COMISTA JOURNAL漫画を描く

ホラー漫画の怖さを作る|見せる情報と隠す情報

公開日

同じ架空の場面について、情報を多く見せた形と一部だけ見せた形を並べて比べます。調整するのは不確実さ・予測・視点・情報量の四つで、危害の手順そのものは扱いません。少なく見せれば怖くなる、とも決まりません。

「ホラー漫画の怖さを作る」を表したイラスト

見せる量を決めないまま描くと、怖さが安定しない

怖い場面を描いたつもりでも、読み返すと手応えが変わることがあります。

何を見せて何を残すかが、場面ごとにぶれている状態です。 描写そのものは書けています。

そこで、同じ場面を二通りに書いて並べてみます。 差が見えると、次から決められます。

同じ場面を、二通りで書き比べる

同じ架空の場面について、情報を多く見せた形と一部だけ見せた形を左右に並べた図
場面は同じです。渡している情報の量だけが違います

並べた場面は、実在しない一場面です。 実際の出来事ではありません。

左は何がいるかまで書き、右は音と気配だけを残しています。 場面の骨組みは同じです。

どちらが怖いかは、話の作りで変わります。 右のほうが効くとは限りません。

両方を書いてから選ぶと、決め方が残ります。 次の場面でも使えます。

不確実さ・予測・視点・情報量

つまみ 動かすもの
不確実さ 分からない量
予測 先の見え方
視点 誰が知るか
情報量 渡す量
不確実さ・予測・視点・情報量の四つを目盛りとして並べ、同じ場面での位置を示した図
四つは別々に動きます。まとめて上げ下げするものではありません

四つは別々に動きます。 情報量を下げても、予測の側は上げられます。

全部を下げると、何も伝わらなくなります。 隠すだけでは場面が成り立ちません。

視点のつまみだけで手応えが変わることもあります。 知っているのが誰かが動くだけです。

目盛りの位置に正解はありません。 場面ごとに決めます。

少なく見せれば怖い、とは決まらない

渡す量を下げるほど強くなるわけではありません。

読む人が状況を組み立てられる分は残します。 そこを切ると、怖さではなく分からなさになります。

たくさん見せたうえで怖い場面もあります。 見えているのに避けられない形です。

量の多少ではなく、先が読めるかどうかで決めます。

この記事で扱わないこと

この線を越えなくても、四つのつまみだけで場面は作れます。

怖さで決めつけないこと

手元に置きたいのは、同じ場面を二通り書くことと、四つを別々に動かすことの二つです。

予測のつまみを動かす

四つのうち、予測はいちばん場面をまたいで効きます。

先に起きることを知らせておきます。 いつ来るか分からない時間が生まれます。

繰り返しを作ります。 二度同じことが起きると、三度目を待つことになります。

外します。 待っていたものが来ないと、そのあとが読めなくなります。

予測の動かし方 生まれるもの
先に知らせる 待つ時間
繰り返す 次への身構え
外す 先が読めない

予測を上げた場面の直後は、情報量を下げても通じます。 読み手が補うためです。

視点を変えると、同じ情報でも変わる

渡す量を変えずに、知っている人を入れ替える手があります。

読む人だけが知っている形と、登場する人だけが知っている形では、手応えが違います。 情報そのものは同じです。

誰も知らない形も作れます。 そこでは予測のつまみが効きます。

視点は場面の途中で移しても構いません。 移した跡が分かるようにします。

怖い場面をどこに置くか

強い場面を並べ続けると、受け取る側が慣れます。

あいだに何も起きない場面を置きます。 次が来る前の時間が、予測のつまみを上げます。

同じ間隔で置きません。 読み手が身構える位置を覚えてしまいます。

最初の一つは早めに置きます。 どういう話かが伝わり、そのあとの静かな場面が効きます。

最後の一つのあとは、静かな場面で閉じられます。 終わったあとに残ります。

置く数より、あいだをどう作るかで決まります。

語の範囲を確かめる記事との位置

ホラーと怪奇がどう使い分けられるかを照合する記事は、別に置いてあります。

あちらは棚の語が指す範囲を確かめる話で、こちらは一場面の見せ方を決める話です。

語の区別を決めなくても、四つのつまみは動かせます。 語の使い分けを決めてからでなくても構いません。

気になったときに開けば十分です。

怖さの種類から選ぶ記事との分かれ目

怖さの種類から作品を選ぶ記事は、読む側のために置いてあります。

あちらは自分に合う入口を探す話で、こちらは自分で書くときの量を決める話です。

使う語は同じでも、目的が反対です。 見つける側か、組む側かの差です。

怖さの種類を呼び分ける語は、あちらで手に入ります。

組み立てられる最低限

残す量を決めるときに、どこまで削れるかを見ます。

どこで起きているかは残します。 場所が分からないと、場面が像を結びません。

誰がそこにいるかは残します。 見ている人が分からないと、視点も決まりません。

何かが起きていることは残します。 起きているかどうかが分からないのは、怖さではありません。

この三つを残せば、あとは外せます。 相手の姿も、理由も、後で足りることがあります。

外して読み返して分からなければ、一つずつ戻せます。

残した量・予測・視点を見る

見るところ 確認すること
残した量 組み立てられるか
予測 先が読めるか
視点 誰が知るか
手順 再現できないか
素材 実在の出来事でないか

一つの場面で、一つだけ残してみる

いま怖い場面を一つ書いているなら、そこから情報を一つだけ外します。

外した状態でもう一度読みます。 組み立てられるかを見ます。

外して読み直すところまでで十分です。 別のつまみは、また今度でかまいません。

この記事の内容に誤りを見つけた場合は お問い合わせ からお知らせください。編集方針は こちら にまとめています。