COMISTA JOURNAL漫画を描く

漫画の場面をつなぐ|場所と時間を迷わせない

公開日

場面が変わるとき、場所・時間・人物・直前の出来事のどれを渡すかを決めます。コマの描き方ではなく、次の場面に入る前に読み手へ何を渡すかという順序の話です。

「漫画の場面をつなぐ」を表したイラスト

場面が変わった瞬間に読み手が止まる

次の場面へ移したとたん、どこの話か分からなくなることがあります。

描き方が足りないのではありません。渡すはずの情報が、渡らないまま移っているだけです。

二つの場面の箱のあいだに、渡す情報の小札を横一列で置いた図
あいだの帯に置いたものが渡ります

あいだの帯に置いたものが渡る

図の二つの箱のあいだにある帯が、場面と場面のつなぎです。

そこに置いた小札が、次の場面へ持ち越されます。 置かなければ渡りません。

小札は四つとも同じ大きさで描いてあります。 どれかを必ず入れる印にはしていません。

箱のあいだに矢印は引いていません。 上下に並んでいること自体が順です。

場所・時間・人物・直前の四つ

渡すもの 何が決まるか
場所 どこにいるか
時間 いつのことか
人物 誰がいるか
直前 何があった後か

四つ全部を渡す必要はありません。 一つでも迷いは減ります。

四つに順番もありません。 渡しやすいものから置けます。

渡さなかった場合

あいだの帯が空いたまま、次の場面へ移っている図
帯が空いていても間違いではありません

帯が空いていると、読み手は自分で補うことになります。 それが狙いなら構いません。

空いている帯に印は付けていません。 足りないという意味ではありません。

上下の図はどちらも同じ枠で描いています。 一方だけを手本にしないためです。

前の場面の終わりにも置ける

渡す情報は、次の場面の頭でなくても構いません。 前の場面の終わりで言っておけます。

先に言うと、移ったときに読み返さずに済みます。 どちらに置くかは選べます。

両方に置くと重なります。 片方で足ります。

変わったものだけ渡す

四つのうち、前の場面から変わったものだけを渡します。

同じ部屋の続きなら、場所は渡しません。 分かっているものを渡すと重くなります。

同じ日の続きなら、時間も要りません。 変わっていないからです。

人が増えたなら、そこだけ渡します。 誰が去ったかも同じです。

前と比べて 渡すか
変わった 渡す
変わらない 渡さない

全部変わった場面では、四つとも渡すことになります。 そこは重くなって構いません。

直前に何があったかを渡す

四つのうち、直前がいちばん分かりにくいところです。

新しい場面が始まる前に何が済んでいるかのことです。 移動、食事、待ち時間などです。

渡さないと、読み手は続けて起きたと読みます。 あいだが抜けたように見えます。

一言で足ります。 「着いたばかり」「待たされた後」のような形です。

直前を渡すと、時間も一緒に渡ることがあります。 二つ書かずに済みます。

見せる必要はありません。 描かずに、台詞や様子で足ります。

一つ渡すだけでも変わる

場所だけ渡せば、どこの話かは決まります。 時間は後から分かることがあります。

時間だけ渡す形もあります。 同じ部屋で日が変わったときなどです。

どれを渡すかは場面ごとに違います。 毎回そろえなくて構いません。

場面の数が多い一本では

場面が何度も変わる作りでは、つなぎの数も増えます。

全部のつなぎで四つ渡すと、渡すことで一本が埋まります。

大きく移るところだけ渡します。 場所も時間も変わる切り替えです。

小さな移りは渡さずに続けます。 同じ場所の続きなら、そのまま移れます。

渡す場所を決めておくと、数が増えても重くなりません。

渡さない切り替えが続いたら、そこで一度渡します。 読み手が現在地を見失う前に置きます。

つなぎに迷うとき

渡しそこねやすいところを、三つ並べました。 どれも架空の場面での話です。

どれも、コマの描き方には触れていません。渡す情報だけを動かしています。

どこの話か分かるか確かめる

場面のつなぎを決めたあとに確認したい5項目のチェックリスト
親切さを測る表ではありません

どこの話かが分かるか。 場所が渡っていれば、たいてい足ります。

渡しすぎていないか。 四つ並べると、移るだけで重くなります。

前の場面の終わりでも置けるか。 置き場所は二つあります。

場所を一つ渡してみる

場面のつなぎに、特別な見せ方は要りません。画面を工夫するのではなく、あいだの帯に場所を一つ置くこと。

それで足りるか。足りなければ、時間をもう一つ足すか。 そこを試せば、つなぎは決まります。

渡さないまま移る場面があっても構いません。 空けておくのも選び方です。

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