漫画の回想を見分ける|時間が変わる手がかり
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枠・色・言葉という三つの手がかりがありますが、どれか一つだけでは時間が動いたとは決まりません。手がかりを一つずつ足していくと読み方がどう変わるかと、同じ手がかりが回想以外にも使われる例を、こしらえた場面で並べました。
時間が動いたことは、何かで示される
読んでいる途中で場面が切り替わり、気づくと前の時間の話になっていることがあります。
そのとき、何も断りがないわけではありません。たいてい、画面のどこかに合図が置かれています。
ただ、合図の出し方は作品ごとに違います。 決まった記号があるわけではないので、いくつかの手がかりを合わせて見ることになります。
枠・色・言葉の三つ
| 手がかり | 見るところ |
|---|---|
| 枠 | コマの縁の形 |
| 色 | 面の調子の違い |
| 言葉 | 時を示す言い方 |
枠は、コマの縁の形が変わることです。 ふだんと違う縁になっていれば、そこで何かが切り替わっています。
色は、面の調子が変わることです。 全体が沈む、平らになる、線の重さが変わる。
言葉は、時を示す言い方です。 「あのとき」「子どものころ」のような言い方が置かれます。
一つだけでは決まらない
図は、同じ場面に手がかりを一つずつ足していったものです。
一つだけのときは、たいてい決まりません。 縁が変わっているだけなら、力を入れた場面という読みも残ります。
二つ重なると、他の読みが減ります。 三つそろえば、時間が動いたと読んでよさそうだと分かります。
数を数えて点にしているのではありません。 重なるほど、他の説明が付きにくくなる、というだけです。
同じ手がかりでも、回想とは限らない
手がかりそのものは、時間の合図専用ではありません。
縁を変えるのは、気持ちが揺れた場面や、夢や、想像の場面でも使われます。 色を沈ませるのも同じです。
時を示す言葉も、たとえ話のことがあります。 「昔のことみたいだ」は、いま起きていることについての言い方です。
だから、手がかりが来たら場面のほうを見ます。 その人がいまどこにいるかが分かれば、たいてい決まります。
手がかり一つで決めつけないこと
確かめたいのは、その人がいまどの時間にいるかだけです。
枠の変わり方
縁の形が変わるのは、いちばん目に入りやすい合図です。
太くなる、にじむ、角が取れる、そもそも枠が無くなる。どれも「ここは別扱い」という印になります。
別扱いが、必ず過去とは限りません。 前の節のとおり、夢や想像のこともあります。
その作品の中で、他にどんな場面が同じ縁になっているかを見ると早いです。
色や調子の変わり方
面の濃さや調子が変わることも、切り替わりの合図になります。
全体が沈む、線が細くなる、影が減る。ページをめくった瞬間に、なんとなく分かることが多いところです。
調子だけで決めないでおきます。 夜の場面や、屋内の場面でも同じように変わります。
前後のページと見比べると、切り替わりかどうかが分かりやすくなります。
言葉による合図
時を示す言い方は、いちばん確かな手がかりです。
日付、年齢、季節、出来事の名前。具体的なものほど強い手がかりになります。
ぼかした言い方は、そのぶん弱い手がかりです。 「あのころ」だけでは、どこまで戻ったかは分かりません。
その場で決まらなくても先へ進めます。 たいてい後のページで示されます。
人物の様子も手がかりになる
枠・色・言葉のほかに、描かれている人そのものが手がかりになります。
背丈や顔つき。 子どものころの場面なら、小さく描かれます。
髪の形や服装。 いまと違っていれば、別の時期です。
持っている物。 前に使っていた物が出てくることがあります。
| 見るところ | 分かること |
|---|---|
| 背丈 | 何年ぶん戻ったか |
| 服装 | 時期の違い |
| 持ち物 | そのころの様子 |
同じ姿のまま戻る場面もあります。 その場合は、ほかの手がかりで見ます。
現在に戻るところも見る
入口だけでなく、出口のほうにも合図があります。
戻ったところで縁が元に戻る、調子が戻る、誰かが声をかける。出口が分かると、どこまでが過去だったかがはっきりします。
出口がはっきり示されずに進む作りもあります。 そのときは、話がかみ合う位置まで読んでから判断します。
戻り先が入口と同じ場面とは限りません。 少し時間が進んでいることもあります。
どれくらい戻ったか分からないとき
過去だと分かっても、どこまで戻ったかは別の話です。
日付や年齢が出ていれば決まります。 具体的なものが置かれていることがあります。
出ていなければ、人の様子から見当を付けます。 背丈や服装が手がかりになります。
それでも分からないことがあります。 そのままで読み進められます。
あとの場面で示されることがあります。 急いで決めなくて構いません。
戻った幅より、いまどの時間の話かのほうが先です。
その一冊の合図として読む
合図の出し方は、その一冊の中では一貫していることが多いところです。
最初の何回かで、その作品なりの出し方が分かってきます。 分かったら、その一冊の中では使えます。
よその作品では通らないことが多くあります。 同じ縁が、まったく別のことに使われています。
どこでも通じる決まりとしては覚えないでおきます。 一冊ずつ見直すほうが、まわり道に見えて確実です。
合図が無いまま動くとき
手がかりが一つも置かれないまま、時間が動いていることがあります。
場面が変わったところで、突然別の時期になっていることがあります。 読んでいて引っかかります。
引っかかったら、少し先まで読みます。 どの時間の話かが、後の面で分かることがあります。
戻って読み直すこともできます。 どこで切り替わったかを探せます。
分からないまま読み終えても、たいてい困りません。 後から分かることもあります。
合図が無いこと自体は、作りの粗さとは限りません。 そういう作りです。
視点を読む記事との境目
取り違えられそうな記事があるため、先に境目を書いておきます。
誰の側から描かれているかを読む記事は、視点のほうを見ています。 あちらが扱うのはその人が知っている範囲や、内側の言葉です。
ここで見るのは、時間が動いたかどうかだけです。 視点が変わらないまま時間だけ動くこともあるので、別の持ち場になります。
縁や調子そのものの読み方を扱う記事とも重なりません。 あちらが追うのは描かれた面のほうの調子です。
数・枠・言葉・戻りを見る
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 数 | 一つで決めてないか |
| 枠 | 他の使い方もあるか |
| 言葉 | たとえでないか |
| 戻り | 現在に戻ったか |
| 作品差 | その一冊の中か |
気になった場面で手がかりを探す
読みかけの一冊から、時間が動いたと感じた場面を一つ選んでみます。
そこに、枠・色・言葉のうちどれが来ているかを見てみます。一つしか無ければ、別の読みも残っているということです。
二つ以上あれば、たいていそのまま読んで大丈夫です。 残りは読み進めるうちに分かります。