お仕事漫画とは|仕事の知識と物語の読み分け
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作品に描かれている仕事と、現実で一般に行われていることは別です。作品内の設定・現実の制度・職場ごとの差・時代差・地域差・演出・省略の七つに分け、正誤を付けずに確認先の種類だけを控える読み分け方をまとめました。
仕事を描いた漫画は、手順書ではない
知らない仕事の様子が細かく描かれていると、そのまま現実の姿に見えてきます。
けれど、作品に描かれていることと、現実で一般に行われていることは、はじめから別のものです。
確認表の欄は三つだけ
この記事の要はここです。
作品内の描写・現実で確かめるか・確認先の種類。 見るのはこの三つだけです。
正しい・誤りの欄は作りません。 読む側には判定できませんし、判定する必要もありません。
はじめの二欄は、自分で埋めるところです。 気になった描写を書いて、確かめたいかどうかを決めるだけです。
埋まらない行があっても構いません。 空けたまま読み進められます。
分けて見るのは七つ
| 分けて見るもの | 何が違うか |
|---|---|
| 作品内の設定 | その作品の決め事 |
| 現実の制度 | 外で決まっている |
| 職場ごとの差 | 同じ仕事でも違う |
| 時代差 | いつの話か |
| 地域差 | どこの話か |
| 演出 | 見せるための形 |
| 省略 | 描かれない手順 |
七つが全部書かれている作品は、まずありません。 書かれていない分は、空けたままにします。
どれかが混ざっていること自体は、欠点ではありません。 物語として成り立たせるために要ることです。
作品内の設定と、現実の制度
作品の中には、その作品だけの決め事があります。 組織の形、呼び名、進め方。
現実の制度は、作品の外で決まっています。 そちらは作品を読んでも分かりません。
この二つが同じ場面の中に並んで描かれます。 だから読む側からは、境目が見えません。
見えないものを言い当てようとせず、「どちらかは分からない」と置いておきます。
同じ仕事でも、職場ごとに違う
同じ名前の仕事でも、やり方はところによって違います。
作品に描かれているのは、その作品の職場のやり方です。 取材した先が一つなら、なおさらそうなります。
「あの漫画ではこうだった」を、よその職場へ当てはめません。 そこでは違うかもしれません。
いつの話か、どこの話か
いつの話かが分からないと、どの時点の決まりと比べればいいかも決まりません。
どこの話かも同じです。 場所が違えば、決まりも慣れも変わります。
作品に書かれていないなら、空けたままにします。 推し量って埋めると、そこから先が全部ずれます。
演出と省略は、必ず入る
見せるために整えた形が入ります。 間の取り方、場面の切り方、言葉の選び方。
描かれない手順もあります。 全部描くと物語が進みませんし、読むほうも追えません。
省略されたところを「無い」とは読みません。 描かれていない、というだけです。
実務に関わることは、作品で確かめない
確認先には種類がある
| 確認先の種類 | どこを見るか |
|---|---|
| 公式の案内 | 出している側 |
| 決まりそのもの | 定めている文書 |
| やっている人 | その場にいる人 |
どれも作品の外にあります。 作品の中をいくら読み返しても出てきません。
種類が違えば、分かることも違います。 どれか一つで足りるとは限りません。
確かめないまま読んでも構いません。 仕事に使わないなら、そのままで十分です。
確かめたくなったら、どの順で当たるか
確認先には三つの種類があると書きました。どれか一つで足りるとは限らないので、当たる順を決めておきます。 順番があると、途中で目的が済んだところで止められます。
| 当たる順 | 分かること |
|---|---|
| 公式の案内 | 今の一般的な形 |
| 決まりの文書 | 定められた範囲 |
| やっている人 | その場の実際 |
最初は公式の案内です。 出している側がまとめて書いているので、いま一般にどういう形になっているかが短く分かります。 たいていの疑問はここで済みます。ただし、書かれているのは大づかみな形までで、細かいところは落ちています。
それで足りなければ、決まりそのものを見ます。 定めている文書に当たると、どこまでが決まっていて、どこからが各自の判断なのかが分かります。 案内では「こうします」と書かれていたことが、文書では「こうしてもよい」だったりします。 作品の描写が案内と違っていた理由が、ここで分かることがあります。
最後が、やっている人に聞くことです。 その場で実際にどうしているか。三つの中でいちばん具体的ですが、聞いた相手の職場の話でもあります。 前に書いた職場ごとの差が、そのまま返ってきます。一人に聞いて全体を決めないでおきます。
順を逆にすると手間が増えます。 人に聞いてから案内を見ると、聞いた話が一般の形なのか、その職場の形なのかが判断できません。 先に大づかみな形を知っておくと、聞いた話の位置が分かります。
三つ全部に当たる必要はありません。 読むために確かめるだけなら、一つめで止めて構いません。 仕事として使うなら、二つめまでは見ておく価値があります。
どれに当たっても、作品の描写が「誤り」だったとは書きません。 分かるのは、作品の外ではこうなっている、というところまでです。作品の中の決め事は、そのまま作品の中のものとして残ります。
架空の4例で確認表を埋める
埋め方を見るために、仮の場面を4つ用意します。 実在の職場や作品を指すものではありません。
四つとも、正しい・誤りの欄を使っていません。 確かめ先の種類だけを控えています。
読み分けの五つ
読みながら、次の五つを見ます。
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 中と外 | 分けて置いたか |
| 時代と場所 | 空欄を埋めてないか |
| 職場の差 | よそへ広げてないか |
| 演出 | 省略を無いにしてないか |
| 正誤 | 判定していないか |
全部そろわなくても構いません。 中と外を混ぜないでおければ、それで読めます。
正しさより、中の話か外の話かを分ける
仕事を描いた漫画を読むときにすることは、多くありません。正しいかどうかを決めるのではなく、いま見ているのが作品の中の話か外の話かを分けること。
その作品の決め事なのか、外で決まっていることなのか、見せるために整えた形なのか。分けておけば、どちらも損なわずに読めます。
そして、分からないまま楽しんで構いません。 仕事として使うときだけ、作品の外で確かめれば足ります。