COMISTA JOURNAL漫画を描く

主人公の目的を作る|物語を動かす行動の軸

公開日

人物の経歴を埋めるのではなく、主人公がいま何を追っているのかを一行で決め、そこから出る行動と結果まで並べてみます。目的は一つに限らず、途中で入れ替わっても構いません。

「主人公の目的を作る」を表したイラスト

経歴を埋めても、人は動き出さない

年齢や生まれ、好きな食べ物まで書き込んだのに、その人物が何もしてくれないことがあります。

足りていないのは情報の量ではありません。いま何を追っているのかが、まだ書かれていないだけです。

目的・行動・結果の三つの欄を横に並べ、同じ目的から別の行動が出ている図
欄のあいだに矢印は引いていません

同じ目的でも、出てくる行動は分かれる

この記事で押さえたいのは、次の一点です。

目的を決めても、行動は自動的には決まりません。 同じ望みから、まったく違う手が出てきます。

図で三つの行を同じ太さにしているのは、そのためです。 どれが正しい手かを示す図ではありません。

欄と欄を矢印でつないでもいません。 つなぐと一方向の道すじに見えてしまいます。

店を続ける目的から出る四つの手

行動 結果
値段を上げる 客が減る
品数を減らす 手が回る
人を雇う 家賃が重い
場所を移す 常連が離れる

上の三つは、どれも「店を続ける」という同じ望みから出ています。 四つめだけ、望みのほうが「別の形で残す」へ移っています。

結果の欄に良し悪しを書いていません。 得たものと失ったものが同じ行に並ぶことのほうが多いためです。

うまくいかなかった行も、そのまま置いてあります。 失敗として片付けると、そこから先が書けなくなります。

数はいくつでもかまわない

抱えているものが二つあっても、話は破綻しません。 両立しない二つだと、かえって見どころになります。

一つに絞ってから書き始める必要もありません。 描いているうちに片方が薄れることもあります。

逆に、一つだけでも足ります。 数の多さが深さになるわけではありません。

外に向いていなくてもいい

何かを手に入れる、という形でなくても構いません。 「思い出さないでいたい」のような望みでも動きます。

周りから見えない目的でも成立します。 本人しか知らないまま話が進むこともあります。

言葉にできていない状態から始めても構いません。 書き進めるうちに輪郭が出てくることがあります。

追うものを一行でどう書くか

目的の欄を一行で書くとき、形を決めておくと行動が出ます。

何をどうしたいかを書きます。 「店を続ける」のように、動詞で終わる形です。

いつまでかを足せます。 期限があると、行動が早く出ます。

誰のためかを足せます。 相手がいると、場面が作りやすくなります。

書く形 出やすい行動
動詞で終わる すぐ手が出る
期限がある 急ぐ手が出る
相手がいる 会う場面が出る

気持ちだけを書きません。 「不安を消したい」では、手が決まりません。

強さで測らない

望みの大きさを比べる必要はありません。 世界を救う話と、明日の当番を代わってもらう話に、上下はありません。

切実さを足せば良くなる、というものでもありません。 足しすぎると、人物のほかの面が見えなくなります。

図にも目盛りを置いていません。 強さを採点するための道具ではないためです。

目的が二つあるとき

一人が二つ抱えていても構いませんが、置き方で見え方が変わります。

両立する二つ。 どちらも追えます。話が広がりますが、山場が分かれます。

両立しない二つ。 どちらかを選ぶ場面が作れます。そこが山場になります。

片方が本人に見えていない二つ。 追っているつもりと、実際に動いている先が違う形です。

三つ以上になると、どれを追う話か決まりません。 二つまでで足ります。

二つ目を後から出せます。 最初は一つで書き始められます。

動かされる側から始めてもいい

巻き込まれるところから始まる話はたくさんあります。 自分で選び取るのは、ずっと後でも構いません。

流されたままで終わっても成立します。 変わらなかったこと自体が、その話の残るところになります。

能動的かどうかで作品の出来を判じません。 そこは書き手が決めることです。

途中で入れ替わっても構わない

三行目で目的の欄だけが入れ替わっている図
入れ替わった行にも印は付けていません

書いているうちに、追うものが変わることがあります。 それは筋が崩れたという意味ではありません。

入れ替わった行に印を付けていないのは、そのためです。 ぶれたとも、失敗したとも書いていません。

前の望みを消さずに残しておけます。 何を手放したのかが、そのまま人物の形になります。

目的・行動・結果・数・向き・変化

目的のどこを見るかを同じ大きさの札で六つ並べた図
順位を付けるための図ではありません
見る先 そこで見るもの
目的 何を追うか
行動 何をするか
結果 何が変わるか
数 一つでなくてよい
向き 内でも外でも
変化 途中で変わる

六つに順番はありません。 どこから見ても構いません。

そろっていなくても書き始められます。 行動が一つ出てくれば、そこから広げられます。

目的が変わる場面を置く

途中で追うものが変わる場合、変わる場面を置きます。

前の目的が達せられない、と分かる場面を置きます。 そこで切り替わります。

別のものが見つかる場面を置きます。 前の目的より近いものが出てきます。

変わったことを本人が言わなくて構いません。 行動が変われば伝わります。

前の目的を消しません。 手放したものとして残ります。

変える場面が無いまま入れ替わると、書き手が変えたように読まれます。

出てこないときの持ち方

手が止まったときのために、こちらで四つの状況を書き起こしました。 いずれも架空のもので、実在の作品から取ってきたものではありません。

四つとも、正解へ寄せる方向には動かしていません。 手が動く状態に戻すことだけを書いています。

書き出すときに確かめる五つ

主人公の目的を書き出すときに確認したい5項目のチェックリスト
強い目的を選ぶための表ではありません
確かめること どう見るか
目的 具体で書く
行動 そこから出る
結果 変化を書く
数 絞りすぎない
変化 変わってよい

埋まらない欄があっても進みます。 行動と結果が一組できていれば、もう動かせます。

一行書いて、手を出させる

主人公づくりに、細かな経歴表は要りません。設定を増やすのではなく、いま追っているものを一行にすること。

その望みから、どんな手が出るか。その手のあとで何が変わるか。 そこまで並べば、話は前へ進みます。

一つに決め切らなくても、途中で入れ替わっても構いません。 書き直せる余地を残しておくほうが、先まで続きます。

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