ペン入れの線が震えるときの作画上の確認
公開日
同じ試し描きを拡大率と手の置き方を記録しながら並べ、見え方と突き合わせます。特定の道具や設定値を正解として挙げず、自分の記録から選び直す方法を扱います。
線が震えて、同じ線が引けない
下描きはきれいなのに、ペン入れの線だけが波打つことがあります。
手が下手だからとは限りません。どの条件で引いた線なのかを、記録していないだけです。
一枚の試描に一つの記録
図の左が試し描き、右がそのときの記録です。一枚に一つずつ付けてあります。
記録が付いていない試描は比べられません。 どちらの条件か分からないためです。
記録する欄はこちらで決めたものです。 増やしても減らしても構いません。
どの試描にも丸や印は付けていません。 正しい条件を決めないためです。
試し描きに何を引くか
引く形が回ごとに違うと、比べられません。 三つに決めておきます。
長い直線。 いちばん揺れが出る形です。支点の違いがここに出ます。
ゆるい曲線。 速さの違いが出ます。入りと抜けも見えます。
閉じた円。 始めと終わりが合うかで、手の動かし方が分かります。
| 引く形 | 出るもの |
|---|---|
| 長い直線 | 支点の違い |
| ゆるい曲線 | 速さの違い |
| 閉じた円 | 始めと終わり |
三つを同じ紙に並べます。 一枚で条件がそろいます。
記録する三つ
| 記録すること | 何と比べるか |
|---|---|
| 拡大率 | 線の太さ |
| 手の支点 | 線の揺れ |
| 引く速さ | 線の入り |
三つとも数字でなくて構いません。 大きめ、小さめでも足ります。
同じ日に続けて取ると比べやすくなります。 条件がそろうためです。
拡大率で見え方が変わる
線そのものは二枚とも同じです。 変えたのは見ている大きさだけです。
拡大したまま引くと、小さな揺れが見えます。 縮めると消えます。
仕上がりの大きさで確かめられます。 引くときの大きさとは別です。
変える条件の順番
三つの条件を、どの順で動かすかを決めておきます。
拡大率から動かします。 引き方を変えずに済むので、差が出たかどうかがすぐ分かります。
次に手の支点です。 指、手首、肘のどこで動かすかを変えます。
最後に速さです。 体の動かし方が変わるので、いちばん慣れが要ります。
一つ動かすたびに一枚引きます。 まとめて変えると、どれが効いたか分かりません。
戻すときも同じ順でたどります。 どこまで戻したかが分かります。
記録の雛形
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| 日 | いつ引いたか |
| 条件 | 何を変えたか |
| 見え方 | どう見えたか |
見え方は自分の言葉で足ります。 用語に合わせなくて構いません。
一度に一つだけ変えると原因が絞れます。 二つ変えると分かりません。
震えを残すという選び方
震えが消えないことが、直せていないことではありません。
線に味として残す選び方があります。 その場合、震え方をそろえるほうを見ます。
そろえるなら、条件を固定します。 拡大率と支点と速さを、記録から一つ選んで使い続けます。
場面で使い分けることもできます。 静かな場面だけ均一に引く、といった形です。
どちらを選んでも、記録は残しておきます。 選び直せるのは記録があるときだけです。
それでも震えるとき
引っかかるところを、三つ並べます。 どれもこの記事で引いた線です。
三つとも、道具を替えていません。条件のほうを一つずつ動かしただけです。
試描と記録が対になったか確かめる
試描と記録が一対一になっているか。 欠けると比べられません。
変えた条件が一度に一つか。 二つだと原因が絞れません。
仕上がりの大きさで見たか。 拡大のままだと違って見えます。
同じ形を条件を変えて三回引く
震えを直すのに、決まった設定は要りません。道具を替える前に、同じ形を条件を変えて三回引くこと。
そのとき何を変えたか。仕上がりの大きさではどう見えるか。 そこまで残れば、次に動かす条件が決まります。
震えが残ったままでも構いません。 その線で通る絵なら、それも選び方です。