漫画の黒とトーンを読む|明暗が伝える雰囲気
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同じ形でも、地が明るいか暗いかで見え方が変わります。暗い面の広さ・場所・人物と背景の分かれ方・奥行き・視線の落ち先・前後との差という六つを、読む側から見比べる方法をまとめました。塗り方には入りません。
明るいところと、暗いところ
漫画の一面には、白いところと黒いところがあります。 その間に、灰色に見える面が入ることもあります。
灰色に見える面は、トーンと呼ばれます。 呼び名だけ分かっていれば、読むぶんには足ります。
違うのは明暗だけ
この記事で言いたいのは、次の一つです。
並べた二つの面は、枠も、中に置いた形も同じです。 変えたのは、暗いところの広さだけです。
それでも、見え方が変わります。 同じ形が、浮いて見えたり、沈んで見えたりします。
図の広さは、図を作るための都合です。 どれくらいが正しい、という決まりではありません。
変わった分は、並べて初めて見えます。 一枚だけを眺めていても、そこは出てきません。
暗い面の広さ・場所・前後の差
| 気づけること | どう見えるか |
|---|---|
| 暗い面の広さ | 広いか狭いか |
| 暗い面の場所 | 上か下か |
| 人物と背景 | 分かれて見える |
| 奥行き | 近く遠くの感じ |
| 視線の落ち先 | 目が行くところ |
| 前後との差 | 並びの中の違い |
どれも、そう見えることがある、という程度です。 決まった読み方ではありません。
六つが一度に出てくる面は、あまりありません。 一つだけ働いている面もあります。
暗い面の広さと、置かれた場所
暗いところが狭い面と、広い面では、目に入る重さが変わります。 同じ形でも、沈んで見えることがあります。
広さだけでなく、どこにあるかでも変わります。 上のほうが暗い面と、下のほうが暗い面では、落ち着き方が違って見えます。
どちらが正しいということはありません。 場面ごとに違います。
広さを測る必要もありません。 どのくらい暗いかを数えても、読む助けにはなりません。
人物と背景の分かれ方
明暗が違うと、人物と背景が分かれて見えます。 どこを見ればよいかが、そこで決まります。
明暗が近いと、溶けて見えることがあります。 すぐに見分けられない面もあります。
見分けにくいことは、欠点ではありません。 そう見せている面もあります。
奥行きと、視線の落ち先
手前と奥で明暗が違うと、離れて見えます。 平らな紙の上でも、奥行きを感じます。
目は、まわりと違うところへ行きやすくなります。 明るい面の中の暗いところ、暗い面の中の明るいところ。
ただし、必ずそこを見るとは限りません。 どこへ目が行くかは、人によって違います。
前後の面との差
並びの中に置くと、その面だけが違って見えます。 まわりが明るいほど、暗い面は目立ちます。
逆に、どの面も暗ければ、差はどこにもありません。 強く見えるところも出てきません。
だから、一枚で判断しません。 ページを戻して、前後と並べて見ます。
灰色の面の見え方
白と黒のあいだにある面も、見え方がいくつかあります。
濃さ。 黒に近い面と、白に近い面では重さが違います。
粒の細かさ。 細かい面は遠くから見ると平らに、粗い面は模様として見えます。
重ねられている面。 濃さが増して、黒に近づきます。
| 灰色の面 | 見え方 |
|---|---|
| 濃い | 黒の側に寄る |
| 薄い | 白の側に寄る |
| 粗い | 模様に見える |
細かく見分けなくても読めます。 明るいか暗いかだけで足ります。
意味を一つに決めない
同じ暗い面でも、受け取り方は分かれます。 重く感じる人も、静かだと感じる人も、何も感じない人もいます。
どれかが正解ということはありません。 分かれたまま置いておけば足ります。
登場人物の心の中を、明暗から決めることもしません。 絵がそう見えることと、その人がそうであることは別です。
作者がそう考えて描いた、とも決めません。 読む側から分かるのは、見えたところまでです。
白いままの面
何も置かれていない白い面も、読むところです。
人物の背景が白いままのことがあります。 場所が描かれない形です。
面の一部だけ白く抜かれていることがあります。 そこに目が行きます。
ページ全体が明るいこともあります。 前後に暗い面があると、そこだけ浮きます。
白いことに意味を割り当てません。 まわりとの差として見ます。
白い面が続くページもあります。 そこは差が出にくくなります。
塗り方の話には入らない
ページ全体で見る
一つの面だけでなく、ページごと離して見る手があります。
目を離して全体を眺めます。 どこが暗いかが、形として見えます。
暗いところが片側に寄っていることがあります。 ページの重さが偏ります。
ページごとに明暗が変わることもあります。 めくるたびに調子が動きます。
細かい絵は見えなくて構いません。 明暗の配りだけを見ます。
一冊を通して同じ調子のこともあります。 そこも、そのままで読めます。
明暗をこしらえた場面で見る
見方を確かめるために、作りごとの場面を四つ並べます。 いずれもこちらで組み立てたもので、実在の作品ではありません。
四つとも、意味を一つに決めていません。 目に入ったところだけを書き留めています。
広さ・場所・分かれ方を見る
実際にすることは、次の五つに収まります。
| 見るところ | 確かめること |
|---|---|
| 面の明暗 | 暗いか明るいか |
| 見比べ | 前後の面と |
| 分かれ方 | 人物が見えるか |
| 目の動き | どこへ行ったか |
| 決めつけ | 一つに決めないか |
欄が空いたままでも、先へ進んで構いません。 前後と見比べられていれば、それで読めます。
明暗を見比べるところから
明暗を読むのに、覚えることはほとんどありません。塗り方を考えるのではなく、前後の面と見比べるだけです。
暗いところがどこにあったか、人物と背景が分かれていたか、目がどこへ行ったか。それが見えれば、次の面も同じように読めます。
そして、人と感じ方がそろわなくても構いません。 決めずに置いておくほうが、読めるものは増えます。