COMISTA JOURNAL漫画を描く

会話中心の漫画を作る|話す目的で場面を動かす

公開日

台詞を足すのではなく、誰が何を知っていて、何を伝えたくて、何を隠しているのかを書き出します。会話のあとで何が変わるかまで決めると、話すだけの場面が動きはじめます。

「会話中心の漫画を作る」を表したイラスト

台詞を足しても、場面が進まない

人物にしゃべらせているのに、読み返すと何も起きていないことがあります。

話す量が足りないのではありません。二人のあいだに差がないと、会話は進みません。

二人の欄を並べ、隠している欄だけを二重線で囲んだ図
隠している欄だけ二重線にしてあります

隠している欄は二重線

図で枠が二本になっている欄は、まだ相手に出していないものです。

二重線は責める印ではありません。 隠していること自体は悪くありません。

塗りも太さも、実線の欄と同じにしてあります。 出した側を上に置かないためです。

欄のあいだに矢印も引いていません。 どちらが先に話すかは、ここでは決めません。

知っている・知らない・伝えたい・隠している・変化

軸 何を書くか
知っている 誰が持つか
知らない 誰が持たないか
伝えたい 何を出すか
隠している 何を出さないか
変化 会話の後

五つに順番はありません。 書けるところから埋められます。

知らないほうを先に書くと、差が見つかりやすくなります。 持っていない側から見るということです。

会話のあとで何が変わるか

会話のあとで片方の欄だけが実線に変わった図
両方そろえなくても場面は終われます

話したあとに何かが変わっていれば、その会話は働いています。 変わらないなら、差がなかったということです。

変わるのは気持ちだけでなくて構いません。 予定が決まらない、という変わり方もあります。

図では、返す日が決まらないままになっています。 決まらなかったことも変化です。

差をどこに作るか

二人が同じことを知っている場面では、差を作る場所を選びます。

片方だけが見たものを作ります。 同じ場にいなかった時間があれば足ります。

片方だけが決めたことを作ります。 まだ言っていない決断です。

同じものを別の意味で受け取らせます。 同じ情報でも、知っている前提が違えば差になります。

差の作り方 どこに置くか
見たもの 場面の外
決めたこと 心の中
受け取り方 前提の違い

差が作れないなら、その二人は同じ場面で話す必要がありません。

開くのは片方でいい

二人とも隠しごとを出す必要はありません。 片方だけ開いて終わる会話があります。

残ったほうは、次の場面へ持ち越せます。 その場で全部そろえなくて構いません。

最後まで開かないまま終わっても成り立ちます。 読む人の側に残ります。

出す順番を決める

隠している欄が両方にあるとき、どちらから出すかで場面が変わります。

軽いほうから出します。 相手が返しやすく、会話が続きます。

重いほうから出します。 そこで場面が動くので、短い会話になります。

相手に先に出させます。 出させてから出す形は、駆け引きになります。

出さずに終える場合も、出さなかったことが分かるようにします。 言いかけて止める形です。

順番を決めずに書くと、どちらの台詞から書くかで迷います。

台詞の長さは決め手でない

長い台詞・短い台詞・説明の台詞を同じ大きさの札で並べた図
良し悪しの印は付けていません
台詞 いつ合うか
長い台詞 合う場面がある
短い台詞 合う場面がある
説明の台詞 要る場面がある

三つとも同じ大きさで描いてあります。 どれかを避けるための図ではありません。

長く話す人物がいて構いません。 そこが人物の形になることもあります。

説明が要る場面では、説明してよいのです。 隠すほうが不親切になることもあります。

吹き出しや文字の見せ方は別の話

ここで決めたのは、誰が何を持っているかだけです。 紙の上での見せ方には入っていません。

吹き出しの形も、文字の大きさも、置き場所も扱っていません。 そこは作画の側の話です。

先に情報の差が決まっていれば、見せ方はあとから決められます。 順番を逆にしなくて構いません。

三人以上が話す場面

人数が増えると、差の数も増えます。

知らない人を一人だけにします。 その人へ渡す形で会話が進みます。

二人だけが知っていることを作ります。 残りの一人が置いていかれる場面になります。

全員の欄を埋めません。 主に動く二人の欄だけで足ります。

話さない人物も場にいます。 聞いていることが、あとで効きます。

三人以上では、誰に向けて言ったかが読めるようにします。 欄を書くときに相手も添えられます。

会話が止まったとき

進まなくなりやすいところを、三つ挙げます。 どれもこちらで用意した架空の場面です。

いずれの手も、台詞を足していません。動かしているのは差のほうです。

誰が知らないか書けたか見る

会話の場面を書き出したあとに確認したい5項目のチェックリスト
台詞の量を数える表ではありません

誰が知らないかを書いたか。 知っている側だけ書くと、差が見えません。

隠していることを書いたか。 ここが空だと、出す順番が決められません。

会話の後の変化を書いたか。 そこまで書ければ、場面は終われます。

知らないほうを一行書く

会話劇づくりに、うまい台詞は要りません。話す量を増やすのではなく、片方が知らないことを一行書くこと。

その人が何を出したくて、何を出さないのか。そして話したあと、何が変わるのか。 そこまで並べば、もう場面になります。

隠したまま終わっても構いません。 次の場面へ持ち越せます。

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