COMISTA JOURNAL漫画を探す

サスペンス漫画を探す|追われる側と追う側の視点

公開日

同じ事件でも、誰の目から見るかで読み心地が変わります。追う側・追われる側・調べる側・巻き込まれる側・複数視点という五つの視点と、描写注意を三つの問いで確かめる方法をまとめました。結末や正体には触れません。

「サスペンス漫画を探す」を表したイラスト

誰の目から事件を見るか

サスペンスの漫画が読みたい。そう思って探すと、事件が起きる作品をまとめて候補にしてしまいます。

でも、同じ事件でも、誰の目から見るかで読み心地がまるで変わります。 追いかける側から見るのか、追われる側から見るのか、外から調べる側から見るのか。見える範囲も、分からないことも、その都度違います。

同じ事件の進行に、同じ長さの線でつながった五つの視点カードと、下に描写注意の帯を置いた図
視点に優劣はありません。事件はひとつで、見る位置が違います

もうひとつ、扱いに配慮が要る描写が入るかどうかも、選ぶときの手がかりになります。 どちらも先に決めておくと、開いてからのずれが減ります。

ホラー・謎解き・展開の速さをサスペンスの条件にしない

先に、混ざりやすいところを外しておきます。

見たいのは、誰の目から、何がどう進むのを見るかです。

視点を五つに分ける

追う側・追われる側・調べる側・巻き込まれる側・複数視点を同じ大きさのカードで並べた図
並びに順位はありません。どれも同じ事件を見ています
視点 確認すること
追う側 何を探すか
追われる側 何から離れるか
調べる側 どう情報を集めるか
巻き込まれる側 いつ関わるか
複数視点 情報差の見え方

追う側から見ると、探しているものが先にあります。 どこへ向かうか、何を手がかりにするかで話が進みます。

追われる側から見ると、距離を取ろうとする側の時間を過ごすことになります。 どこまで知られているかが分からないまま動く、その感じが読みどころです。

調べる側から見ると、情報が集まっていく順番そのものが話になります。

巻き込まれる側から見ると、事件がいつ自分のところへ来るかが分かりません。 関わるまでの時間が長い作品もあります。

複数視点なら、読者だけが両方を知っている場面が生まれます。 登場人物どうしの知っていることの差が、そのまま緊張になります。

視点が多いほど良いということはありません。 一人から離れないほうが分からなさが保たれることもあります。

視点と善悪は別

ここは取り違えやすいところです。

追う側と追われる側を同じ大きさのカードで並べ、下に「どちらが正しいかは視点からは決まらない」と置いた図
カードに善悪の札は付きません

不安と怖さは別

サスペンスの手ざわりは、次に何が起きるか分からないことから来ます。 誰が何を知っているのか、事件がどう動くのか。その分からなさが続きます。

怖さそのものが中心にある作品は、また別の読み心地になります。 重なることもありますが、同じものとして扱うと選び間違えます。

これは厳密な線引きではありません。 どちらとも言える作品はいくらでもあります。今日どちらを読みたいか、という程度の目印として使ってください。

事件の進み方を見る

視点が決まったら、事件がどう進むのかを見ます。

事件の進み方を見るときの三つの見どころを同じ大きさのカードで並べた図
並びに順位はありません

何が起きたのか、誰が何を知っているのか、次に何が起こりそうなのか。この三つのうちどこに時間が使われるかで、読み心地が変わります。

知っていることの差が中心の作品もあれば、次に起きることの予感が中心の作品もあります。どちらが優れているということはありません。

一つの事件で閉じるか、ずっと続くか

視点と描写注意を決めたら、もう一つ確かめておくと楽になります。事件がどこで閉じるかです。 苦手な描写に当たったら閉じてよい、と後で書きますが、そもそも途中で止めやすい作りかどうかは作品によって違います。

事件の区切り 途中で止めやすいか
一話で閉じる 止めやすい
数話で閉じる 区切りで止まる
全体で一つ 止めにくい
閉じないまま 終わりが来ない

一話ごとに閉じる作品では、その回で始まって終わります。 次に進まなくても取り残されません。合わなければそこで置けるので、はじめて読む分野では入りやすい形です。 そのかわり、分からなさが持ち越されないので張りは弱まります。

数話でひとまとまりになる作品では、区切りが飛び石のように来ます。 途中で止めると気になりますが、まとまりの終わりまで行けば落ち着けます。 どこで止められるかが目次から見当を付けられる形です。

全体で一つの事件を扱う作品では、最後まで閉じません。 分からなさが積み上がるので張りは最大になりますが、途中で止めると抱えたままになります。 読み切れる時間があるときに開くほうが向いています。

閉じないまま進む作品もあります。 一つ片付いても次が始まり、全体としての終わりが示されないまま続きます。 追いかけ続ける読み方を求める作りです。

紹介文からは、ここは目次と話数の刻み方で見当が付きます。 話ごとに副題が付いていれば閉じる形、巻をまたいで同じ題が続いていれば通しの形。視点よりも表に出やすいところです。

描写注意は三つの問いで見る

事件を扱う以上、読む人によってはつらく感じる場面が入ってきます。

暴力、出血、閉じ込められること、脅されること、連れ去られること、つきまとい、罪に関わる出来事、亡くなること、怪我、災害。

描写注意を確かめる三つの問いを同じ大きさのカードで並べた図
危険度の目盛りではありません

これを危険度の点数にはしません。 代わりに、三つの問いで見ます。

描写 事前に確認すること
暴力 直接描かれるか
監禁 場面が続くか
脅し どの程度か
死や怪我 描写があるか
つきまとい 扱われ方はどうか

含まれるか。どのくらい直接的か。事前に確かめられるか。 この三つだけです。

やり方の指南にはしない

この記事も、作品の紹介も、実際の手順を教えるものではありません。

尾行の仕方、追跡をかわす方法、監視を避ける方法、立ち入る方法、痕跡を消す方法、計画の立て方、人を脅す方法、人を拘束する方法、捜査から逃れる方法。どれもこの記事の範囲外です。

作品の中に出てくる手口を、手順として書き出すこともしません。 何が描かれているかは書けますが、どうやるかは書きません。

つきまといや脅しを美化しない

作品には、つきまとい、監視、脅し、拘束といった行為が出てくることがあります。

刺激や反応を売りにしない

結末に触れずに書く

サスペンスは、知らないまま読めるかどうかが読み心地を左右します。

見出しや画像からも中身は漏れます。 短い一言のつもりでも、そこだけで結末が読めてしまうことがあります。

視点と進み方までを書いて、その先は伏せる

控えるときに大事なのは、書いたことの出どころです。 公式の説明に載っていたのか、自分が読んで分かったのかを、それぞれ分けて残します。

そのうえで、視点と、事件の進み方の形までを書き留めます。 そこから先は伏せておきます。

架空例で立ち位置の違いを見る

同じ事件を見る位置だけを変えた例を、四通り置きます。実在の作品を指したものではありません。

4つとも、事件が起きるかどうかでは分けられません。 誰の目から見るかで、別の読み心地になります。

体験別・緊張もの・探偵もの・どんでん返しの入口との境目

混同されやすい入口との差を、ここで示しておきます。

分野そのものを決める話は、この記事の手前にあります。 サスペンスという分野を選ぶかどうかはそちらで、こちらはもう選んだあとの話です。

緊張感のある作品を探す見方とは、切り口が違います。 あちらはどんな状況が緊張を作るかを、 追跡・駆け引き・時間制限などに分ける話でした。こちらは分野をサスペンスに絞ったうえで、誰の視点から見るかを軸にしています。 状況の種類ではなく、立ち位置の違いです。

探偵役が出てくる作品を探す見方とも別です。 あちらは調べる人がどう事件に向き合うかが軸でした。 この記事では調べる側も五つの視点のひとつで、調べる人がいるというだけでそちらへ寄せません。

どんでん返しを楽しむ見方とも分かれます。 あちらは何が反転するかを伏せたまま探す話でした。 こちらでは、反転や真相があることをサスペンスの条件にしません。 最後まで大きな反転がない作品もあります。

視点を決める前に見る5点

開く前に、さっと確かめておきたいところです。

サスペンス漫画を探す前に確認したい5項目のチェックリスト
全部そろわないことのほうが多いです
見るところ 確認すること
視点 誰から見るか
進行 何が動いているか
描写 苦手なものがあるか
確認 注意書きがあるか
範囲 どこまで読んだか

結局、サスペンスは「事件が起きるか」ではなく「誰の視点か」で選ぶ

やることは結局ひとつです。誰の目から事件を見たいのかを、先に決めること。

追う側の時間を過ごしたいのか、追われる側の分からなさを読みたいのか、外から組み立てていく側に付きたいのか。そこが決まっていれば、事件が起きるというだけで選ばずに済みます。

そして、描写については分からないまま開くことのほうが多いはずです。 合わなければ閉じてよい、という前提で始めるほうが気楽に選べます。

この記事の内容に誤りを見つけた場合は お問い合わせ からお知らせください。編集方針は こちら にまとめています。