漫画の独自性を考える|題材・視点・選択を組み合わせる
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誰もやっていない題材を探すのではなく、同じ題材のどこを見るかを決めていきます。題材・視点・人物・選択・組み合わせ・描く範囲という六つの軸を、架空の例で見ていきます。
新しい題材を探しても、見つからない
まだ誰も書いていない題材を探しているうちに、何も書き出せないまま時間が過ぎることがあります。
探す先が違うのかもしれません。同じ題材でも、どこを見るかで別の話になります。
窓の位置だけが動く
図の帯は、三行ともまったく同じ題材です。
動いているのは窓の位置だけです。 どこを覗くかが変わると、見えるものが変わります。
窓の大きさも枠の太さも三つとも同じにしてあります。 どれかを正解にしないためです。
帯そのものには文字を置いていません。 窓の中に入ったものだけを書いています。
商店街を三人の目から見る
| 見る人 | 窓に入るもの |
|---|---|
| 店を継ぐ人 | 毎日の仕入れ |
| 通りかかる人 | 知らない匂い |
| 片づける人 | 残していくもの |
同じ商店街でも、立っている場所で見えるものが違います。 三つとも同じ題材から出ています。
どれが良い視点かは書いていません。 並べて選ぶための表です。
似ている作品があっても失敗ではない
同じ題材を選んだ人は、ほかにもいます。 それは前から分かっていることです。
同じ題材でも、見る場所が違えば別の話になります。 窓の位置が違うということです。
後から似ていると気づいても、直さなくて構いません。 自分で作っていれば、それは自分のものです。
独自性を見る六つ
| 軸 | 何を変えるか |
|---|---|
| 題材 | 何を書くか |
| 視点 | 誰の目で見るか |
| 人物 | 誰を追うか |
| 選択 | どちらを取るか |
| 組み合わせ | 何と重ねるか |
| 描く範囲 | どこまで書くか |
六つに順位はありません。 どれか一つ動かすだけでも変わります。
全部を変えなくて構いません。 題材はそのままで、視点だけ動かす手もあります。
視点を選ぶときに見るところ
窓の位置を決めるときに見るところを挙げます。
その人が知らないことがあるかを見ます。 全部を知っている人からは、話が動きません。
その人が選べる立場かを見ます。 見ているだけの人だと、選択が起きません。
自分が書きにくいかを見ます。 書きやすい人からは、知っていることしか出ません。
| 見るところ | 選ぶ理由 |
|---|---|
| 知らないことがある | 話が動く |
| 選べる立場 | 選択が置ける |
| 書きにくい | 発見がある |
三つそろわなくて構いません。 一つ当てはまれば選べます。
別の題材でも同じ形
題材を替えても、やることは変わりません。 誰の目から見るかを決めるだけです。
視点は二つでも足ります。 三つそろえる必要はありません。
思いつかなければ、一つで書き始めても構いません。 途中で増やせます。
二つを重ねて変える
六つの軸のうち、組み合わせはいちばん動かしやすいところです。
題材を二つ重ねます。 商店街と、まったく別の仕事や場所を同じ話へ入れます。
時間を重ねます。 同じ場所の昔と今を並べます。
形式を重ねます。 日記、手紙、記録といった形を話の中へ入れます。
重ねる相手は、遠いほど差が出ます。 近いものどうしだと、元の題材に戻ります。
重ねすぎると、どちらの話か決まりません。 二つまでで足ります。
参考にすることと、借りてくることは違う
好きな作品から受けた影響は、消さなくて構いません。 どこかには出ます。
ただし、他の人が作ったものを持ってくるのとは別です。 人物も、固有の設定も、台詞も、世界の決まりも、構図も、少し変えれば使えるということはありません。
この記事では、そのやり方を書きません。 似せずに済ませる方法ではなく、自分の窓を決める方法を扱っています。
図の題材も視点も、こちらで作ったものです。 実在の作品から取ってきていません。
描く範囲を決める
同じ題材・同じ視点でも、どこからどこまでを描くかで別の話になります。
一日だけを描く。 起きたことが少ないぶん、細かく見られます。
数年を描く。 変わったものが見えます。一場面ずつは短くなります。
始まりだけを描く。 終わりまで行かずに閉じる形です。
終わりだけを描く。 前に何があったかは読む側が補います。
範囲を狭めるほど、同じ題材の他の作品と離れます。 広く取るほど近づきます。
決めかねたときの三つ
選びあぐねる場面を、三つ並べました。 どれも架空の題材で、実在の作品を指してはいません。
どの例も、新しさを足していません。 動かしたのは窓の位置だけです。
誰の目で見るか決めたか確かめる
誰の目で見るか決めたか。 ここが決まると、書く材料が絞れます。
似た作品を避けようとしていないか。 避けるために決めると、選ぶ理由が自分の外に出ます。
借りずに自分で作ったか。 ここだけは、似ているかどうかとは別に確かめます。
見る人を一人決める
独自性づくりに、珍しい題材は要りません。新しさを探すのではなく、その題材を誰の目で見るかを一人決めること。
その人に何が見えていて、何が見えていないのか。そこで何を選ぶのか。 それが決まれば、窓はもう自分のものです。
あとから動かしても構いません。 窓は何度でも置き直せます。