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吹き出しの形は何を伝える?漫画の声の読み方

公開日

同じ台詞を四つの形に入れて並べました。形が変わると、声の強さや遠さや心の内らしさの受け取りが変わります。ただし丸なら普通、とがっていれば怒り、といった割り当ては決まっていません。形ごとの読まれ方は一つではなく、作品ごとにも違います。

「吹き出しの形は何を伝える?漫画の声の読み方」を表したイラスト

形が違っても、台詞は同じ

台詞を囲んでいる線には、いろいろな形があります。丸いもの、とがったもの、雲のようなもの、四角いもの。

中に入っている言葉が同じでも、形が変われば受け取り方が変わります。 声が張っているように読めたり、遠くから届いているように読めたりします。

変わっているのは囲みの形だけです。 文字も、その置かれ方も、そのままです。

同じ台詞を四つの形に入れてみる

同じ台詞を四つの形に入れて並べ、形以外は変えていない図
台詞も文字の大きさも位置も同じです。変えたのは囲みの形だけです

図の四つは、中の言葉も、文字の大きさも、置かれている位置も同じにしてあります。

それでも、四つはそれぞれ違って見えます。 見比べると、自分がどこから受け取りを作っているかが分かります。

本来の形、と呼べるものは四つの中にありません。 どれもよく見かける囲みです。

置いた順にも意味を持たせていません。 左から順に強くなる、といった並べ方はしていません。

声の強さ・遠さ・心の内らしさ

受け取れるのは、おおまかに三つくらいです。

声の強さ。 張り上げているのか、抑えているのか。

声の遠さ。 すぐそばにいるのか、離れたところから届いているのか。

心の内らしさ。 口に出しているのか、出していないように見えるのか。

どれも「らしさ」どまりです。 形だけで言い切れるものではありません。

形と読みは一対一ではない

形ごとに読まれ方が複数並んでいて、一つに決まっていないことを示した図
どの形にも読み方が複数あります。どれも一例です
形 読まれ方の例
丸い形 声のまま・落ち着き
とがった形 強い声・遠くから
雲のような形 心の中・眠りの中
四角い形 語り・別の時間

表に書いたのは、どれも一例です。 この形ならこの読み、という決まりではありません。

一つの形が、いくつもの読まれ方を持ちます。 とがった形が、怒りではなく機械ごしの声を表していることもあります。

丸い形に何の印も無い、ということでもありません。 その作品の中で、丸が特別な意味を持っていることがあります。

作品ごとに割り当てが違う

同じ形が、作品によって別のものを表します。

ある作品では心の声だった形が、別の作品では遠くの声に使われています。先にどちらかを誤りと決めることはできません。

一冊読むうちに、その作品の割り当ては自然と分かります。 最初の数十ページで、たいてい見当が付きます。

分かったことを、次の作品へ持ち越さないでおきます。 持ち越すと、かえって読み違えます。

囲みの形で決めつけないこと

確かめたいのは、その一冊の中で形がどう使い分けられているかです。

尻尾の向きも手がかりになる

囲みから伸びている細い部分が、誰の声かを指しています。

誰に向かって伸びているか、画面の外を指しているか、どこにも伸びていないか。形そのものより、こちらのほうが分かりやすいこともあります。

どこへも向いていない場合もあります。 そのときは、まわりの人の様子から見当を付けます。

指している先が画面の外なら、その場にいない人の声です。 これは形の種類とは別の手がかりです。

同じ形が続くとき

一つの場面で、同じ形の囲みが並ぶことがあります。

同じ人が続けて話している形です。 形が同じなら、同じ調子で読めます。

別の人でも同じ形のことがあります。 そのときは、尻尾の向きで見分けます。

途中で一つだけ形が変わったら、そこが変わり目です。 声の調子か、話す人が変わっています。

続き方 見えること
同じ形が続く 調子が変わらない
一つだけ違う そこが変わり目

変わり目に気づかなくても、話は追えます。

形が無いこともある

囲みが一切ないまま、文字だけが置かれていることがあります。

それでも、受け取れなくなるということはありません。 まわりの様子と、文字の置かれている場所で見当が付きます。

囲みが無いことを、省略や手抜きとして読まないでおきます。 そう置くことが選ばれています。

囲みの有無そのものをどう読むかは、別の記事が受け持っています。

囲みの大きさと文字の量

形のほかに、囲みの大きさも目に入ります。

大きい囲み。 中の文字が多いことも、文字が大きいこともあります。

小さい囲み。 短い言葉が入ります。ひと言だけのことがあります。

文字が同じ量でも、囲みの大きさが違うことがあります。 余白の取り方で変わります。

大きいほど強い声、とは限りません。 説明が長いだけのこともあります。

形と大きさを分けて見ると、読み違えにくくなります。

線を引く側のことは扱わない

扱うのは、囲みを見る側の受け取りだけです。

線をどう引くか、角をいくつにするか、文字をどれくらいの大きさにするか、余白をどう取るか。そこは引く人が決めることで、読む側からは触れません。

図の四つを、形の手本として見ないでください。 受け取りが変わることを見せるために、中身をそろえて並べただけです。

線を引く側に興味が向いたときは、そのための記事を当たってください。

その一冊の割り当てを覚える

作品ごとに違うので、読みながら覚えることになります。

最初に出てきた形を覚えておきます。 たいていは、ふつうの会話に使われます。

違う形が出てきたら、そこで何が起きているかを見ます。 遠くからの声か、心の中かが分かります。

二度目に同じ形が出たら、前と同じ扱いかを見ます。 同じなら、その作品の割り当てです。

覚えたことは、その一冊の中でだけ使います。 別の本では通りません。

覚えなくても読めます。 気づくと、読み方が一つ増えるだけです。

内面の言葉を読み分ける記事との境目

近いところに置かれる記事があるので、受け持ちを先に分けます。

口に出した言葉かどうかを読み分ける記事は、言葉の役割のほうを追っています。 あちらが扱うのはその言葉が誰に向いていて、どう働いているかです。

ここで見るのは、囲みの形から何が受け取れるかです。 形だけでは役割まで決まらないので、そこから先はあちらに任せます。

絵の上に置かれた文字を読む記事とも別です。 そちらは囲みの外にある文字の話でした。

形・幅・作品差を見る

見るところ 確認すること
形 何が変わったか
幅 一つに決めてないか
作品差 一冊の中に留めたか
尻尾 誰の声か見たか
描き方 読む話に留めたか

一場面で形を見比べる

いま読んでいる作品で、吹き出しが二つ以上ある場面を一つ選びます。

形が同じか、違うか。違うなら、どちらの声が強く聞こえるかを言葉にしてみます。

その作品なりの使い分けが、そこで一つ見つかります。 見つかったら、同じ作品の中でだけ使えばじゅうぶんです。

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