笑える漫画の探し方|会話・状況・不条理で選ぶ
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笑える漫画を探すとき、候補が合わないのは自分の笑いたい種類とずれているからです。会話・状況・勘違い・不条理・真顔・反復という6つの方向に分け、紹介文のどこを見るかをまとめました。
「笑える」を一種類にしない
笑える漫画が読みたい。そう思って探すとき、困るのは候補が少ないことではありません。出てきた候補が、自分の笑いたい種類と合わないことです。
会話のかみ合わなさで笑いたい日と、状況そのもののおかしさで笑いたい日は別です。理屈の通らない展開を面白がりたい日と、真顔のまま妙なことが進むのを見たい日も違います。同じ「笑える」でも、方向はいくつもあります。
だから、探す前に方向を一つ決めます。それだけで、紹介文を読んだときの見当がまるで変わります。
笑いの方向を6つに分ける
まず、方向を並べます。
| 笑いの方向 | 見るポイント |
|---|---|
| 会話 | 言葉のズレ |
| 状況 | 普通ではない前提 |
| 勘違い | 認識の食い違い |
| 不条理 | 理屈が通らない展開 |
| 真顔 | 反応とのギャップ |
| 反復 | 同じ型の変化 |
この6つは並列です。上から順に高度になる、という並びではありません。
会話のズレで笑いたい
人と人のやり取りが噛み合わないところで笑う方向です。
言葉の取り違え
同じ言葉を、二人が違う意味で受け取っている形です。どちらも間違っていないのに、話が進むほど離れていきます。
予想外の返し
こう返ってくるだろう、という予想を外す形です。外し方が大きいほど効く、というものでもなく、半歩だけずれた返しのほうが可笑しいこともあります。
状況のおかしさで笑いたい
会話ではなく、置かれている状況そのものがおかしい方向です。
前提が変
設定の時点で、いつもの世界とずれている形です。中の人物たちはそれを疑っていません。
全員が普通だと思っている
おかしいのに、誰もおかしいと言わない形です。読者だけが気づいているという距離が、そのまま笑いになります。
場所が合っていない
やっていること自体は普通なのに、それをやる場所が噛み合っていない形です。
勘違いやすれ違いを楽しみたい
登場人物の認識が食い違っていて、それぞれの言い分は筋が通っている方向です。
読者には両方が見えているので、どこで食い違ったのかが分かります。 その状態のまま話が進んでいくところが読みどころです。
会話のズレと近いようで、少し違います。会話のズレはその場のやり取りで起きますが、勘違いは食い違ったまま持ち越されます。 一度ずれた認識を抱えたまま、それぞれが別の前提で動いていく。時間が経つほど差が広がるのが、この方向の特徴です。
ただし、すれ違いは気まずさと隣り合わせでもあります。そこが苦手な人もいるところです。 食い違いが解けないまま続く場面が長いと、落ち着かない気持ちになることがあります。紹介文に「すれ違い」とあったら、その状態がどれくらい続く話なのかを考えておくと、読み始めてから戸惑いにくくなります。
不条理を楽しみたい
理屈が通らないことが、そのまま進んでいく方向です。
理屈が通らない
出来事のつながりが説明できない形です。なぜそうなったかは問われません。
説明されない
理由を挟まないまま次へ行く形です。説明を待って読んでいると置いていかれます。
直らないまま続く
おかしなことが直らず、そのまま日常になっている形です。
真顔のまま変なことが進む笑い
出来事は妙なのに、人物の反応が普通のままという方向です。
ずれが笑いのもとなので、人物が驚かないことが大事です。 驚いてしまうと、それは状況がおかしいことの説明になってしまいます。
妙なきまりを真顔で守る人物、大変な事態を事務的に片づける人物。変なのは出来事のほうで、人物はいたって真面目です。 本人が面白がっていないぶん、読んでいる側との温度差が開いていきます。
状況のおかしさと組み合わせて使われることが多い方向でもあります。ただし、見ているところは別です。 状況のほうは前提そのものを見ますが、真顔のほうは前提に対する反応の薄さを見ます。紹介文で「淡々と」「平然と」といった書き方があれば、この方向が入っている見当が付きます。
繰り返しと間を楽しむ
同じ形が返ってくること、そして止まっている時間で笑う方向です。
同じ型が返ってくる
一度見た形がまた来る、という分かっている安心が笑いになる形です。
少しずつ変わる
同じ型なのに、細かいところだけが毎回変わっていく形です。
間
言葉と言葉のあいだ、コマとコマのあいだの空白です。何も起きていない時間そのものが読みどころです。
紹介文の書き方から笑いの方向を読む
方向を一つ決めたら、次は紹介文の側でそれを探します。笑いの方向は「ギャグ」「コメディ」としか書かれないことが多いので、書き方のほうから読み取ります。
台詞がそのまま引用されていれば、会話の方向です。 紹介文に一行でも会話が入っているのは、そこが見せ場だからです。引用された台詞が噛み合っていないなら、ほぼ確実に会話のズレを中心にしています。
設定が一文で説明されていれば、状況の方向です。 「〜な世界の話」「〜が当たり前になった町」のように、前提が先に置かれている紹介文。前提を説明する必要があるということは、そこがおかしさの源だということです。
淡々と、平然と、大真面目に。こうした副詞があれば、真顔の方向です。 出来事ではなく反応のしかたを形容している紹介文は、そのギャップを見せたいと言っています。
登場人物が二人書かれていて、それぞれの認識が別々に書かれていれば、勘違いの方向です。 「〜だと思っている人物と、〜だと思っている人物」という書き方は、食い違いを持ち越す作りを示しています。
説明が少なく、出来事だけが並んでいれば、不条理の方向かもしれません。 理由が書かれていない紹介文は、本編でも理由を書かない作りであることがあります。ただしここは判定が難しく、単に紹介文が短いだけのこともあります。
誰かを傷つける笑いについて
笑いは、誰かを下に置く形をとることがあります。
容姿、病気や障害、出身、信仰、被害にあった経験、立場の弱さ。こうしたものを笑いの対象にしている描写は、読む人によって不快になったり、傷ついたりします。
これは単なる好みの違いとして片づけられません。自分が平気でも、同じ場面で傷つく人がいます。
架空例で方向の違いを見る
六つの方向がどう場面になるのか、こちらで四つ書いてみます。どれも実在する作品のものではありません。
Aは会話、Bは状況、Cは真顔、Dは反復です。同じ「笑える」でも、見えているものはこれだけ違います。 自分がどれに近いかを決めておくと、候補が絞れます。
笑いを探す前の5項目
開く前に、さっと見ておきたいところです。
| 見るところ | 確認すること |
|---|---|
| 方向 | 6つのどれか |
| 会話 | 言葉のズレか |
| 状況 | 前提が変か |
| 配慮 | 誰を笑うか |
| 期待 | 効果を求めていないか |
結局、笑いは「評価」で探せないので、方向で探す
他のジャンルなら、評価の高い作品を選ぶのはある程度あてになります。笑いだけは、それが効きません。 合う合わないの幅がとくに大きく、多くの人が笑った作品が自分に効くとは限らないからです。だから「面白い漫画」を探しても、候補は絞れません。
代わりに置けるのが方向です。 会話のズレが見たいのか、状況そのものがおかしいのを見たいのか。これは自分の側で決まりますし、紹介文の書き方から照合もできます。 台詞が引用されていれば会話、前提が説明されていれば状況、副詞で反応を形容していれば真顔。評価を見に行くより、こちらのほうが早く当たります。
方向に上下はありません。 不条理が上級、会話劇が知的、毒が強いほど攻めている。どれも順位ではなく、別々の笑い方です。数えられるもの(笑える回数、テンポの速さ、オチの強さ)と、自分に合うかどうかは別のことです。
そして、誰を笑う作りかだけは方向と切り離して見ます。 容姿や立場の弱さを対象にした描写は、好みの違いでは片づきません。自分が平気でも、同じ場面で傷つく人がいます。 紹介文から分かる保証はないので、読み始めて合わないと感じたら途中でやめて構いません。
読んでみて違ったら、別の方向へ移ればいいだけです。方向は6つあるので、自分に合うものを一つずつ確かめていくことになります。