漫画の口調を書き分ける|語尾以外の違いを作る
公開日
同じ内容を三人に言わせて、語彙・文の長さ・間・話す目的・相手との距離の違いから書き分けます。語尾だけで分けず、属性から口調を決めつけない書き方を並べます。
誰の台詞か、読み返すと分からない
会話を書いてはみたものの、名前を外すと誰の台詞か分からないことがあります。
語尾が足りないからではありません。違いを語尾だけに載せているからです。
同じ内容を三通りで
図の三つの吹き出しには、同じ内容が入っています。
右下に添えてあるのが、違いの出どころです。 語尾ではありません。
吹き出しの大きさはそろえてあります。 どれかを主役にしないためです。
三人に番号は振っていません。 順序に意味を持たせないためです。
三人が言った同じこと
| 言った人 | その言い方 |
|---|---|
| 先に着いた人 | まだ来てない |
| 鍵を持つ人 | 来ていません |
| 見ていた人 | さっきからずっと |
内容はどれも同じです。 相手がまだ来ていない、という一つのことです。
一つ目は短く言い切り、二つ目は丁寧に言い、三つ目は時間を足しています。 そこが違いです。
語尾は違いの一部でしかありません。 三つ目は語尾で分けていません。
語彙・長さ・間・目的・距離
| 違いの出どころ | どう現れるか |
|---|---|
| 語彙 | 選ぶ言葉が違う |
| 文の長さ | 一息の長さ |
| 間 | どこで区切るか |
| 話す目的 | 何をさせたいか |
| 相手との距離 | どこまで言うか |
五つとも使わなくて構いません。 一つでも見分けはつきます。
五つに順番はありません。 作りやすいものから作れます。
語尾だけ変えた場合
語尾だけ変えた三つは、語尾を外すと同じ台詞になります。 中身が動いていないためです。
この図にばつ印は付けていません。 語尾で分けること自体が悪いのではありません。
どちらの図も枠は変えていません。 見比べるための並べ方です。
話す目的が違えば言葉が変わる
相手を動かしたい人と、確かめたいだけの人では言葉が変わります。 目的が違うからです。
目的を先に決めると、言い方は後から決まります。 語尾から決めずに済みます。
同じ人でも、場面ごとに目的は変わります。 口調は固定されません。
語彙をどう選ぶか
五つのうち、語彙はいちばん見分けが付きやすいところです。
同じものを何と呼ぶかを決めます。 相手の名前、呼び方、物の言い方です。
知っている言葉の範囲を決めます。 知らない語は出てきません。
言い換えの癖を一つ決めます。 断るとき、謝るときに使う言い方です。
| 決めるところ | 例の形 |
|---|---|
| 呼び方 | 名前か役か |
| 語の範囲 | 知る言葉だけ |
| 言い換え | 断り方の癖 |
三つとも決めなくて構いません。 呼び方だけでも見分けが付きます。
相手との距離で言える範囲が変わる
近い相手には短く言えます。 説明しなくても通じるためです。
遠い相手には言葉が増えます。 前置きが要るからです。
距離は関係の深さであって、上下ではありません。 どちらが偉いという話ではありません。
間と文の長さで分ける
語彙を変えなくても、区切り方だけで分けられます。
一息で長く言う人。 文が続き、読点が少なくなります。
短く切る人。 一文が短く、吹き出しが分かれます。
途中で止まる人。 言いかけて切れる形が続きます。
この三つは、同じ言葉を使っていても見分けが付きます。 語尾も変えずに済みます。
吹き出しの数にも現れます。 長く言う人は一つ、短い人は二つになります。
書き分けられないとき
行き詰まるところを、三つ挙げます。 いずれも作りごとの会話です。
三つとも、属性から決めていません。目的と距離から決めています。
人数が多いときの分け方
四人以上を書き分けるときは、五つを配ります。
一人につき一つを割り当てます。 全員に五つとも作ると、覚えきれません。
近い立場の二人には、違う出どころを当てます。 同じ出どころだと差が出ません。
画面に同時に出ない人物は、似ていても構いません。 並ばなければ比べられません。
誰にどれを当てたかを控えておきます。 途中で入れ替わらずに済みます。
語尾を外しても分かるか確かめる
語尾を外しても見分けがつくか。 ここが通れば、語尾以外で分けられています。
属性から言い方を当てはめていないか。 当てはめると型になります。
その場面での目的が書けているか。 目的が決まると、言葉も決まります。
語尾を外して読み返す
書き分けに、特別な言葉遣いは要りません。語尾を足すのではなく、全部外して読み返してみること。
それで誰の台詞か分かるか。分からなければ、何を言わせたいかを一行書く。 そこから違いは作れます。
三人が似ていても構いません。 似ていることに意味がある場面もあります。