COMISTA JOURNAL漫画を楽しむ・知る

青春漫画とは|恋愛だけに限らない題材

公開日

青春という括りは、恋愛にも学校にも限りません。友情・部活動・進路・家族・挑戦・挫折・居場所・初めての経験・関係の変化という九つの題材を置き、同じ一つの設定を四通りに読み分けて、前に出る題材が変わるだけだという見方をまとめました。年齢や舞台だけでは決めません。

「青春漫画とは」を表したイラスト

青春は、学校の話だけではない

青春と呼ばれる作品を思い浮かべると、教室と、部活と、恋愛のあたりが先に出てきます。

けれど、そう呼ばれている作品を並べてみると、そこに当てはまらないものがいくらでもあります。

同じ一つの設定から、四つの読み方が同じ大きさの帯で四方へ広がる図
どれかが正しい読み方ではありません。中心に置くものが違うだけです

同じ設定でも、どこを中心に読むかで変わる

この記事の要はここです。

設定を一つ置いて、そこから何を中心に読むかを変えてみます。 中心に置くものが変われば、前に出てくる題材も変わります。

設定のほうは動いていません。 動いているのは、読む側がどこを見ているかです。

だから「これは青春か」という問いは、あまり役に立ちません。 どの題材を中心に読んでいるか、のほうが手がかりになります。

題材は九つある

九つの題材を同じ大きさの札で三つずつ並べた図
九つのうち、いくつかしか出てこない作品もあります
題材 何が前に出るか
友情 近くなる関係
部活動 続けるかどうか
進路 決める時期
家族 家での位置
挑戦 手を伸ばす
挫折 届かなかった
居場所 いられる場所
初めての経験 はじめてのこと
関係の変化 変わっていく

九つが全部そろう必要はありません。 二つか三つしか出てこない作品もあります。

並びに順番はありません。 上から大事、ということもありません。

友情と、関係の変化

近くなっていく関係も、離れていく関係も、どちらも題材になります。

ずっと仲がよいままの話もありますし、距離が変わっていくことそのものが中心にある話もあります。

仲がよいことだけが友情ではありません。 うまくいかない時間も、同じ題材の中に入ります。

部活動と進路

続けるかどうかを決める場面は、部活動の側にも進路の側にも出てきます。

打ち込む時間そのものが中心にある話もあれば、その先をどうするかが中心にある話もあります。

部活動が出てくるからといって、そこが中心とは限りません。 背景として置かれているだけのこともあります。

家族と居場所

家の中での位置も、青春の題材です。

学校の外にある時間、帰る場所があるかどうか、そこで何を言えるか。教室の話が一度も出てこなくても、成り立ちます。

居場所は、場所そのものとは限りません。 人でも、時間でも、やっていることでも構いません。

挑戦と挫折、そして初めての経験

手を伸ばすことと、届かなかったことは、対になっているわけではありません。

届かないまま終わる話もありますし、届いたあとに何が残るかを書く話もあります。どちらかが青春らしい、という並びは付けません。

初めて何かをする場面も、年齢とは切り離して置けます。 何歳でも、初めては初めてです。

中心が途中で移る作品

中心に置くものは読む側が選ぶ、という話をしてきました。ただ、作品の側から中心を動かしてくることもあります。 読み進めるうちに、前に出ていた題材が下がり、後ろにあったものが前へ出る。そういう作りが珍しくありません。

移り方 読み心地
一度移る 前後で変わる
行き来する 落ち着かない
後ろが前に出る 見直したくなる
最後に戻る まとまる

一度だけ移る作りでは、前半と後半で読み心地が変わります。 部活動が中心だったものが、途中から進路の話になる。同じ作品なのに、途中で別の作品を読んでいるように感じることがあります。 合わなくなったと思ったら、中心が移っただけかもしれません。

行き来する作りもあります。 友情が前に出たり、家族が前に出たり。どれが中心なのか決まらないまま進みます。 落ち着かない代わりに、九つの題材が広く描かれます。

ずっと後ろにあったものが、後半で前へ出る作りもあります。 何度か出てきていた家の場面が、終盤で中心になる。 そのとき、前に読んだ場面の意味が変わります。読み直したくなるのはこの形です。

最後に元の中心へ戻る作りもあります。 途中で別の題材を通ってから、始まりと同じところへ帰る。一本の話としてまとまりやすい形です。

移り方は、紹介文からは分かりません。 途中で変わることそのものが読みどころなので、先に書かれていることは少ないところです。 読み進めて、合わなくなったと感じたときに「移ったのかもしれない」と思えれば足ります。

自分で置いた中心と、作品が動かす中心は別です。 読む側が友情を中心に読んでいても、作品の側が進路を前へ出してくることがあります。 そのときは、どちらかに合わせなくて構いません。両方あると思って読み進めます。

年齢や舞台では決まらない

何歳の登場人物が出てくるかは、青春かどうかを決めません。

どこが舞台かも同じです。 学校でも、職場でも、家でも、題材のほうがそろっていれば同じように読めます。

逆に、学校が舞台でも、題材が別のところにあれば別の読み方になります。 舞台は入れ物で、中身ではありません。

前に出る題材が変わるだけ

同じ九つの札のうち、中心に置いた題材だけが一段前に出ている二列の図
前に出たものが大事、ということではありません。位置が違うだけです

中心を変えると、前に出る題材が入れ替わります。

それでも、残りが消えるわけではありません。 後ろに下がっているだけで、同じように描かれています。

だから、前に出ていない題材を「無い」とは控えません。 見えている順番が変わっただけです。

同じ架空設定を4通りに読む

読み分けを示すために、こしらえた設定を一つ置きます。 実在の作品を指していません。

設定はこれだけです。 ある年、一人が新しい場所へ移る。そこには続けるかどうかが決まっていない集まりが一つあり、家では先のことを決める話が出はじめている。

四通りとも、足したり引いたりしていません。 中心に置いたものが違うだけです。

青春として読むときの五つ

括りに迷ったときは、次を確かめます。

青春漫画として読むときに確認したい5項目のチェックリスト
当てはまらない題材があっても、外す理由にはなりません
見るところ 確認すること
中心 どの題材か
年齢 決め手にしないか
舞台 条件にしないか
恋愛 必須にしないか
空欄 空けて残すか

五つそろわなくても構いません。 中心が一つ見えていれば、読み進められます。

「青春かどうか」より、どの題材が中心か

青春という括りと付き合うときにすることは、多くありません。当てはまるかを確かめるのではなく、どの題材が中心にあるかを見ること。

友情なのか、進路なのか、居場所なのか。それが見えれば、教室が出てこなくても同じように読めます。

そして、中心が途中で変わっても構いません。 読み進めるうちに、前に出てくるものは入れ替わります。

この記事の内容に誤りを見つけた場合は お問い合わせ からお知らせください。編集方針は こちら にまとめています。