COMISTA JOURNAL漫画を描く

ミステリー漫画を考える|真相と読者の情報を分ける

公開日

真相を決めるだけでは謎になりません。誰が何をどこまで知っているかをレーンに分けて並べ、手がかりを出す場面を決めていきます。題材は無害な作りごとで足ります。

「ミステリー漫画を考える」を表したイラスト

真相を決めても、まだ謎にならない

何が起きていたのかは決めたのに、読んでいる側がどこで驚くのか分からなくなることがあります。

真相が一つあるだけだからです。それを誰がどこまで持っているかを、別々に書き出す必要があります。

真相・読者・主人公の三本のレーンに、持っている情報の札だけを並べた図
空いているのは、まだ知らないところです

レーンは三本だけ描いた

図の札の位置は、三本とも同じところにそろえてあります。 そろえると、どこが違うか一目で分かります。

空いているところは、まだ知らないという意味です。 欠けている、という意味ではありません。

ばつ印も斜線も付けていません。 空いていること自体が情報だからです。

三本のレーンで太さも濃さも変えていません。 どれかを正しいレーンにしないためです。

真相・人物・読者・手がかり・誤解

分け方 この一件での中身
真相 三つとも分かる
人物が知る 箱が二つだけ
読者が知る 二つまで
手がかり 中身が違う
誤解できる 箱が二つ

図には最初の三つだけを描いてあります。 残りの二つは、書き出しておくだけで足ります。

同じ情報が二つの行に出ることもあります。 手がかりにも誤解のもとにもなるためです。

手がかりを一つ出すと

手がかりを一つ出したあと、主人公のレーンだけ札が増えた図
真相の側はどこも動いていません

動いたのは一本のレーンだけです。 真相の側は最初から変わりません。

誰のレーンを動かすかで、読み心地が変わります。 読者だけ先に知る形も、主人公だけ先に知る形もあります。

同時に動かさなくても構いません。 ずれている時間があるほうが、気になる場面になります。

誤解できる情報を置く

間違って受け取れる情報があると、謎は謎のまま保たれます。 嘘をつく必要はありません。

本当のことでも、出す順番によっては別の意味に読めます。 そこを狙って置けます。

あとで種明かしをするときに、その情報を消さずに済みます。 嘘ではなかったからです。

手がかりを出す順番

手がかりをいくつ置くかより、どの順で出すかが効きます。

意味が分からないものから出します。 後になって効いてくる形です。

意味が分かるものを後に出します。 そこで前のものとつながります。

同じ場面に二つ置きません。 片方が読み流されます。

出した手がかりを、レーンの表に印として残します。 どこで出したかが分かります。

回収しない手がかりを混ぜる場合は、それも決めておきます。 忘れたのか、置いたままなのかを自分が分かっている必要があります。

題材は無害なままで足りる

無害な題材の例を同じ大きさの札で四つ並べた図
四つはどれも作りごとです
題材 どんな謎か
なくなった本 誰が借りたか
消えたメモ いつ消えたか
入れ替わった箱 どちらが先か
席の移動 誰が動いたか

重い出来事でなければ謎にならない、ということはありません。 誰が動かしたかだけで一本書けます。

四つに上下は付けていません。 どれから始めても構いません。

身近な題材のほうが、情報の分け方を試しやすいこともあります。 起きたことが少ないぶん、追いやすいからです。

レーンが動かない場面

どのレーンも動かない場面が続くと、進んでいないように読まれます。

一場面に一つだけ動かします。 読者か人物のどちらかです。

両方が同時に動くと、差が消えます。 差が無くなると、次を読む理由が減ります。

誤解のほうを動かす手もあります。 知った情報が増えなくても、受け取り方が変われば動きます。

動かない場面を置くなら、別の目的を持たせます。 人物のやり取りや、場所の説明です。

五つの分け方だけが正しいわけではない

この五つは、書き出すときの取っかかりです。 決まった様式ではありません。

レーンを足しても減らしても構いません。 人物が二人いれば、レーンも二本に分かれます。

自分が追えていれば、分け方は何でも構いません。 表を整えるのが目的ではありません。

真相を明かす場面の置き方

最後にすべてのレーンをそろえる場面を置くことになります。

人物が話して明かす形。 誰が誰へ話すかを決めます。読者も同時に知ります。

読者だけが先に知る形。 人物が知らないまま終わる話もあります。

両方が同時に知る形。 手がかりが出そろったところで、読み手が先に気づくこともあります。

明かしたあとに、置いた手がかりを指し直しません。 読み返せば分かる形にしておけば足ります。

明かさずに終える形もあります。 その場合、読者のレーンをどこまで埋めるかを決めておきます。

組み直したくなったら

並べ直したくなるところを、三つ用意しました。 どれも作りごとで、実在の事件も作品も下敷きにしていません。

いずれも、事件のほうを大きくしていません。 持ち主を入れ替えているだけです。

真相を書き切ったか見る

ミステリーの情報を並べたあとに確認したい5項目のチェックリスト
分類をそろえるための表ではありません

真相を先に書き切ったか。 ここが空いていると、あとのレーンが決まりません。

手がかりを出す場面を決めたか。 どのレーンがいつ動くかまで決めると、書きやすくなります。

危ないやり方を書いていないか。 情報の持ち主だけを動かしていれば、そこに触れずに済みます。

レーンを二本引いてみる

謎づくりに、大きな事件は要りません。込み入った仕掛けを考えるのではなく、真相と読者のレーンを二本引くこと。

同じ一件を、どちらがどこまで持っているか。その差が空いているところです。 そこが謎になります。

レーンは途中で足せます。 人物が増えたら、そのぶん引けば足ります。

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