漫画の笑顔を描き分ける|喜び以外の意味を表す
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笑顔は喜びだけを表すわけではありません。同じ人物の同じ口の形のまま、目・眉・視線・姿勢を変えた五つを並べ、口角以外のどこで意味が変わるかを見ていきます。
笑っているのに場面と合わない
笑顔を描いたのに、その場面では浮いて見えることがあります。
口角を上げれば喜びになる、と考えて描いているからです。 笑う理由は一つではありません。
そこで、口を変えずに残りを動かします。 同じ笑顔で別の意味を出せます。
笑顔で動かせる四つ
| 動かすもの | 変わること |
|---|---|
| 目 | 開き方 |
| 眉 | 上下の位置 |
| 視線 | 見ている先 |
| 姿勢 | 体の向き |
目は開き方です。 細めるか見開くかで、同じ口でも印象が変わります。
眉は上下の位置です。 上がれば喜び寄り、下がれば困り寄りに読まれます。
視線は見ている先です。 相手を見ているか、外しているかで意味が分かれます。
姿勢は体の向きです。 顔だけでは足りないときに効きます。
口を変えずに五通り
顔は丸と線だけで組んでいます。特定の誰かを写したものではありません。
口の形は五枚とも同一です。 変えたのは目と眉だけです。
この図では、眉の高さを目から 22・9・17・13・9 の位置に置いています。 上・下・平・平・下という札がそれぞれに付いています。
同じ口でも、五つは別々に読めます。
目の開き方で何が変わるか
目は四つのうちいちばん先に読まれます。 開き方の段を置いておきます。
細める。 口と合わせると、和らいだ形になります。
ふつうに開く。 口の形がそのまま読まれます。
大きく見開く。 口が笑っていても、驚きや緊張が混ざります。
閉じる。 口だけが笑っている形です。読み手が意味を探します。
| 目の開き | 混ざるもの |
|---|---|
| 細める | 和らぎ |
| ふつう | 口のまま |
| 見開く | 驚き |
| 閉じる | 読み取りにくさ |
どれが正しいということはありません。 場面に合うものを選びます。
口だけ抜き出して並べる
五枚の口だけを取り出すと、どれも同じ形です。
違って見えていたのは、口ではなかったということです。 意味は周りが決めています。
口角の角度を細かく描き分けなくても、五通りは出せます。 手数は増えません。
口を基準にすると、変えた場所が分かります。
口角では意味が決まらない
口を止めたままにする。動かす場所は一つに絞る。 押さえどころはここです。
状況が読み方を運ぶ
同じ顔でも、前のコマが違えば読み方が変わります。
顔だけで意味を決め切る必要はありません。 場面の側が半分を運びます。
顔で迷ったら、前のコマを見直します。 顔を描き直すより早いことがあります。
顔と場面は分けて考えられます。
同じ人物で笑顔を使い分ける
一人の人物が、話の中で何度も笑います。 毎回同じ形にしません。
よく出る笑顔を一つ決めます。 その人の基準になります。
場面で意味が違うときだけ、目か眉を変えます。 口は変えません。
変えた笑顔は控えておきます。 同じ場面が来たときに使えます。
基準の笑顔を変えないのが要点です。 変えると、同じ人だと読みにくくなります。
笑わせない選び方もある
笑顔にしないほうが伝わる場面があります。
無理に笑わせると、読み手が意味を探します。 探した先に何も無いと止まります。
笑わない顔を混ぜておくと、笑った顔が効きます。 差が働きます。
どこで笑わせるかは話の側で決まります。
表情を組み合わせる記事は自由に動かす
目・眉・口・姿勢を組み合わせる記事は、四つをどれも動かす側にあります。
あちらは口も動かし、ここは口を止めたままにします。
変える軸を一つに固定すると、効いた場所が分かります。 目的が違います。
表情全般から入る場合は、そちらの手順が合います。
無言のコマの記事は場面の作り
行動と表情で伝える記事は、コマの組み立てを扱います。
あちらはコマの中に何を置くか、ここは顔の中で何を変えるかです。
台詞を使わない場面では、二つを重ねて使えます。 顔が持つ割合が増えます。
コマの側から組みたい場合は、そちらを開きます。
描いたあと三つを見比べる
| 見比べるところ | 確認すること |
|---|---|
| 口 | 変えていないか |
| 眉 | 札と合うか |
| 視線 | 相手を見るか |
一枚だけ、目を変えて並べる
いま場面と合わない笑顔が一枚あるなら、口はそのままにします。
目だけを二通り描いて並べます。 眉と視線は触りません。
読み比べて近いほうを採ります。 決まらなければ、次は眉だけを動かします。