COMISTA JOURNAL漫画を描く

漫画に対立がないと感じたときの見直し方

公開日

殴り合いや言い争いを足すのではなく、選べない二つを見つけて場面に置きます。一人の中の迷いと、二人のあいだの対立を分けて書けば、静かなままでも話は動きます。

「漫画に対立がないと感じたときの見直し方」を表したイラスト

対立がないのではなく、見えていない

読み返して平坦に感じたとき、敵役を足したくなることがあります。

足りないのは相手ではありません。選べない二つが、まだ場面に置かれていないだけです。

一枚の札を縦の線で半分に割り、上に持ち主の名札を置いた図
名札が一つなら、一人の中の迷いです

名札の数で読み分ける

図で名札が一つの札は、一人の中で抱えている迷いです。

名札が二つの札は、二人のあいだの対立です。 持ち主が違うということです。

左右は同じ幅・同じ塗り・同じ太さにしてあります。 どちらかを選ばせる図ではありません。

あいだの線は区切りであって、向きではありません。 矢印は引いていません。

言う・残る・守る・頼るの四つの対

一方 もう一方
言う 言わない
残る 出る
守る 変える
頼る 一人でやる

四つとも声を上げていません。 それでも、どちらかを取れば何かを手放します。

手放すものがあるから、選べなくなります。 そこが対立の芯です。

一人の中か、二人のあいだか

同じ対を一人の中と二人のあいだの両方で置いた図
上下を付けるための図ではありません

同じ二つでも、誰が抱えるかで場面が変わります。 一人で迷う話にも、二人で食い違う話にもなります。

書き分けないまま混ぜると、どちらも薄くなります。 先に決めておくと迷いません。

あとから入れ替えても構いません。 一度書いてみてから、置き方を選べます。

内面の迷いと、人物どうしの対立は別

一人の中の迷いは、相手がいなくても成り立ちます。 決めかねている状態そのものが場面になります。

人物どうしの対立は、両方の言い分が要ります。 片方だけでは食い違いになりません。

同じ場面に両方あっても構いません。 ただし、同じものとして書かないほうが見やすくなります。

対をどう作るか

選べない二つを作るには、両方に取る理由が要ります。

どちらにも取る理由を一つずつ書きます。 片方に理由が無ければ、迷いません。

どちらを取っても手放すものを書きます。 手放すものが無ければ、両方取れます。

同じ人がどちらも欲しいと思える形にします。 一方が明らかに損なら、対になりません。

対の条件 欠けると
両方に理由 迷わない
両方に代償 両取りできる

大きな二つでなくて構いません。 言うか言わないかでも対になります。

対立の見え方

対立の見え方を同じ大きさの札で四つ並べた図
四つとも同じ大きさです
形 どんな様子か
言い合う 声に出る
黙る 何も言わない
選ばない そのままにする
離れる その場を出る

声に出るものだけが対立ではありません。 黙ることも、その場を出ることも形の一つです。

四つに上下は付けていません。 静かな形のほうが弱い、ということはありません。

対をどの場面へ置くか

対を作ったら、どこで見せるかを決めます。

早い場面に置くと、そのあとずっと効きます。 読み手が結末まで覚えています。

終盤に置くと、そこが山になります。 手前で積んだものが効きます。

同じ対を二度出せます。 一度目は選ばず、二度目で選ぶ形です。

置く場面が決まらないなら、人物がその二つに直面する場面を作ります。 対だけあっても場面になりません。

説明で渡しません。 選ぶところを見せると、対が伝わります。

選ばないまま進んでもいい

その場で決めさせなくても構いません。 持ち越したまま次の場面へ行けます。

最後まで選ばずに終わる話もあります。 選べなかったことが残ります。

あとから選び直しても構いません。 一度決めた側を引き返せます。

一本に何組置くか

対をいくつ置くかで、話の見え方が変わります。

一組。 どこが芯か分かります。短い話に向きます。

二組。 一人の中の迷いと、二人のあいだの食い違いを重ねられます。

三組以上。 どれを追えばよいか決まりません。

主になる一組を決めておきます。 残りは、その一組に触れる形にすると散りません。

人物ごとに一つずつ持たせる必要はありません。 抱えていない人物がいて構いません。

平坦に感じたとき

見直しに使う手を、三つ書き出しました。 どれも架空の場面で、実在の作品を指してはいません。

三つとも、強くする方向には動かしていません。 誰が抱えるかを決め直しています。

選べない対があるか確かめる

対立を見直したあとに確認したい5項目のチェックリスト
強さを測る表ではありません

選べない対があるか。 どちらを取っても何かを手放す形になっていれば足ります。

一人の中か二人かを決めたか。 ここが混ざっていると、場面がぼやけます。

悪役なしで成り立つか。 相手を足さずに書けるなら、そのまま進められます。

選べない二つを一組書く

対立づくりに、敵役は要りません。争いを足すのではなく、どちらも取れない二つを一組書くこと。

それを誰が抱えているのか。取ったとき、何を手放すのか。 そこまで決まれば、静かなままでも場面は立ちます。

選ばないまま終わっても構いません。 持ち越したことが、次の場面の芯になります。

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