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セリフのない漫画を探す|絵で伝わる物語の入口

公開日

セリフがない、または極端に少ない漫画は、表情・しぐさ・視線・背景の変化に注目すると読みやすくなります。絵から物語を追う4つの見方と、公式に公開されているかを確かめるコツをまとめました。

「セリフのない漫画を探す」を表したイラスト

セリフがなくても物語は読める

言葉のやり取りがないまま進む漫画があります。

はじめて読むと手がかりが少なく感じるかもしれませんが、絵のほうに読むところが用意されています。 どこを見ればいいかが分かると、急に追いやすくなります。

呼び方の話は深入りしません。完全に文字がないものだけを指す、と決まっているわけではありません。 擬音や看板の文字が入っていることもありますし、セリフが一言だけある作品もあります。ここでは言葉に頼る量が少ない作品をまとめて扱います。

表情・しぐさ・視線・背景の4点を見る

絵のどこを見るかです。

1. 表情

顔の向きや口元の差です。前に描かれた同じ人物と見比べると、変化に気づきやすくなります。

2. しぐさ

体の傾きや手の位置です。言葉がないぶん、動きが気持ちの手がかりになります。

3. 視線

誰を、あるいは何を見ているか。視線の向きは、人物どうしの関係をいちばん短く伝えます。

4. 背景や物の変化

同じ場所がくり返し描かれるとき、置かれている物の増減が時間の経過を伝えます。

表情から読む

顔は最初に目が行くところです。

表情の読み方。よろこび、おだやか、かなしみの3つの口元
小さな差でも、続けて見ると変化が分かります

大きく変わる場面ばかりとは限りません。口元がわずかに変わるだけ、という描き方もよくあります。 一つの絵だけで判断せず、前に描かれた同じ人物と見比べるのが実用的です。

しぐさから読む

体の動きも手がかりになります。

しぐさの読み方。まっすぐ立つ、少し傾く、手が上がる
同じ人物の、前のコマとの差を見ます

肩の落ち方、足の向き、手の位置。同じ人物が続けて描かれるとき、差のほうが目に付きます。

動きが大きいほど気持ちが強い、とは限りません。何もしないで立っていることが、いちばん強い場面もあります。

視線の向きから読む

言葉がないとき、視線は関係を伝える近道になります。

視線の読み方。見つめ合う、目をそらす、同じものを見る
どこを見ているかで、関係や気持ちの向きが分かります

見つめ合っているのか、目をそらしているのか、同じものを見ているのか。視線の先に何があるかも合わせて見ておくと掴みやすくなります。

誰も何も見ていない場面が置かれることもあります。それも描き手が選んだ状態です。

背景の変化から読む

同じ場所が何度も出てくるときは、背景を見ます。

背景の変化の読み方。物が一つずつ減っていく3場面
同じ場所をくり返し見せるとき、差が意味を持ちます

物が増えているのか、減っているのか。光の入り方が変わっているのか。背景は、言葉を使わずに時間の経過を伝える手がかりになります。

セリフがないことと情報が少ないことは同じではない

読む前に押さえておきたいところです。

セリフがない作品は、情報が少ないのではなく、置かれている場所が違うだけのことがよくあります。言葉で説明されない代わりに、絵の中に手がかりが多く置かれています。

コマとコマの間で何が起きたかを補う

四つの見方はどれも、描かれているものを読む方法です。セリフのない作品ではもう一つ、描かれていないところを読む場面が必ず出てきます。 コマとコマの間です。

漫画は、隣り合うコマの間で時間が飛びます。言葉のある作品なら、飛んだ分を台詞が補ってくれます。セリフがない作品では、そこを読者が埋めることになります。 読みにくいと感じる原因の多くは、絵が分かりにくいのではなく、この補いに慣れていないことのほうです。

埋め方には手がかりがあります。

同じ場所が続いているなら、飛んだのは短い時間です。 背景が変わらず人物の姿勢だけ変わっていれば、数秒の話だと読めます。

場所が変わっていれば、移動と時間が飛んでいます。 どれくらい飛んだかは、光の向きや服装の変化から見当が付きます。

同じ場所なのに物が変わっていれば、長い時間が飛んでいます。 背景の変化を見る意味はここにあって、物の増減はそのまま経過した時間の長さを表します。

人物がいなくなったコマは、間を取っているところです。 何も起きていないのではなく、沈黙そのものを描いています。 読む速度を落とす合図として扱うと、作品の呼吸に乗れます。

あたたかい・静か・驚き・寂しさ・思索から逆に引く

読み終えたあと、何が残るかです。

あたたかい

読んだあとに和む形です。

静か

大きな出来事が起きないまま終わる形です。言葉がないことと、静かな話であることは別です。 声を出さないまま激しく動く作品もあります。

驚く

終盤で見え方が変わる形です。

少し寂しい

すっきりしない感じが残る形です。それが悪いわけではありません。

考えが残る

説明されないまま終わる形です。読み終えてからしばらく考えることになります。

サイレント漫画の選択マップ

ここまでの見方を、見る順番に並べると次のようになります。

絵で読むポイントマップ。表情、しぐさ、視線、背景の順に見る
上から順に見ると、絵の中の変化を拾いやすくなります

全部を毎回見る必要はありません。一つ決めて読み始めるだけでも、拾える量は変わります。

順番が揃った状態で読めているかを確かめる

絵だけで成立する作品は、画像として切り出されて出回りやすい形でもあります。しかもこの形式では、順番が入れ替わると話そのものが変わってしまいます。 コマの間を読者が埋める作りなので、埋める材料の並びが崩れると別の話になります。

読むときは、作者本人の公式な発信か、出版社の公式ページか、正規に掲載されているページかを見ておくと安心です。出どころの分からない画像は、順番が入れ替わっていたり、一部だけが抜き出されていたりすることがあります。

架空の例で読み方を見てみる

どこを見るかは言葉にしにくいので、四つだけ組み立てを書いてみます。いずれもこの記事で考えたもので、実在の作品ではありません。

どれもどこを見るかの例で、結末の説明ではありません。

セリフのない作品を開く前の4項目

読む前にさっと見ておきたいところです。

セリフのない漫画を読む前のチェックリスト
全部を毎回見る必要はありません
見る所 確認内容
表情 何が変わるか
しぐさ 動きの差
視線 どこを見るか
背景 何が増減するか

結局、読みにくさの正体は「情報の少なさ」ではない

セリフのない作品を難しく感じるとき、原因は情報が足りないことだと思いがちです。でも実際には、情報の置き場所が違うだけです。 言葉で説明されない代わりに、表情・しぐさ・視線・背景に手がかりが分散して置かれています。量が減っているのではなく、読む先が変わっています。

もう一つが、コマの間を自分で埋める作業です。 台詞のある作品では言葉が補ってくれる部分を、この形式では読者が担います。慣れていないと、そこが抜けたまま先へ進んでしまい、話が飛んだように感じます。読みにくさの半分はここにあります。

そして、この形式は読む速度を読者が決められます。 気になった絵の前で止まっていても話は先へ行きません。分からなかったコマは戻って見直せばよく、それが正しい読み方です。 速く読んで拾えなかったものは、二回目でたいてい拾えます。

どこを見るのが得意かは、何作か読んで初めて分かります。表情を追うのが好きだと思っていたら、実は背景の変化のほうが面白かった、ということもあります。今日はどこを見てみたいでしょうか。

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