漫画のトーンを選ぶ|明暗と質感を使い分ける
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トーンは濃度と質感という別々の軸で選びます。同じ一つの場面を使って濃度だけを変えた三段階と、濃度をそろえたまま質感だけを変えた二つを並べ、比較の条件を崩さずに見る方法をまとめます。濃いほど良いという関係はありません。
貼ったのに画面がまとまらない
トーンを入れたあとで、かえって散らかって見えることがあります。
貼る場所は合っています。 濃さと質感を同じ軸で選んでいるのが原因です。
そこで、二つを別々に決めます。 片方ずつ動かすと比べられます。
濃度と質感の二つの軸
| 軸 | 変わること |
|---|---|
| 濃度 | 画面の明るさ |
| 質感 | 面の手ざわり |
濃度は画面全体の明るさを動かします。 濃い面が増えると、白い場所が目立ちます。
質感は面そのものの見え方です。 同じ濃さでも、粒か線かで受け取り方が変わります。
この二つは独立しています。 一方を動かしても、もう一方はそのままです。
同じ場面で濃度だけを変える
三段階の濃度は、こちらで数値を決めて塗り分けたものです。 市販のトーンの番号とは関係ありません。
構図も人物も三つとも同じです。 変えたのは濃度だけです。
薄い段を外れとして扱いません。 明るい場面ではそちらが合います。
三つを並べて初めて、その場面に合う段が見えます。
質感は濃さと別の軸
二つとも同じ濃度です。 違うのは面の作り方だけです。
粒の面は空気や光に向きます。 線の面は布や影の方向に向きます。
二つに序列は付きません。 場面で使い分けます。
濃度を変えたいのに質感を変えてしまうと、比べる条件が崩れます。
濃いほど良いのではない
ここで押さえるのは、濃度と質感を別々に決めることと、比べるときは片方だけ動かすことの二つです。
貼らない場所を決めておく
白のまま残す面があると、濃い面が効きます。
全部に貼ると、どこを見ればよいか決まりません。 差が消えます。
人物の顔と、いちばん見せたい場所は白を残す候補です。 場面によって変わります。
先に残す場所を決めると、貼る場所は自然に決まります。
濃度の段をいくつ用意するか
段の数を先に決めておくと、コマごとに迷わずに済みます。
二段。 明るい面と暗い面の二つです。短い作品で扱えます。
三段。 あいだが一つ入ります。夜と昼の差が出しやすくなります。
四段以上。 隣り合う段の差が読み取りにくくなります。
| 段の数 | 起きること |
|---|---|
| 二段 | 差が強い |
| 三段 | 中間が出る |
| 四段以上 | 差が読めない |
決めた段の外を使わないようにします。 場面ごとに新しい濃さを作ると、揃いません。
種類を増やしすぎない
一本の中で使う種類を絞ると、読み手が覚えます。
覚えたあとは、同じ面が同じ意味として届きます。 夜の面、布の面、といった形です。
増やすと、覚える前に次が来ます。 見分けが付かなくなります。
足すのは、既にある種類で表せないときだけで足ります。
貼る順番を決める
どの面から貼るかを決めておくと、途中で崩れません。
いちばん濃い面から置きます。 上限が決まると、あいだの段が選べます。
次に白のまま残す面を確かめます。 上と下が決まります。
残りの面をあいだの段へ配ります。 二段か三段で足ります。
質感は最後に決めます。 濃さが決まってからのほうが、比べられます。
逆から貼っても構いません。 順番を毎回変えないことが要点です。
ベタの記事は黒の話
黒で画面を整理する記事が受け持つのは、いちばん濃い側です。
あちらは黒の面をどこへ置くか、ここは黒と白のあいだの段です。
黒面の位置が決まっていれば、段の幅も絞れます。 上と下が決まるからです。
黒面を置かない作りでも、段の選び方は変わりません。
背景で感情を表す記事は意味の話
人物の気持ちを画面へ広げる記事は、面に意味を持たせる側にあります。
あちらは何を表すか、ここはどの濃さと質感で出すかです。
表したいものが決まっていれば、選ぶ段も絞れます。 続けて使えます。
背景に意味を持たせない場合も、選ぶ手順は同じです。
縮めて見ると見え方が変わる
原稿の大きさで見た面と、読まれる大きさで見た面は違います。
離して見ます。 隣り合う段が同じに見えたら、差が足りません。
縮めて見ます。 細かい質感ほど、つぶれて一つの面になります。
画面と紙の両方で見ます。 同じ面でも受け取り方が変わります。
差が消えていたら、段のほうを広げます。 質感を増やしても差は戻りません。
濃度・質感・白を離して見る
| 離して見る | 確認すること |
|---|---|
| 濃度 | 段が付いているか |
| 質感 | 数を絞ったか |
| 白 | 残した場所があるか |
一コマだけ、二段そろえて見比べる
いま散らかって見えるコマが一つあるなら、同じ絵のまま濃度だけ二段用意します。
質感は二つとも同じにしておきます。 変える軸を一つに保ちます。
並べて選べば、その場面の段が決まります。 残りのコマは、決めた段を基準に置けます。