漫画の長いセリフを短くする|残す情報の選び方
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一つの台詞を情報ごとに分け、どれを残しどれを絵や後の場面へ渡すかを選びます。短いほど良いわけでも、説明を削るべきでもなく、残す情報の選び方だけを扱います。
吹き出しに入り切らない
書き上げた台詞を置いてみたら、吹き出しからあふれていることがあります。
書きすぎたからとは限りません。一つの台詞に、いくつもの情報が入っているだけです。
上が分ける前、下が分けた後
図のいちばん上の帯が、分ける前の台詞です。
その下に並ぶ小さな札が、中に入っていた情報です。 一つずつに分けてあります。
札の上に小さく書いてあるのが、その情報の種類です。 下が中身です。
札は二段に分けてあります。 上の段が残すもの、下の段が渡すものです。
どの札にも丸や印は付けていません。 残す側を正解にしないためです。
用・事情・場所・気持ちの四つ
| 入っていたもの | この台詞での中身 |
|---|---|
| 相手への用 | 鍵を返しに来た |
| 自分の事情 | 遠回りしてきた |
| 場所の説明 | 裏口が開いていた |
| 気持ち | 会いたくなかった |
四つとも要るとは限りません。 この場面で要るものだけ残します。
残さなかったものは消えません。 絵か、後の場面へ渡ります。
渡し先は三つある
| 渡し先 | どう渡るか |
|---|---|
| 絵 | 描けば分かる |
| 別の台詞 | 相手に言わせる |
| 後の場面 | 後で出せば済む |
絵で分かることは、言わなくて済みます。 鍵を持っていれば見えます。
三つとも使わなくて構いません。 一つ渡すだけでも短くなります。
どれを残すかの決め方
四つに分けたあと、どれを残すかで迷います。 決め方を置きます。
この場面で相手が動く理由になるものを残します。 動かなければ話が進みません。
次の場面で使うものを残します。 後で要る情報は、ここで出しておきます。
絵に描いてあるものは外せます。 見れば分かるからです。
| 残す目 | 判断 |
|---|---|
| 相手が動く | 残す |
| 次で使う | 残す |
| 絵にある | 外せる |
二つ以上残して構いません。 一つに絞る決まりはありません。
残すものを変えた別の形
同じ台詞でも、残す情報を変えれば別の台詞になります。 どちらも成り立ちます。
こちらは気持ちを残して、用件を絵へ渡してあります。 場面の狙いが違うからです。
二枚は同じ並びで組んであります。 先に選ばせないためです。
渡した先でいつ出すか
渡し先を決めても、いつ出すかが残ります。
絵へ渡したものは、そのコマで出ます。 待たせません。
別の台詞へ渡したものは、同じ場面の中で出します。 場面をまたぐと忘れられます。
後の場面へ渡したものは、出す場面を決めておきます。 決めないと落ちます。
渡したまま出さないと、読み手には無かったことになります。 控えておきます。
出さなくてよいと分かったら、そこで消せます。
分けられないときは分けなくてよい
一続きでしか言えない台詞もあります。 無理に切らなくて構いません。
その場合は吹き出しのほうを大きく取れます。 枠の取り方で収まることもあります。
二つの吹き出しに分けて、間を置く手もあります。 言葉を減らさずに済みます。
分けると相手の台詞が増える
渡し先に別の台詞を選ぶと、相手が話す量が増えます。
会話の往復が増えて、コマも増えます。 紙幅を使います。
往復が増えると、間が生まれます。 一息で言うより時間がかかって見えます。
増やしたくない場面では、絵か後の場面へ回します。 渡し先は三つあります。
どの渡し先を選ぶかで、場面の長さが変わります。 短くすること自体が目的ではありません。
削りあぐねるとき
迷うところを、三つ用意しました。 どれもこしらえた台詞での話です。
三つとも、文字数を数えていません。何を残すかで決めています。
要る情報が残っているか確かめる
この場面で要る情報が残っているか。 ここが落ちていたら、選び直します。
渡した情報に渡し先があるか。 先がないと、そのまま消えます。
短くするために意味を変えていないか。 変わったなら、元のほうが正しい形です。
一つの台詞を分けてみる
台詞を短くするのに、決まった長さは要りません。削るのではなく、一つの台詞を情報ごとに分けること。
この場面で要るのはどれか。残りはどこへ渡せるか。 そこまで見えれば、短さは後から付いてきます。
長いまま残す台詞があっても構いません。 分けた上でそう決めたなら、それが選び方です。