漫画の見開きを読む|左右のページが作る表現
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見開きでは、左右が一度に目に入ります。広がり・対比・間・視線の動きという四つを、単ページのときと見比べる読み方をまとめました。読む側から気づける話だけを扱い、どう描くか・どう配置するかには入りません。
左右が同時に目に入る
ページをめくったとき、左右がまとめて目に入る場面があります。
片側だけを見ているときとは、入ってくる量が違います。 そこが見開きの出発点です。
一度に入る範囲が変わる
この記事の要はここです。
単ページのときは、片側だけが目に入ります。 見開きでは、両側がまとめて入ります。
図の破線は、その範囲を表しています。 裁ち線でも、安全域でもありません。
ページの大きさは変えていません。 変わるのは、一度に見えている広さだけです。
だから、同じ場面でも受け取り方が変わります。 順に見るのか、まとめて見るのかの違いです。
読む側で気づける四つ
| 気づけること | 何が変わるか |
|---|---|
| 広がり | 一度に入る量 |
| 対比 | 左右の見え方 |
| 間 | 何もない場所 |
| 視線の動き | 目の運び方 |
四つとも、読んでいる側から気づけることです。 作り方を知らなくても分かります。
四つが同時に出てくるとは限りません。 一つだけ効いている場面もあります。
広がりと、左右の対比
広さは、目に入る範囲が増えたことから生まれます。 遠くまで見えている、と感じる場面です。
左右で違うものが置かれていると、その差が見えます。 明るいほうと暗いほう、動いているほうと止まっているほう。
どちらが主役ということもありません。 並んでいること自体が、見え方を作ります。
間の置かれ方
何も描かれていないところも、目に入ります。
空いている場所が広いと、そこで時間が止まったように感じられます。 これは読む側の感じ方の話です。
空きを「足りない」とは読みません。 そこにあること自体が、読む速さを変えます。
視線の動き方
片側だけのときと、両側あるときでは、目の運び方が変わります。
まとめて見てから細かく見る、という順になることもあります。 順に追っていく場面とは違います。
どう動いたかは人によって違います。 正しい動かし方はありません。
見開きとして見えないことがある
ここまでは左右がまとめて目に入る前提で書いてきました。ただ、読む環境によっては、そうならないことがあります。 一度に入る範囲が変わるのだから、四つのうち効くものも変わります。
| 見え方 | 効くもの |
|---|---|
| 両側が出る | 四つとも |
| 片側ずつ出る | 対比が消える |
| 縦に流れる | 間だけ残る |
| 縮んで出る | 広がりが弱る |
左右がそろって画面に出るなら、四つとも効きます。 紙の本を開いた状態と同じです。この記事の書き方は、この見え方を前提にしています。
片側ずつ出る見え方では、対比がほとんど消えます。 左右で違うものが置かれていても、同時に目に入らないので、差として感じられません。 広がりも半分になります。同じ場面なのに、効き方が別のものになります。
縦に送って読む形では、左右という並びそのものがありません。 上から下へ一本で出るので、対比も視線の運びも使われません。 残るのは間の置かれ方だけです。もともと見開きで作られた作品を縦に流して読むと、ここが抜けます。
両側が出ていても、縮んでいると広がりが弱ります。 一度に入ってはいるのに、遠くまで見えている感じが出ない。 範囲の広さと、見かけの大きさは別の話です。
どの見え方でも、読めなくなるわけではありません。 話は追えます。抜けるのは、四つのうちのいくつかだけです。
気になったら、両側が出る形でもう一度見てみます。 同じページが違って見えることがあります。逆に、違って見えなければ、その見開きは四つに頼っていなかったということです。 それも分かることの一つです。
片側に収まるか、左右にまたがるか
同じ場面でも、片側に収まっていることと、左右にまたがっていることがあります。
またがっていると、一度に見る形になります。 収まっていると、片側の中で完結します。
どちらが優れている、ということはありません。 気づけば、読み方を選べるというだけです。
見開きは迫力の印ではない
大きく見えることと、強く感じることは別です。
静かな場面が見開きになっていることもあります。 何も起きていない時間を、広く取っている場合です。
逆に、小さな一コマのほうが強く残ることもあります。 大きさは、感じ方の物差しにはなりません。
作る側の話には入らない
こしらえた例で見る
使い方を見るために、こしらえた場面を4つ置きます。 どれも実在の作品ではありません。
四つとも、良し悪しを付けていません。 見えたことだけを控えています。
見開きを読む五つ
手を動かすのは、この五つだけで足ります。
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 範囲 | 一度に入るか |
| 広がり | 大きく感じるか |
| 対比 | 左右で違うか |
| 間 | 空きがあるか |
| 差 | 単ページとの差 |
埋まらない欄があっても進めます。 一度に入る範囲が見えていれば読めます。
左右を一度に見るところから
見開きを読むときにすることは、多くありません。描き方を考えるのではなく、一度に何が目に入ったかを見ること。
広がったのか、左右が違って見えたのか、空きが効いていたのか。それが分かれば、次の見開きも同じように読めます。
そして、気づかないまま読み進めても構いません。 気づいたときに、少し戻ってみれば足ります。