漫画のコマの大きさを決める|強調と時間の配分
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コマの大きさは、強調の度合いと読む速さの二つを動かします。同じ一場面を大小の二通りで並べ、さらに前後のコマとの関係で受け取り方がどう変わるかを見ていきます。大きく取るほど良くなるという関係ではありません。
どの大きさにすればいいか決まらない
枠を割ったあとで、一つ一つの大きさに手が止まります。
大きくすれば目立ちますが、全部を大きくはできません。 紙幅は決まっています。
そこで、大きさが何を動かしているかを二つに分けます。 決める根拠がそこに出ます。
強調と時間の二つを担う
| 働き | 読み手に起きること |
|---|---|
| 強調 | そこで目が止まる |
| 時間 | 読む速さが変わる |
強調は、その一枚に目を留める働きです。 大きいほど留まる時間が延びます。
時間は、通り過ぎる速さのほうです。 小さく並べると連続して見え、速く読めます。
この二つは同時に動きます。 片方だけを狙って変えることはできません。
同じ場面を二つの大きさで置く
並べた二つの枠は、紙の上でこちらが決めた寸法です。 既存の誌面を計測して作った比率ではありません。
中身は二つの枠で共通です。 縦横の寸法だけに差を付けました。
大きいほうは、その場面に留まる時間が延びます。 小さいほうは次へ進む速さが出ます。
二つとも場面として通ります。 目的が違うだけです。
差は前後との関係で決まる
同じ大きさでも、前後が小さければ大きく見えます。
前後も大きければ、その一枚は目立ちません。 絶対の寸法ではなく差で決まるからです。
中央の枠は二本で寸法を共通にしました。 手を入れたのは左右の枠です。
強調したい枚の前を詰めると、同じ紙幅のまま差が作れます。
大きさに上下を付けない
手元に残すのは、強調か時間かを先に決めることと、前後との差で作ることの二つです。
小さいコマを続ける場面もある
同じくらいの小さな枠を並べると、そこだけ速さが出ます。
やりとりが続く場面や、移動の途中がこれに当たります。 留まらせたくない区間です。
速さが出た直後の一枚は、同じ寸法でも強く見えます。 差が作られるからです。
並べ続けること自体は欠点になりません。
縦と横のどちらを伸ばすか
同じ面積でも、どちらへ伸ばすかで働きが変わります。
横へ伸ばす。 横の広がりが入ります。場所や並んだ人物に向きます。
縦へ伸ばす。 上下が入ります。立ち姿や落ちる動きに向きます。
正方形に近づける。 どちらにも寄らず、中身だけが見られます。
| 伸ばす向き | 入るもの |
|---|---|
| 横 | 場の広がり |
| 縦 | 高さと落下 |
面積を増やさずに形だけ変える手もあります。 紙幅が足りないときに使えます。
一枚だけ大きく取る手
一ページに大きい枠を一つだけ置くと、そこが自然に軸になります。
二つ置くと、どちらが軸か決まりません。 読み手は両方を候補として見ます。
軸を一つにすると、残りの枠は寸法を気にせず割れます。 判断の数が減ります。
軸の位置は場面が決めます。
一ページに何枚入れるか
一ページの枚数が決まると、一枚あたりの寸法も決まります。
少ない枚数。 一枚が大きくなり、ゆっくり読まれます。
多い枚数。 一枚が小さくなり、速く進みます。
ページごとに枚数を変えると、読む速さが変わります。 変えること自体が強調になります。
同じ枚数が続くと、速さが一定になります。 落ち着いて読める区間です。
枚数を先に決めてから寸法を割る順でも進められます。
紙幅が足りないとき
大きく取りたい枠が入らない場面があります。
前後を小さくします。 同じ面積のままでも、差で大きく見えます。
次のページへ送ります。 めくった先の一枚目は、それだけで目が留まります。
形を変えます。 横へ伸ばせば、面積を増やさずに広がりが出ます。
中身を減らします。 一枚に入れるものを減らすと、小さくても読めます。
削れないなら、割り方のほうへ戻ります。 寸法だけでは解けません。
コマ割りの記事とは決めるものが違う
読む順番と見せ場を作るコマ割りの記事は、ひとつ前の工程を扱っています。
あちらが決めるのは枠の並び方で、こちらが決めるのは一枚ごとの寸法です。
並びが未定なら、先にそちらを片付けるほうが早く済みます。
割り終えた図に対して、そのまま続けて使えます。
視線誘導の記事は中の配置を見る
絵と吹き出しで視線を導く記事は、同じ工程の別の面を見ています。
向こうが扱うのはコマの中の配置、ここで扱うのは枠そのものの寸法です。
大きさを決めたあとで、中の配置を詰める順になります。 逆の順でも回りますが、寸法が変わると配置もやり直しになります。
順番は入れ替えても働きます。
差・目的・連続を見る
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 差 | 前後と変えたか |
| 目的 | 強調か時間か |
| 連続 | 同じ大きさが続くか |
一場面だけ、二つの大きさで置いてみる
いま迷っている枠が一つあるなら、同じ中身のまま大小の二通りを引きます。
留まってほしいか、通り過ぎてほしいかで選びます。 寸法から入らなくても選べます。
一つ決まれば、その前後も同じ基準で動かせます。 残りの場面は、同じ二つを並べれば決まります。