ラブコメと恋愛漫画はどう違う?
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二つは排他ではありません。同じ人物関係と同じ出来事でも、笑いを前に出すか関係の変化を前に出すかで調子が変わります。恋愛の比重・笑いの入り方・会話・誤解・緊張・関係の変化という六つの軸で見る方法をまとめました。読者層や年齢層では分けません。
名前が二つあっても、別物とは限らない
似たような作品に、ラブコメと呼ばれるものと、恋愛漫画と呼ばれるものがあります。
どこで分かれているのかを探すと、はっきりした線が見つかりません。 見つからないのは、探し方の問題ではありません。
同じ出来事でも、配る幅が変わる
この記事の要はここです。
同じ人物関係と、同じ出来事の並びを用意します。 出会って、すれ違って、誤解がとけて、近づく。
そのうえで、どこに幅を配るかを変えます。 すれ違っている時間を長く取るのか、近づいてからを長く取るのか。
出来事は一つも増えていませんし、減ってもいません。 順番も同じです。合計の長さもそろっています。
変わったのは調子だけです。 そして、その調子の違いが、呼び名の違いとして表に出てきます。
見る軸は六つある
| 見る軸 | 何を見るか |
|---|---|
| 恋愛の比重 | どこに置かれるか |
| 笑いの入り方 | どこで入るか |
| 会話 | どう運ぶか |
| 誤解 | 何を動かすか |
| 緊張 | どこで張るか |
| 関係の変化 | どう変わるか |
六つとも、どちらの呼び名の作品にも出てきます。 片方にしか無い軸はありません。
どの軸に幅が配られているかで、受ける感じが変わります。 有る無しではなく、置きどころの話です。
恋愛の比重は、量では測らない
恋愛が話のどこに置かれているかを見ます。 中心にあるのか、進んでいく物事の横にあるのか。
場面の数を数えても分かりません。 少ない場面でも、そこが軸になっていることはあります。
逆に、出ずっぱりでも軸が別にあることもあります。 置きどころのほうを見ます。
笑いの入り方も、多い少ないではない
どこで笑いが入るかを見ます。 すれ違いの最中なのか、和らげるためなのか、区切りのところなのか。
入る場所が変われば、同じ出来事でも受ける感じが変わります。 量ではなく、位置の話です。
笑いが入っていても、関係の変化が中心にあることはあります。 どちらか一方ではありません。
会話の運び方
言葉のやり取りが、話をどれだけ動かしているかを見ます。
会話そのものが出来事になっている作品もあれば、会話の外で物事が動いていく作品もあります。
速さや量では決まりません。 短いやり取りで大きく動くこともあります。
誤解は、どちらにも出てくる
行き違いは、どちらの呼び名の作品にも出てきます。
それがほどけていく様子を笑いとして置く書き方もありますし、ほどけるまでの時間そのものを書く書き方もあります。
誤解があるから軽い、ということはありません。 扱い方が違うだけです。
張りつめ方と、ゆるみ方
どこで張って、どこでゆるむかも調子のうちです。
張りっぱなしの作品も、ゆるみっぱなしの作品も、そう多くはありません。たいていは行き来します。
その行き来の幅が、呼び名の印象を決めています。 ここでも、どちらが良いということはありません。
どこで終わるかも、配分の一部
幅の配り方の話をしてきましたが、いちばん大きく配分を決めるのは、どこで話を終えるかです。 同じ出来事の並びでも、終わる位置が違えば残りの幅が全部動きます。
| 終わる位置 | 受ける感じ |
|---|---|
| 近づく手前 | 余韻が残る |
| 近づいた場面 | 区切りが立つ |
| 近づいたあと | 続きが描かれる |
| 変わらないまま | 行き来が残る |
近づく手前で終わる作りでは、そこまでの時間に幅が全部配られます。 すれ違いも誤解も、閉じないまま残ります。 読み終えたあとに考える余地が大きいので、余韻のほうが長く残ります。
近づいた場面で終わる作りでは、そこが区切りになります。 そこまでが助走で、最後の一場面に向かって全部が積まれています。 いちばん形の整った終わり方で、呼び名としては恋愛の側に寄って見えます。
近づいたあとまで描く作りでは、そこから先にも幅が配られます。 一緒にいる時間、変わったあとの関係。すれ違いの部分は前置きとして短くなります。 ここを長く書く作品は、笑いを載せる場所も増えます。
変わらないまま終わる作りもあります。 行き来が続いて、どちらとも決まらない。終わっていないのではなく、行き来そのものを書いた作りです。 笑いを前に出した調子と相性がよいところです。
終わる位置は、途中まで読んでも分かりません。 だから、読んでいる最中の調子と、読み終えたあとの印象が違うことがあります。 途中までは笑いが前に出ていたのに、終わり方で関係の話として残る。そういう作品は、どちらの呼び名も外れていません。
呼び名が二つ付いている作品は、この形が多いところです。 途中の調子と終わりの配分が違うので、見ている場所によって違う名前が当たります。 どちらかを誤りとして退ける必要はありません。
関係の変化は、どちらの側にもある
関係が変わっていくこと自体は、どちらの呼び名でも起きます。
変わる速さ、変わったあとをどれだけ書くか、変わらないまま終わるかどうか。そこに幅をどう配るかが違います。
変化を書けば恋愛漫画、ということではありません。 書き方のほうを見ます。
同じ出来事を2つの調子で書き分ける
書き分けを示すために、こしらえた関係と出来事を一つ置きます。 実在の作品を指していません。
用意するのはこれだけです。 二人がいて、出会って、すれ違って、誤解がとけて、近づく。
二つとも、どちらが優れているという並べ方をしていません。 配分が違うだけです。
名前に迷ったときの五つ
どちらと呼ぶか迷ったら、次を確かめます。
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 調子 | どちらを前にか |
| 量 | 数で決めないか |
| 読者層 | 分類に使わないか |
| 年齢 | 条件にしないか |
| 空欄 | 空けて残すか |
五つそろわなくても構いません。 どちらとも決まらないなら、そのままで足ります。
呼び名より、幅の配り方を見れば決まる
ラブコメと恋愛漫画の違いを考えるときにすることは、多くありません。どちらにあたるかを決めるのではなく、どこに幅が配られているかを見ること。
すれ違いなのか、近づいてからなのか。会話なのか、その外なのか。見えてくるのは調子の違いで、別々の作り方ではありません。
そして、どちらとも呼べる作品のほうが多くあります。 決まらないまま読んでも、何も困りません。