格闘技漫画の選び方|競技と人物の物語に注目
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格闘技漫画は「強さを競う話」でひとまとめにできません。競技の組み立て、ルールがどれくらい前に出るか、試合と人物のどちらが手前か、舞台、そして避けたい描写という観点から、競技種別を取り違えずに自分に合う作品を選ぶ方法をまとめました。
「格闘技漫画」でひとまとめにしない
格闘技を扱う漫画が読みたい。そう思って探すと、打撃の作品も、組み技の作品も、興行を描く作品も、同じ棚に並んでいます。
ですが、中身はかなり違います。 扱う競技が違えば試合の進み方も違いますし、同じ競技でも試合を中心に描く作品と、人物のほうを中心に描く作品があります。避けたい描写の有無も作品ごとに違います。
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 競技 | 組み立てと舞台 |
| ルール | どれくらい前に出るか |
| 手前 | 試合か人物か |
| 描写 | 避けたいものがあるか |
| 外 | 試合以外の場面 |
この表と図はどちらも並列です。どれから見なければいけない、ということはありません。
競技の組み立てを取り違えない
いちばん取り違えやすいのが、ここです。
ボクシングとキックボクシングは別の競技です。 柔道とレスリングも別です。名前が似ていても、扱う範囲が違えば試合の見え方も変わります。作品紹介で競技名を見たら、そこは流さずに読むほうが当たります。
| 組み立て | 中心になる触れ方 |
|---|---|
| 打撃中心 | 短く触れて離れる |
| 組み技中心 | 触れたまま続く |
| 投げ技中心 | 触れてから形が変わる |
| 複合 | 場面で入れ替わる |
競技名を覚える必要はありません。この四つのどれが中心かが分かれば、試合の進み方の見当が付きます。
興行として組み立てられた競技もあります。見せ方そのものが競技の一部になっている形で、勝敗の付き方も客席の扱いも変わります。実戦を想定した競技と同じものとして読むと、書かれていることを取り違えます。
武道の枠組みで描かれる作品もあります。道場や礼法、段位といった仕組みが物語に入ってくる形です。
ルールがどれくらい前に出るか
同じ競技を扱っていても、ルールの扱いは作品ごとに違います。
判定の仕組みや反則の扱いが丁寧に説明される作品は、読みながら競技を覚えていけます。一方で、ルールは背景に置いて、人物のやり取りを前に出す作品もあります。
説明が多いほど本格的、ということではありません。 説明を減らして場面を進める作りも、そのほうが効くから選ばれています。
競技を知らないまま読み始めてよいかどうかは、ここを見ると見当が付きます。
試合が手前か、人物が手前か
タイトルの通り、ここを分けて見ると選びやすくなります。
試合が手前にある作品では、一戦ごとの組み立てや練習の積み重ねが中心に置かれます。人物が手前にある作品では、関係や立場、続けるか離れるかといった選択が中心になります。
どちらかが欠けているわけではありません。 手前にあるものが違うだけで、奥にあるものも描かれています。
紹介文からでも、試合の数と人物の紹介のどちらに紙幅が割かれているかはある程度読み取れます。
舞台の違いを見る
同じ競技でも、どこで行われているかで読み心地が変わります。
部活動なら、大会の段階や学年の区切りが物語の区切りになります。道場やジムなら、日々の稽古と指導する人との関係が中心に来ます。プロや興行なら、契約や興行の都合、生活のことが入ってきます。
どれが本格的ということではありません。 舞台が違えば、人物が抱えるものも変わるというだけです。
避けたい描写を先に挙げる
ここが、ほかの競技の記事といちばん違うところです。
格闘技を扱う作品では、身体に触れる場面が競技そのものです。そのため、どこまで描かれているかが作品ごとにかなり違います。
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 出血 | 頻度と直接性 |
| 打撃 | 顔や身体への描写 |
| 競技の外 | 試合以外の暴力 |
| 負傷 | どこまで見せるか |
これは危険度の目盛りではありません。強いほど面白い、リアルなほど良い、という並べ方はしません。 避けたい描写を先に挙げておくと、開いてから戻ることが減ります。
決着の付き方で、一戦の読み方が変わる
競技の組み立てと並んで効くのが、どうやって決着が付く競技かです。 終わり方が違うと、試合の最後の数ページの意味が変わります。
| 決まり方 | 読み方の違い |
|---|---|
| はっきり終わる | その瞬間が山 |
| 判定で決まる | 後で覆る |
| 時間で切れる | 勝者が出ない |
| 途中で止まる | 理由が残る |
一撃や一本で終わる形では、その瞬間が山になります。 どこで終わるか読者にも分からないので、最後まで気を張ったまま読むことになります。 打撃中心の競技に多い形です。
判定で決まる形では、終わってから結果が来ます。 試合が終わった時点では誰が勝ったか分からない。待つ時間が挟まるぶん、当事者以外の反応を描く余地が生まれます。 組み技や投げ技の競技で、点の取り合いとして描かれることがあります。
時間で切れる形では、勝者が出ないこともあります。 引き分けが結末になり得るので、勝敗で区切らない終わり方を作品が選べます。 人物が手前の作品と相性がよい形です。
途中で止まる形もあります。 続けられなくなる、止められる、棄権する。なぜ止まったのかが残るので、試合のあとに話が続きます。 負傷の描写と近い場所にあるので、避けたい描写がある人はここも見ておくと安心です。
紹介文からは、決着の付き方まではほぼ書かれていません。 ただ、競技名が分かれば決まり方の範囲も決まります。 組み立てを確かめる過程で、あわせて見当を付けておけます。
円の中と円の外を分ける
いちばん混ざりやすいところなので、分けておきます。
競技の中で起きる接触は、ルールの下にあります。反則の基準があり、止める人がいて、終わりが決まっています。
一方で、試合の外で起きる場面を含む作品もあります。 威圧や喧嘩、競技と関係のない暴力が出てくる作品です。これは競技の描写とは別のもので、避けたい人にとっては確認しておきたいところになります。
この二つをまとめて「格闘技の描写」と呼ぶと、確認したいことが確認できません。 紹介文に試合以外の場面が書かれているかどうかは、ひとつの手がかりになります。
強さの順位は作らない
作品を選ぶ話に戻す前に、外しておきたい見方があります。
この記事で見ているのは、作品がどう組み立てられているかだけです。誰が強いかではありません。
架空例で競技と手前の組み合わせを見る
競技と手前の組み合わせを変えた例を、四通り用意します。実在の作品を指したものではありません。
4つとも、競技名だけでは並べ替えられません。 同じ競技でも、手前に来るものと描写の範囲が違えば、合う人は変わります。
残酷描写を避ける入口・球技ものの入口との境目
近い場所にある入口との差を、先に書いておきます。
苦手な描写を避けて作品を選ぶ見方とは、目的が逆です。 あちらは読みたくないものを外すために、苦手の中身を自分の言葉に分けていきます。 こちらは読みたい競技を決めたうえで、その作品の描写がどこまで出ているかを確かめています。外すために分けるのか、選んだあとに確かめるのかという違いです。
球技を扱う作品を選ぶ見方とも分かれます。 あちらでは身体が触れることは競技の一部ではあっても、描写の確認が要る場所にはなりません。 こちらは触れることそのものが競技なので、描写の範囲が最初から確認項目に入ります。
強さを比べる読み方にも寄せません。 競技ごとに扱う範囲が違うので、共通の物差しが存在しません。 比べる代わりに、組み立てと決着の付き方を見ています。
開く前に競技と描写を確かめる
開く前に、さっと確かめておきたいところです。
紹介ページで分かるのは、たいてい扱う競技、舞台、登場人物の立場までです。描写の範囲までは書かれていないことが多いので、試し読みがあればそこを見ます。
結局、格闘技ものは「強さ」ではなく「組み立てと描写」で選ぶ
格闘技漫画を探すときにやることは、結局ひとつです。どの競技の、どちらが手前の作品を読みたいのかを先に決めること。
打撃の速さを追いたいのか、組み合ったまま進む時間を読みたいのか、競技そのものより人物の選択を見たいのか。そこが決まっていれば、棚の前で迷う時間が減ります。
「格闘技漫画」とひとことで言っても、中身は競技ごと、作品ごとに違います。今日の自分がどれを求めているかが決まると、選びやすくなります。