漫画のジャンルには何がある?分類の軸を整理
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ジャンル名は一列に並んでいません。題材・舞台・物語の形・感情・表現・読後感・主人公の役割という七つの切り方があり、同じ一作がいくつもの分類に同時に入ります。重なりを消さずに名前を読む見方と、出している側の表記の控え方をまとめました。作品の順位付けはしません。
ジャンル名は、一列に並んでいない
これは何ジャンルだろう。そう思って、一つの名前で言い切ろうとすると詰まります。
詰まるのは、答えを知らないからではありません。名前のほうが、一列に並んでいないからです。
同じ一作が、いくつもの中に入る
この記事の要はここです。
分類の輪は重なります。 図にある点は一つの作品ですが、三つの輪すべての中にあります。
重なりは例外ではありません。 むしろ、重なったところに置かれる作品のほうが多くあります。
だから、どれか一つに決めなくて構いません。 「この三つに入る」で足ります。
輪の縁も、線で固定していません。 どこまでがその分類かは、見る場所によって動きます。
切り方は七つある
| 切り方 | 何で分けるか |
|---|---|
| 題材 | 何を描くか |
| 舞台 | どこの話か |
| 物語の形 | どう進むか |
| 感情 | 何を感じるか |
| 表現 | どう描くか |
| 読後感 | 読んだあと |
| 主人公の役割 | 誰として動くか |
同じ一作でも、どの軸で切るかで呼び名が変わります。 名前が違っても、指しているものまで違うわけではありません。
七つに順番はありません。 上から大事、ということもありません。
題材と舞台を分けて見る
何を描いているかと、どこの話かは別です。
食べることを題材にした作品でも、舞台は学び舎かもしれませんし、店かもしれません。題材が同じでも、舞台が違えば読み味は変わります。
舞台だけで名前が決まることもありません。 学校が出てくる作品が、すべて同じ呼ばれ方をするわけではありません。
物語の形と、主人公の役割
どう進むかで切ると、また別の名前になります。 謎がほどけていく形、積み上げていく形、繰り返しの中で少しずつ変わる形。
主人公が何として動くかでも呼ばれます。 探す人、育てる人、巻き込まれる人。
この二つは、題材とも舞台とも独立しています。 どの題材にも、どの形もあり得ます。
感情と読後感は、同じではない
読んでいる間に動くものと、読み終わったあとに残るものは別です。
こわい場面が続いても、読後感が穏やかなことはあります。明るい場面が多くても、読み終えて静かになることもあります。
どちらか一方だけで分類すると、もう一方が見えなくなります。 両方あると思っておくほうが確かです。
表現のしかたも、一つの切り方
何を描くかだけでなく、どう描くかでも呼ばれます。 線の数、間の取り方、コマの進み方。
ただしここは、読む人によって受け取り方が変わります。 同じ描き方を、違う言葉で呼ぶ人がいます。
言葉が違うことを、間違いとしません。 使われ方の幅として、そのまま置いておきます。
名前が重なっているのは、ふつうのこと
二つの名前が同じ作品を指すことがあります。 どちらかが間違っているわけではありません。
一方に入ったら他方には入らない、という関係でもありません。 不思議なことが起きる話と、理屈で説明される話も、きれいに分かれているとは限りません。
境目を決めたくなったら、いったん置きます。 決めても、別の場所では違う切られ方をしています。
名前は、何に使うかで必要な精度が変わる
名前を一つに決めなくてよい、と書きました。ただ、どこまで曖昧にしておけるかは、何に使うかで変わります。 使い道を先に決めておくと、決めきれないことで困らなくなります。
| 使い道 | 必要な決め方 |
|---|---|
| 作品を探す | 一つでよい |
| 人に伝える | 二つ添える |
| 好みを整理 | 決めなくてよい |
| 並べて比べる | 軸をそろえる |
探すときは、一つで足ります。 検索の語や棚の名前として使うだけなので、当たらなければ別の名前に替えれば済みます。 正しい名前を当てる必要はありません。むしろ、一つに決めて試して、外れたら次を試すほうが早く進みます。
人に伝えるときは、二つ添えると通りやすくなります。 題材の名前と、読後感の名前。切り方の違う二つを並べると、一つだけのときより誤解が減ります。 三つ以上並べると、かえって伝わりにくくなります。
自分の好みを整理するだけなら、名前は決めなくて構いません。 何が描かれていたか、読み終えてどうだったか。その言葉を自分で書き留めておけば、名前を経由せずに次の作品を選べます。 ここがいちばん自由なところです。
何作かを並べて比べるときだけは、軸をそろえる必要があります。 一作を題材の名前で、別の一作を読後感の名前で呼ぶと、並べても比べたことになりません。 同じ切り方の名前でそろえます。
使い道が変われば、同じ作品に別の名前を当てて構いません。 探すときに使った名前と、人に伝えるときの名前が違っていても、どちらも間違いではありません。 名前は借り物なので、そのつど借り直せます。
出している側の表記を見る
語が実際にどう使われているかは、出している側の表記を見るのが早いです。 作品の紹介にある区分、一覧や棚の名前、目次の分かれ方。
ただし、見た一つを全体の決まりにしません。 別の場所では違う語が当てられていることがあります。
この記事では、具体的な出どころの名前を挙げていません。 こちらで確かめていないものを、確かめたように書かないためです。
自分で見たときは、どこで見たかと、そこで何と書かれていたかを一緒に控えます。 語だけ覚えると、あとでどこの話か分からなくなります。
架空の4例で重なりを見る
読み方を示すために、仮の場面を4つ置きます。 どれも実在の作品を指していません。
どの例でも、一つの名前に絞っていません。 重なったままにしてあります。
決めきらないための五つ
名前を読むときに、次を見ておきます。
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 名前 | 一つに決めないか |
| 重なり | 消していないか |
| 出どころ | どこで見たか |
| 表記 | 一般化しないか |
| 空欄 | 空けて残すか |
五つそろわなくても構いません。 決めきらないでおければ、それで足ります。
どの切り方の名前かが分かれば、迷わなくなる
ジャンルの名前と付き合うときにすることは、多くありません。一つに決めようとせず、どの切り方の名前なのかを見ること。
題材なのか、舞台なのか、物語の形なのか、読後感なのか。それが分かれば、同じ語が別の意味で使われていても戸惑いません。
そして、名前が決まらないまま読んでも構いません。 名前は借り物で、作品そのものではありません。