カラー漫画の色を読む|気分・時間・場所の手がかり
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青は悲しい、赤は怒り、といった割り当ては成り立ちません。色から何かを受け取るときは、場面・光の向き・時間帯・まわりの面との差を一緒に見ています。同じ場面の色の名前だけを差し替えて、それだけでは読みが決まらないことを並べました。
色だけを取り出しても読めない
色の付いた作品を読んでいると、画面の色が変わった瞬間に何かを受け取ります。
そのとき、色そのものを見ているように感じます。けれど実際には、色と一緒にいくつものことを見ています。 何が起きている場面か、光がどこから来ているか、いま何時ごろか。
色を単独で取り出すと、その全部が抜け落ちます。 抜け落ちたぶんを、決まった割り当てで埋めようとすると外れます。
この記事の図は、色を塗っていない
先に断っておきます。 この記事に載せた図には、色を塗っていません。
理由は二つあります。一つは、この読み物が黒・白・黄・生成りだけで作られているためです。 図だけ別の配色にすると、続きものとして読みにくくなります。
もう一つは、色を塗ってしまうと、その色見本のほうが決まりに見えるからです。 「この青がこの気持ち」という受け取りを、図が作ってしまいます。
そこで、色は名前の札として置いてあります。 名前だけ替えても読みは決まらない、というのがこの記事の言いたいことなので、かえって都合がよいところもあります。
同じ場面で、色の名前だけ替えてみる
図の三つは、場面を説明する文がまったく同じです。 動かしたのは黄の札の中の一語だけです。
それだけでは、どんな気持ちの場面かは決まりません。 名前が変わっても、そこで何が起きているかは変わっていないからです。
色を見て何かを受け取ったとしたら、その手がかりは色以外のところから来ています。 次の節で、その一緒に見ているものを並べます。
場面・光・時間・まわりの四つ
| 一緒に見るもの | 見るところ |
|---|---|
| 場面 | 何が起きているか |
| 光 | 光の向き |
| 時間 | 朝か夜か |
| まわり | 前後の面との差 |
この四つのどれかが変われば、同じ色でも受け取りが変わります。
逆に、四つがそろっていれば、色が多少変わっても受け取りは大きく動きません。 色は単独の合図ではなく、まわりと一緒に働いています。
四つに順番はありません。 どれから見ても構いません。
色の名前で決めつけないこと
手がかりにしたいのは、色と一緒に何が置かれているかです。
光の当たり方
画面の色が変わる理由のうち、いちばん多いのが光です。
夕方の光、屋内の明かり、水の中、火のそば。その場の光がそのまま画面に出ているだけ、ということがよくあります。
気持ちの説明だと思って読むと、そこで外れます。 最初に確かめるのは、その場に光のもとがあるかどうかです。
光で説明が付いたら、それ以上は足さなくて構いません。
時間帯
朝と夕方と夜で、画面の調子は変わります。
これもその時間であることを示しているだけ、ということが多くあります。 気持ちとは関係なく、時計の役目をしています。
同じ場所が違う色で描かれていたら、時間が動いた合図かもしれません。 前のページと比べると分かります。
時間の合図として読めたら、そこで止めておきます。
まわりの面との差
一つの面だけを見ても、色の働きは分かりません。
前のページがずっと落ち着いた調子で、そこに一面だけ強い色が来る。 この落差のほうが、色そのものより強く働きます。
ずっと同じ調子が続く作品もあります。 そこでは、色は場所や時間の説明に使われていることが多くなります。
だから、見るのは差のほうです。
色が変わらない場面
ずっと同じ調子が続く場面もあります。 そこも読めます。
変わらないこと自体が、場所や時間が動いていない印になります。
長く続いたあとに変われば、その変わり目が強く働きます。 差が大きくなるためです。
| 続き方 | 見えること |
|---|---|
| 変わらない | 同じ場・同じ時 |
| 急に変わる | 場面が動いた |
変わらない場面を飛ばして読んでも構いません。 差を見るための土台になっています。
その一冊の色の使い分けとして読む
色の使い分けは、その一冊の中では一貫していることが多いところです。
読み進めるうちに、その作品なりの使い方が分かってきます。 分かったら、その一冊の中では手がかりになります。
別の本では通らないことが多くあります。 同じ色が、まったく別のことに使われています。
どこでも通じる決まりとしては持ち歩きません。
一部だけ色が付く場合
全部に色が付いているとは限りません。
冒頭の数ページだけ色が付いていることがあります。 そこだけ扱いが違う形です。
特定の場面だけ色が付くこともあります。 前後と違うので、そこが目に留まります。
色が付いている理由は、画面からは分かりません。 場面の側の理由とは限りません。
付いている範囲がどこかだけ見ておけば足ります。 理由まで決めずに済みます。
彩色の話には入らない
ここで扱うのは、出来上がった画面をどう見るかだけです。
どの色を選ぶか、どう組み合わせるか、どんな数値で指定するか、どういう手順で塗るか。そうした決め方は塗る人の領分で、この記事は立ち入りません。
色の名前の札も、色見本ではありません。 名前を替えても読みは決まらない、ということを見せるために置いたものです。
塗るほうへ関心が向いたときは、その分野の案内のほうが役に立ちます。
読む画面でも見え方が変わる
同じ画面でも、読む側の環境で見え方が変わります。
画面の明るさを変えると、暗い場面の見え方が変わります。
紙で読むか画面で読むかでも変わります。 同じ色がそろって見えるとは限りません。
明るい場所と暗い場所でも違います。 読んでいる場所の光が混ざります。
見え方が違っても、色以外の四つは変わりません。 そちらを手がかりにすれば、環境に左右されません。
明暗を読む記事との線引き
扱いが似て見える記事があるので、どこで分かれるかを最初に置きます。
明るさと暗さを読む記事は、色の付いていない画面を見ています。 あちらが扱うのは面の濃さと、その広がりです。
ここで見るのは、色が付いている画面で色以外に何を見ているかです。 濃さの話とは別の持ち場になります。
時間が動いたかどうかを見分ける記事とも重なりません。 そちらは枠や言葉も合わせた合図の話でした。
色・光・時間・まわりを見る
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 色 | 単独で決めてないか |
| 光 | 当たり方を見たか |
| 時間 | 時間帯の説明か |
| まわり | 前後と比べたか |
| 作品差 | その一冊の中か |
一場面で色以外も見る
色の付いた作品から、印象に残っている一面を思い出します。
そこに光源があったか、何時ごろだったか、前の面とどう違ったか。どれか一つでも思い出せれば、色だけで受け取っていたのではないと分かります。
うまく出てこなくても平気です。 次に読むとき、色と一緒に一つだけ見ておけば十分です。