COMISTA JOURNAL漫画を描く

無言のコマを使う|行動と表情で伝える場面づくり

公開日

同じ場面を台詞ありと台詞なしで並べ、言葉を外したときに何が残るかを見ます。無言が高度なわけでも、外せば伝わるわけでもなく、どちらを選ぶかだけを扱います。

「無言のコマを使う」を表したイラスト

言わせた方がいいのか、黙らせた方がいいのか

場面は決まったのに、台詞を入れるかどうかで迷うことがあります。

どちらかが上等だからではありません。外したときに何が残るかを、まだ見ていないだけです。

同じ二枠の場面を、台詞ありと台詞なしで上下に並べた図
どちらにも印は付けていません

上が台詞あり、下が台詞なし

図の上下は、同じ枠・同じ中身の場面です。

違うのは吹き出しがあるかどうかだけです。 絵の側は動かしていません。

二つは同じ大きさで描いてあります。 どちらかを上等にしないためです。

下の図にも印は付けていません。 無言が答えという意味ではありません。

行動・表情・位置・前の場面が残る

台詞を外しても残る四つを同じ大きさの札で並べた図
四つに順番はありません
残るもの この場面での中身
行動 鍵を置く
表情 目を合わせない
位置 扉の手前に立つ
前の場面 断られた後

四つが残っていれば、言葉なしでも通ります。 残っていなければ通りません。

前の場面は絵の中にありません。 それでも読み手は覚えています。

外せない場面もある

言葉でしか渡せない情報が入った場面を、台詞ありと外した場合で並べた図
外すと約束が渡らなくなります

名前・数・約束は、絵だけでは渡りません。 そこは言葉が要ります。

外すと、後の場面でつじつまが合わなくなります。 前提が落ちるためです。

下の段では、約束の中身がどこにも残りません。 そこが外せない理由です。

台詞を外す前に見ること

台詞を外す前に見る三つを同じ大きさの札で並べた図
三つのどれから見ても構いません
見るところ 確かめること
渡す情報 絵で渡せるか
前の場面 覚えていられるか
次の場面 つじつまが合うか

三つ通れば、外せます。 一つでも通らなければ、残します。

三つのどれから見ても構いません。 見やすいところから見られます。

外すかわりに短くする

全部外すか残すかの二つではありません。 あいだがあります。

一言だけ残します。 渡さなければならない情報だけを言わせます。

言いかけて切ります。 途中までが絵の側で補われます。

語りへ移します。 口に出さずに、心の中の言葉として残します。

吹き出しを小さくします。 声の大きさが変わり、無言に近づきます。

外せないと分かった場面でも、短くはできます。

無言の長さは選べる

一枠だけ黙らせることも、続けて黙らせることもできます。 長さは選べます。

長く続けると、読み手が待つ時間が伸びます。 伸ばしすぎると止まります。

途中で一言だけ入れる形もあります。 全部を外さなくて構いません。

無言の枠に何を描くか

台詞を外した枠が空いたままだと、間延びします。

手元を描きます。 何をしているかで、気持ちが読まれます。

視線の先を描きます。 何を見ているかが、言葉の代わりになります。

相手の側を描きます。 返事が無いことが、そのまま伝わります。

その場の物を描きます。 時間が流れていることが出ます。

顔だけを続けると、読み手が待たされます。 一枠おきに別のものを置けます。

無言のあとに置く一言

黙らせたあとで、どこに言葉を戻すかを決めます。

無言が終わった枠に置きます。 溜めた分だけ、その一言が効きます。

別の人物に言わせる形もあります。 黙っていた側は黙ったままです。

次の場面まで置かない形もあります。 黙ったまま場面が変わります。

戻した一言が説明だと、溜めた分が消えます。 短いほど残ります。

絵の側に残っているか確かめる

台詞ありとなしを見比べたあとに確認したい5項目のチェックリスト
無言の数を数える表ではありません

外した情報が絵の側に残っているか。 残っていなければ、外せません。

前の場面を覚えている前提になっていないか。 遠ければ、言葉で足せます。

外したのが狙いからか、迷ったからか。 迷ったままなら、残しておけます。

決められないとき

迷うところを、三つ並べました。 どれも作りごとの場面です。

三つとも、どちらが上等かを決めていません。残るものを見て選んでいます。

一枠だけ外してみる

無言の場面に、特別な技法は要りません。全部を外すのではなく、一枠だけ台詞を外してみること。

外した情報は絵に残っているか。次の場面で分からなくならないか。 そこまで見えれば、選べます。

戻すことにしても構いません。 並べて選んだのなら、それも選び方です。

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