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ラブコメと恋愛漫画はどう違う?

公開日

二つは排他ではありません。同じ人物関係と同じ出来事でも、笑いを前に出すか関係の変化を前に出すかで調子が変わります。恋愛の比重・笑いの入り方・会話・誤解・緊張・関係の変化という六つの軸で見る方法をまとめました。読者層や年齢層では分けません。

「ラブコメと恋愛漫画はどう違う?」を表したイラスト

名前が二つあっても、別物とは限らない

似たような作品に、ラブコメと呼ばれるものと、恋愛漫画と呼ばれるものがあります。

どこで分かれているのかを探すと、はっきりした線が見つかりません。 見つからないのは、探し方の問題ではありません。

三つの同じ幅の区画に分かれた帯で、区切りが破線になっている図
区切りの位置は、見る場所によって動きます。固定していません

同じ出来事でも、配る幅が変わる

この記事の要はここです。

同じ四つの出来事を二段に並べ、それぞれに配る幅だけを変えた図
どちらが正しい配分ということはありません。置きどころが違うだけです

同じ人物関係と、同じ出来事の並びを用意します。 出会って、すれ違って、誤解がとけて、近づく。

そのうえで、どこに幅を配るかを変えます。 すれ違っている時間を長く取るのか、近づいてからを長く取るのか。

出来事は一つも増えていませんし、減ってもいません。 順番も同じです。合計の長さもそろっています。

変わったのは調子だけです。 そして、その調子の違いが、呼び名の違いとして表に出てきます。

見る軸は六つある

六つの見る軸を同じ大きさの札で並べた図
六つとも、どちらの呼び名の作品にも出てきます
見る軸 何を見るか
恋愛の比重 どこに置かれるか
笑いの入り方 どこで入るか
会話 どう運ぶか
誤解 何を動かすか
緊張 どこで張るか
関係の変化 どう変わるか

六つとも、どちらの呼び名の作品にも出てきます。 片方にしか無い軸はありません。

どの軸に幅が配られているかで、受ける感じが変わります。 有る無しではなく、置きどころの話です。

恋愛の比重は、量では測らない

恋愛が話のどこに置かれているかを見ます。 中心にあるのか、進んでいく物事の横にあるのか。

場面の数を数えても分かりません。 少ない場面でも、そこが軸になっていることはあります。

逆に、出ずっぱりでも軸が別にあることもあります。 置きどころのほうを見ます。

笑いの入り方も、多い少ないではない

どこで笑いが入るかを見ます。 すれ違いの最中なのか、和らげるためなのか、区切りのところなのか。

入る場所が変われば、同じ出来事でも受ける感じが変わります。 量ではなく、位置の話です。

笑いが入っていても、関係の変化が中心にあることはあります。 どちらか一方ではありません。

会話の運び方

言葉のやり取りが、話をどれだけ動かしているかを見ます。

会話そのものが出来事になっている作品もあれば、会話の外で物事が動いていく作品もあります。

速さや量では決まりません。 短いやり取りで大きく動くこともあります。

誤解は、どちらにも出てくる

行き違いは、どちらの呼び名の作品にも出てきます。

それがほどけていく様子を笑いとして置く書き方もありますし、ほどけるまでの時間そのものを書く書き方もあります。

誤解があるから軽い、ということはありません。 扱い方が違うだけです。

張りつめ方と、ゆるみ方

どこで張って、どこでゆるむかも調子のうちです。

張りっぱなしの作品も、ゆるみっぱなしの作品も、そう多くはありません。たいていは行き来します。

その行き来の幅が、呼び名の印象を決めています。 ここでも、どちらが良いということはありません。

どこで終わるかも、配分の一部

幅の配り方の話をしてきましたが、いちばん大きく配分を決めるのは、どこで話を終えるかです。 同じ出来事の並びでも、終わる位置が違えば残りの幅が全部動きます。

終わる位置 受ける感じ
近づく手前 余韻が残る
近づいた場面 区切りが立つ
近づいたあと 続きが描かれる
変わらないまま 行き来が残る

近づく手前で終わる作りでは、そこまでの時間に幅が全部配られます。 すれ違いも誤解も、閉じないまま残ります。 読み終えたあとに考える余地が大きいので、余韻のほうが長く残ります。

近づいた場面で終わる作りでは、そこが区切りになります。 そこまでが助走で、最後の一場面に向かって全部が積まれています。 いちばん形の整った終わり方で、呼び名としては恋愛の側に寄って見えます。

近づいたあとまで描く作りでは、そこから先にも幅が配られます。 一緒にいる時間、変わったあとの関係。すれ違いの部分は前置きとして短くなります。 ここを長く書く作品は、笑いを載せる場所も増えます。

変わらないまま終わる作りもあります。 行き来が続いて、どちらとも決まらない。終わっていないのではなく、行き来そのものを書いた作りです。 笑いを前に出した調子と相性がよいところです。

終わる位置は、途中まで読んでも分かりません。 だから、読んでいる最中の調子と、読み終えたあとの印象が違うことがあります。 途中までは笑いが前に出ていたのに、終わり方で関係の話として残る。そういう作品は、どちらの呼び名も外れていません。

呼び名が二つ付いている作品は、この形が多いところです。 途中の調子と終わりの配分が違うので、見ている場所によって違う名前が当たります。 どちらかを誤りとして退ける必要はありません。

関係の変化は、どちらの側にもある

関係が変わっていくこと自体は、どちらの呼び名でも起きます。

変わる速さ、変わったあとをどれだけ書くか、変わらないまま終わるかどうか。そこに幅をどう配るかが違います。

変化を書けば恋愛漫画、ということではありません。 書き方のほうを見ます。

同じ出来事を2つの調子で書き分ける

書き分けを示すために、こしらえた関係と出来事を一つ置きます。 実在の作品を指していません。

用意するのはこれだけです。 二人がいて、出会って、すれ違って、誤解がとけて、近づく。

二つとも、どちらが優れているという並べ方をしていません。 配分が違うだけです。

名前に迷ったときの五つ

どちらと呼ぶか迷ったら、次を確かめます。

ラブコメと恋愛漫画の呼び名に迷ったときに確認したい5項目のチェックリスト
どちらとも決まらないなら、決まらないままで構いません
見るところ 確認すること
調子 どちらを前にか
量 数で決めないか
読者層 分類に使わないか
年齢 条件にしないか
空欄 空けて残すか

五つそろわなくても構いません。 どちらとも決まらないなら、そのままで足ります。

呼び名より、幅の配り方を見れば決まる

ラブコメと恋愛漫画の違いを考えるときにすることは、多くありません。どちらにあたるかを決めるのではなく、どこに幅が配られているかを見ること。

すれ違いなのか、近づいてからなのか。会話なのか、その外なのか。見えてくるのは調子の違いで、別々の作り方ではありません。

そして、どちらとも呼べる作品のほうが多くあります。 決まらないまま読んでも、何も困りません。

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