こちら にまとめています。