COMISTA JOURNAL漫画を描く

漫画の葛藤を作る|選べない状況から物語を動かす

公開日

迷っている場面を書いても話は動きません。どちらを選んでも何かを失う形にすると、選ぶこと自体が出来事になります。架空の一場面で、二つの選択それぞれに代償を置くところまでを並べました。二択でなくても成り立ちます。

「漫画の葛藤を作る」を表したイラスト

迷っている場面が、まだ動かない

人物が考え込んでいる場面を書いても、そこから先へ進まないことがあります。

迷っている様子は描けていても、選ぶ理由が場面の中に無いためです。 どちらでもいいなら、どちらも選べます。

動き出すのは、どちらを選んでも何かを手放すときです。 そこを作ると、選ぶこと自体が出来事になります。

選択・代償・あとの三欄

一つの架空場面について、二つの選択と、それぞれを選んだときに失うものを並べた図
どちらの側にも失うものがあります。片方だけではありません

図に出てくる主人公と状況は、どちらも作り物です。 この記事の説明のためだけに作りました。

片方を選ぶと、もう片方で得られたものを手放します。 その手放すものを、はっきり書いておきます。

どちらの側にも書きます。 片方だけに代償があると、答えが決まってしまいます。

出来事そのものは小さくて構いません。 図の例は、部活と引っ越しの手伝いです。

書く欄 中身
選択 どちらを取るか
代償 何を手放すか
あと 何が残るか

代償が無いと、迷っているだけになる

失うものが書かれていないと、場面は迷っている様子で止まります。

読む側から見ると、どちらでも同じに見えます。 だから選んでも何も動きません。

逆に、両側に代償があると、選んだあとが変わります。 手放したものが後の場面に残ります。

そこまで書いて、はじめて次へつながります。

二つでなくてもいい

三つの選択それぞれに、失うものを並べた図
選択は二つに限りません。三つでも同じ形で書けます

選択の数に決まりはありません。

三つ並べても、書くことは同じです。 それぞれに、選んだときに手放すものを置きます。

数が増えると場面が長くなります。 そこは扱える範囲で決めて構いません。

一つしか道が無い場面も作れます。 そのときは、選ぶことではなく引き受けることが出来事になります。

葛藤で決めつけないこと

手元に置きたいのは、両側に代償があるかと、選んだあとに何が残るかの二つです。

大きさで強くはならない

手放すものを大きくすれば効く、というわけではありません。

その人物にとって重いかどうかが先です。 他人から見て小さくても、本人には重いことがあります。

場面の中で、その重さが分かるように置きます。 説明で足すより、それまでの場面で見せておくほうが効きます。

重さを足し続けると、どこが山場か分からなくなります。

代償に書けるもの

手放すものと言われても、何を置けばよいか決まりません。

時間。 片方を選ぶと、もう片方に使える時間が無くなります。

関係。 誰かとの約束を破ることになります。

機会。 次はいつ来るか分からないものです。

自分で決めていたこと。 守ってきた決まりを破る形です。

代償の形 後の場面に残るもの
時間 間に合わなかった先
関係 相手の側の変化
決めていたこと 破った本人の変化

その人物にとって重いものを選びます。 誰にとっても重いものである必要はありません。

日常の場面でも成り立つ

危ないことを持ち出さなくても、選べない形は作れます。

約束が重なる、どちらかしか手伝えない、時間が足りない。 どれも手放すものがはっきりします。

読む側にも近いぶん、重さが伝わりやすいところがあります。

危険な場面を作るときも、手順として書けることは扱いません。 ここで見るのは選択の形だけです。

手放したものを後の場面へ残す

選んだあと、手放したものがどこにも出てこないと、選んだことが消えます。

手放した側の相手を一度出します。 一言で足ります。

手放したものが必要になる場面を作ります。 そこで選択の重さが戻ります。

本人が思い出す場面を置きます。 説明せずに、動きで示せます。

全部を回収しなくて構いません。 一つ残れば、選んだことが残ります。

残さないと決める場合もあります。 その場合、選択は場面の中だけで完結します。

外から阻むものとは別

行く手をふさぐものを置く話は、別の記事が受け持っています。

あちらは場面の列のどこに阻むものを置くかという話で、こちらは本人の内側で選べなくなる形です。

両方を同じ場面に置くこともできます。 ただ、作るときは分けて考えるほうが手が動きます。

外からふさぐ側を作りたくなったら、そちらを見てください。

一本を通して書く手順との関係

一本を書き上げるまでの手順は、別の記事にまとめてあります。

あちらは手順を順に追う話で、ここで扱うのはそのうち選択の場面を厚くするところです。

すべての場面に代償が要るわけではありません。 話が曲がるところだけで足ります。

どこに置くか迷ったら、先に全体を一度通してみます。

選ばせない場面もある

すべての場面で選ばせなくて構いません。

選ぶ前に決まってしまう形があります。 時間切れや、他人が先に決める形です。

選べなかったこと自体が出来事になります。 そこで人物が何を思うかが残ります。

あとで選び直す場面を置けます。 一度目は選べず、二度目で選ぶ形です。

選ばせない場面を続けると、人物が動いていないように読まれます。 一本に一つか二つで足ります。

代償・重さ・あとを見る

見るところ 確認すること
代償 両側に書いたか
重さ 本人にとってか
数 二つに縛ってないか
危険度 強さと混ぜてないか
あと 選んだ先が変わるか

一場面だけ代償を書き足す

いま書いている場面に迷いがあれば、選択肢を二つ書き出します。

それぞれの下に、選んだら手放すものを一行だけ書きます。 片方しか出てこないときは、選択そのものがまだ弱いところです。

片方が空いたままなら、選択肢のほうを取り替えてみます。 両方埋まると、場面が動き出します。

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