漫画のスピード線を使う|動く方向と背景を整理する
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スピード線は、人物や物の進む向きと対応していて初めて働きます。向きがそろった状態と、線だけを回した場合・人物だけを反転させた場合を並べ、どこで対応が崩れるかを図形の見本で見ていきます。向きに正しい側はありません。
線を引いたのに動いて見えない
スピード線を入れても、その場で止まって見えることがあります。
線は引けています。 動く向きと対応していないだけです。
そこで、向きの対応から確かめます。 本数や長さはそのあとで決まります。
向き・本数・長さが担うもの
| 線が担うもの | 読み手に起きること |
|---|---|
| 向き | 進む先が分かる |
| 本数 | 速さが変わる |
| 長さ | 距離が見える |
向きは進む先です。 ここが対応していないと、他をどう調整しても動きません。
本数は速さの目安です。 詰めるほど速く、空けるほどゆっくり見えます。
長さは移動した距離です。 短い線は近く、長い線は遠くまで動いた印象になります。
動く向きと線の向きを合わせる
並べた二つは、線の向きを説明するための図形です。 実際の原稿を起こした図ではありません。
矢印が人物の進む向きです。 細い線がスピード線にあたります。
二つが平行になっていれば、動いて見えます。 角度が一致していることが要点です。
正面から向かってくる動きでは、線は一点から放射します。 平行にはなりません。
合っていないとどう見えるか
線だけを回すと、背景だけが流れて人物が止まって見えます。
人物だけを反転させると、進む先と線が食い違います。 押し戻されているようにも見えます。
どちらも線の本数や長さでは直りません。 崩れているのは向きの対応です。
直すときは、どちらか一方だけを回して合わせます。
向きに上下は無い
覚えておくのは、向きの対応を先に見ることと、直すのは片方だけということの二つです。
本数と長さを決める順
向きが合ったあとに、本数と長さを決めます。 順番があります。
先に長さを決めます。 どこからどこまで動いたかが決まり、枠の中の位置も決まります。
次に本数です。 長さが決まっていれば、詰めるか空けるかだけの判断になります。
本数から決めると、長さを変えるたびに引き直しになります。
| 決める順 | 決まること |
|---|---|
| 一つ目 長さ | 動いた距離 |
| 二つ目 本数 | 速さの度合い |
どちらも向きが合ってから決めます。 向きが違うまま整えても動きません。
線を引かない選択もある
動きを線以外で示せる場面があります。
前後のコマで位置が変わっていれば、それだけで動いて見えます。 線は補助です。
引かないと、背景がそのまま残ります。 場所を見せ続けたいときに向きます。
引くかどうかは、場所を見せたいかで決まります。
動きの種類で引き方が変わる
同じスピード線でも、動きの種類で形が変わります。
横切る動き。 平行に引きます。いちばん扱いやすい形です。
向かってくる動き。 一点から放射します。中心は人物の奥に置きます。
回る動き。 弧を描いて引きます。中心は回っているものの内側です。
止まる動き。 進んできた側だけに残します。前方には引きません。
種類が決まらないうちに引くと、向きも決まりません。 先に動きの種類を言葉にします。
背景を残すか流すか
流すと速さが出ますが、どこにいるかは消えます。
場所が変わる直前は残しておくと、次の場面へつながります。 残さずに流すと、次の場面で位置を取り直すことになります。
一部だけ流す手もあります。 人物の周りだけ残す形です。
残す量は、次のコマで何を見せるかで決まります。
集中線の記事は一点へ集める話
集中線の記事が引くのは、一点へ集まる線です。
あちらは止まっているものへ目を向ける話、ここは動いているものを運ぶ話です。
同じコマで両方使うと、目の行き先が二つになります。 どちらかに絞ります。
動きが無い場面なら、あちらだけで足ります。
アクションの記事は動作そのものの話
前後の動作をつなぐ記事は、この判断の手前にあります。
あちらは動作の並び、ここはその動作に添える線です。
動作が通っていないと、線をどう引いても読めません。 あちらを片付けてから来ると、手戻りがありません。
動作が読めているなら、この節から入れます。
線が人物に掛かるとき
線を人物の上まで引くかどうかを決めます。
掛けない。 人物の形がそのまま残ります。顔を見せたい場面に向きます。
一部に掛ける。 手足の先だけに掛けると、動いている部分が伝わります。
全体に掛ける。 速さは出ますが、誰が動いているか読めなくなります。
顔には掛けないでおくと、読み手が追えます。 表情が要らない場面なら掛けても構いません。
掛けるかどうかは、そのコマで何を見せるかで決まります。
向き・背景・人物を見直す
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 向き | 動作とそろうか |
| 消失 | 背景が要るか |
| 人物 | 反転していないか |
一コマだけ、向きを合わせてみる
止まって見えるコマが一つあるなら、人物の進む向きに矢印を一本引きます。
その矢印とスピード線が平行かを見ます。 平行でなければ、線の側を回します。
一コマ合えば、残りも同じ手順で見られます。 本数と長さはそのあとで調整できます。